北山宏光 主演舞台『醉いどれ天使』制作発表会見レポート

2025.10.16

2025年秋、明治座にて上演される舞台『醉いどれ天使』の制作発表会見が本日10月16日に行われた。
会見には、演出の深作健太と出演の北山宏光渡辺大横山由依岡田結実阪口珠美佐藤仁美大鶴義丹が登壇した。

日本をはじめ世界中に大きな影響を与えた名匠・黒澤明と、その多くの作品で主演を務めた三船敏郎が初めてタッグを組んだ映画「醉いどれ天使」は、映画公開の約半年後に舞台作品として上演されたという記録がある。当時の舞台台本は長い間眠っていたが、近年偶然にも発見され、2021年に舞台化。大盛況のうちに幕を閉じた。そしてこの度、25年舞台版として『醉いどれ天使』の上演が決定。
脚本は前回に続き蓬莱竜太が務め、骨太な物語を生み出し人間を深く描き出すその力で、黒澤作品をさらに跳躍させていく。演出は、ジャンルを越えて活躍の場を広げている深作健太。現代社会が抱える問題を組み込み問いかける演出に定評のある深作が戦後の時代をいかに描くのか、今の時代に上演される意義が見出されることだろう。
そして、三船が演じた闇市を支配する若いやくざ・松永に挑むのは6年ぶりの主演舞台となる北山宏光。巧みな表情管理で繊細な演技を魅せる北山が、内に秘める男臭くまっすぐな情緒を松永に反映させる。
また、共演には渡辺大、横山由依(Wキャスト)、岡田結実(Wキャスト)、阪口珠美、佐藤仁美、大鶴義丹と、日本のエンターテインメントシーンを牽引する錚々たる顔ぶれが揃う。不器用ながらも人間味あふれる登場人物たちが現代に生きる我々に問う、衝撃の話題作に乞うご期待。

登壇者コメント

深作健太

この酔いどれ天使という作品は戦後2年目に黒澤明さんによって作られた作品ですが、不思議なご縁で、僕のおばあちゃんが端役で出演していて、子供の頃からこの撮影現場での思い出話なども聞いておりました。その後、父親の本などを見てみたら、深作健治もまた1947年の時に労働省でこの作品を見て映画監督を志したという非常に縁深い作品です。まさか戦後80年の節目にこうして演出させていただけるというのには非常に驚いた話と思いまして。
稽古の方は今2週目が終わったところで、座長の北山さんを初め、初舞台の方からベテランまで揃う非常にバリエーション豊かな素敵なキャストの皆さんと一緒に、非常に順調に毎日楽しみながら進んでおります。
あと2週間の中でどれだけブラッシュアップして初日を迎えられるか、演出家としても今から楽しみでなりません。

北山宏光

この歴史ある作品に携われること、とても嬉しく思っておりますし、この令和にまた生み落とすことができることは、とても良いことだと感じています。
深作さんは2週目ですっておっしゃってましたけど、私たちはとても追い込まれております(笑)。
とても楽しい現場で、自分なりの松永を表現していきたいなと思いますし、見てくださった方に何か心に残るもの、そしてそこからまた咀嚼して、何か体に染み込んで、また考えていただけるという作品を、目指して作っております。

渡辺大

この歴史ある作品に参加することができて、本当に光栄に思ってます。
伝統的な作品ではあるとは思うんですけれども、そこに深作さんが、パンクにロックにすごく色んなテイストを入れてきて、令和版新解釈「醉いどれ天使」になってるんじゃないかなと思ってます。
稽古では追い込まれることもあるんですけども、今1個1個、骨に血をつけて肉をつけていく感じで、ここからどんどんパーツが繋ぎ合わさって、初日を迎えるんじゃないかなと思っています。
本当にその日を楽しみに、今楽しく稽古させて頂いてます。

横山由依

「醉いどれ天使」は戦後すぐのお話ではあるんですけど、やっぱり今の時代ともリンクするところがあると稽古をしながら感じています。本当に座長の北山さんや深作さんが稽古場の雰囲気をとても良く、穏やかに明るく作ってくださっているので、稽古場に行く足取りがすごく軽いです。
エネルギッシュな作品になると思いますので、皆さんにしっかりとエネルギーをお届けできるように、私が演じる役は舞台の中ではよりこうお客様と近くなれる存在なんじゃないかなと思っているので、そこをしっかりと務めていきたいなと思います。

岡田結実

この作品は戦後すぐのお話ではありますが、今の時代も戦争というものからは目を背けられない、向き合っていかないといけない現実があると思うので、深作さんが常におっしゃられるように、戦争ということを偽物に感じて欲しくない、本当にあることだからというのを胸に、思いを込めて頑張りたいなと思っています。
私事なんですけども、今作が初舞台で、ずっと舞台に出たいと思っていたことがこのような形で叶ってこんなに素敵なキャストの皆さんと、演出家の深作さん、脚本の蓬莱さんとお芝居ができるという日々を噛み締めております。
素敵なものをお届けできるように頑張ります。

阪口珠美

日本映画史に残る名作で、こんなにも素敵な豪華なキャストの皆さま、スタッフの皆さまとも出会わせていただくということで、実は今も緊張でいっぱいです。
残りの稽古で緊張を自信に変えていけるように、奈々江の生きる力とか奈々江の強さをステージで出せるように、一生懸命頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

佐藤仁美

初めてこの本を読んだ時に、なんて奥深い作品だと。
読み込んでいくうちに、なんて色気がある男たちだろう、の中に、なんて色気がある女たちだろう、なんて強い人間たちの生き様の作品なんだろうな、と思う中で楽しめたらいいなと思ってるんですけど、私稽古全然やってなくて。
(横山さんが)軽い足取りで楽しく稽古場に行ってますって言うけど、私は重い足取りで(笑)。迷惑をかけないように本当に仕上げてから、届けれるように、皆さんには追いつくように今は必死でおります。

大鶴義丹

私が演じる岡田役は、戦後、新しい人生に向かおうとする松永の元に、出所して、ある種の戦前の任侠のような役なんですけど、彼の新しい人生を許さないっていう感じで、悪魔の囁きみたいに、日々あの松永の自律に引きずり込むように、頑張って稽古しております。

『醉いどれ天使』は11月7日(金)~23日(日)まで東京・明治座、11月28日(金)~30日(日)まで名古屋・御園座、12月5日(金)~14日(日)まで大阪・新歌舞伎座にて上演される。