舞台『Take Me Out』2025|玉置玲央×三浦涼介インタビュー

メジャーリーグを舞台に、選手たちの関係性、そこに渦巻くさまざまな思いを描く『Take Me Out』。2003年第57回トニー賞演劇作品賞、2022年の第75回トニー賞では演劇リバイバル作品賞を受賞するなど、大きな話題を呼んだ。日本初演である2016年公演は第51回紀伊國屋演劇賞団体賞の対象作品となり、2018年に再演をした本作が、7年ぶりの再演を行う。

演出を務めるのは藤田俊太郎。オリジナルメンバーに新メンバーを加えた「レジェンドチーム」、オーディションで選び抜かれた「ルーキーチーム」の2チームをそれぞれ異なる演出で見せる。

製作発表会見が行われたタイミングで、レジェンドチームの玉置玲央と三浦涼介にインタビューを行った。

――前回の公演から7年経ち、社会や価値観も変化したと思います。今上演する意義についてはどう感じていますか?

玉置 僕は2018年の再演から参加させていただいています。当時も激動の世界情勢でしたが、今も戦争が続いていたりパンデミックがあったり、いろいろなことがあります。シェイクスピアなどもそうですが、上演され続ける作品の特徴は普遍性・どの時代でもお客様に刺さることだと思う。結論で言うと、この作品を上演する意義はいつも変わらないんだと思います。今現在の感覚や変わりつつある価値観を、今届けうる存在に満遍なく届けたい。それによって人生や時代が変わるかどうかはやってみないとわからないけど、それぞれの時代にメッセージを届けていくチャレンジ精神は常に変わらないと思いながらやっています。

三浦 僕は初参加ですが、こういったテーマの作品は世の中にたくさんありますよね。でも、「7年ぶりに上演するから」じゃなく、常に考えるべき。すぐそばにあるべきテーマだと思っています。そこに参加することにも意味があると思うので、僕自身も改めて考えなきゃいけない。隣にいる人と分け合う、話し合う、感じ合うことについて改めて向き合いたいです。生き方に悩んでいる人にとって少しでも助けになったらいいし、この作品を通して考えて見てくれる方が増えたらいいなと思っています。

――まだ読み合わせの段階ということですが、お互いを見て、演じる役と重なる部分、配役が合っていると感じる部分はありますか?

玉置 りょんりょん(三浦)とは隣に座っているんですが、最初の読み合わせで声を聞いた時に「それ! たまらん!」って思いました。

三浦 本当ですか?

玉置 うん。もちろん演劇に正解はなくて、時代ごとに考えていくべきだと思います。そうなってくると最後は自分が気持ちいいかどうかだったり、ほしいと思っていたものがもらえるかどうかだったりする。僕は最近そんなふうに、ある種わがままにお芝居をしています。故に、隣にいるりょんりょんが、キッピーとして作品における第一声を発した時に「勝った!」って。いいボールが飛んできたので、それをキャッチして繋いで行くぞと思いました。

三浦 僕、玲央さんと共演するのを心待ちにしていたんです。

玉置 なにそれ! そうなの?

三浦 そうなんです。よく「共演したい人、憧れの人は?」と聞かれるけど、基本的にはいないと答えていて。口に出すと叶ってしまうことが多いのであえて言わないようにしていたんです。でも、強く思い続けたら叶ってしまった。きっと今がその時だったんだと思います。先ほど玲央さんが言ってくれた言葉がすごく励みになりましたし、これで本当にいいのか悩みながらお芝居を続けてきた中で、本当に尊敬している方からこんな言葉をかけていただけるなら、続けてきて良かった。藤田(俊太郎)さんをはじめプロフェッショナル揃いのカンパニーに緊張していましたが、玲央さんの言葉で本当にホッとしました。玲央さんの空気感や言い回し、間などが本当に繊細で素敵で、一緒にお仕事できるのが幸せです。

玉置 そうだったんだ。いやあ、いいインタビューですね(笑)!

――会見では、試合を通してチームに関係なく皆さんとコミュニケーションを取れたとお話されていました。皆さんの印象はいかがでしょう。

玉置 外見的なことですが、みんな背も高くてがっしりしているなと感じました。メジャーで活躍する大谷翔平選手などを見ても分かるように、体格も変わってきているのかも。そういうところにまず驚きました。あとはくだらないことなんですが、意外と左利き少ないんだなというのと、みんなかっこいいなって思いました(笑)。ビジュアルもそうだし、何かに一生懸命打ち込んでいる姿ってかっこいい。(試合では)特に原(嘉孝)ちゃんが孤独の中で奮闘していてかっこよかったです。

――作中での絡みが多いダレンについてはいかがでしたか?

玉置 惚れ直しましたね(笑)。劇中のダレンはカリスマ。章平はそれを組み立てて実践していくのが好きだし得意なタイプの俳優。そのスキルが試合でも遺憾無く発揮されていました。

三浦 ルーキーチームでダレンを演じる野村(祐希)さんとは一度プライベートでお会いしたことがあって、こんなに大きい人が世の中にいるんだと感じました(笑)。

玉置 思うよね(笑)!

三浦 でもこの現場に来たら祐希さんがわりと普通というか馴染んでいて、衝撃でした。みんな大きいなって。

――読み合わせやお稽古で藤田さんから言われて印象的だったことはありますか?

玉置 全く新しいものを作ろうとトライしてくださっています。すごく優しい演出家さんで、俳優や作品、演劇を愛している。強要はもちろんなく、可能性をたくさん渡してくれるのがすごく心地いいです。今はいろいろなものを渡してもらって、育てるのが楽しみだなと思っています。

三浦 とにかくお話が好きみたいで、ずっとお話ししてくださっています(笑)。

玉置 (笑)。

三浦 作品に関してたくさん話してくれる。僕はこういった経験があまりないので、みんなで作品のことを話し合って理解を深める場がすごく嬉しいですね。他の役者さんが演じるキャラクターについても共有できるのが楽しいし、とても有意義で大切な時間だと感じます。藤田さんとは2016年にミュージカル『手紙』で初めてご一緒し、今回久しぶりにお会いしましたが、お喋りな印象は変わらなかったです(笑)。

玉置 (笑)。作品や演劇に対しての愛が深いからですよね。

取材・文:吉田沙奈
写真:田中亜紀