すっかり寒くなってきた11月。あれ?秋ありました?って感じのうつろいの早さですが、舞台上はいつだって熱気に満ち溢れていますね。そんな熱量感じに劇場へ行きましょう!というわけで今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。
俳優・尾倉ケントの優先順位高め!
どーも!尾倉ケントです。
先月から、来年3月に出演する市民劇「劇場留学~『モモ』と音楽の旅~」(@小田原三の丸ホール)のプレ稽古が始まりました。
市民の方々と一緒に芝居をつくるのは初めて。老若男女に小学生もたくさんいて、どんなクリエイションになるのか本当に想像がつきません。
でも、その“予想外”こそが演劇のいちばんの魅力なんですよね。今からとっても楽しみです!
●松竹創業百三十周年 吉例顔見世大歌舞伎
@歌舞伎座
東京サンシャインボーイズの大名作喜劇「ショウ・マスト・ゴー・オン」を歌舞伎化!
三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂』が上演されると聞いて、これはもう絶対に観たいです。
中村獅童さん、片岡愛之助さんはもちろん、阿南健治さん、浅野和之さんといった舞台俳優陣が出演するのも嬉しいポイント。
どうなるのかワクワクしますね。
●劇団俳優座「存在証明」
@シアタートラム
てがみ座の長田育恵さんが脚本、眞鍋卓嗣さんが演出。
「リーマン予想に挑む数学者の物語」と聞くと少し難しそうですが、眞鍋さんの演出はいつも最高にちょうどいいバランスで観客に届けてくれます。
難解になりすぎず、逆に物足りないともならない絶妙なバランス。硬派でしっかりした会話劇と、ワクワクするエンターテインメントが両立していて「ああ、演劇を観たな」と思わせてくれる作品になるはずです。
●JACROW #38「THIS HOUSE」
@シアタートップス
1974年のイギリス。少数与党となった労働党政権の政争を描く政治ドラマ。
イギリスを代表する若手劇作家ジェームズ・グレアムによる作品(2012年初演)が日本初上演です。
怖いほど今の日本と重なる部分があり、ハッとさせられますね。だからこそ今観ておきたいと思います。
●Japan Mobility Show 2025
@東京ビッグサイト
隔年開催のジャパンモビリティショー。演劇ではないですが、ショーとしてめちゃくちゃ面白いです。
前回見た災害時モビリティの実演では、パワードスーツで瓦礫をどかしたり、ドローンが薬を運ぶ様子を実際の俳優が演じていて印象的でした。
高校生以下は無料なので、子連れにもぴったり。
もともとは東京モーターショーでしたが、今は“モビリティの未来”をテーマにベンチャー企業も多数参加するイベントに進化。
多種多様で十人十色な感じが、小劇場界にもほんのり通じる気がして、勝手にシンパシーを感じています。
寒くなってきましたのでチケットを無駄にしないように体調に気をつけたいですね~
今月も良い観劇ライフを!
尾倉ケント
俳優。小松台東、ポツドール、ブス会*、大河ドラマ「光る君へ」、CMいろいろなど。 
★次回出演
・ホエイ 新作「メヤグダ」
 2026年2月19日(木)~2月25日(水) @シアター風姿花伝
・「劇場留学~『モモ』と音楽の旅~」
 2026年3月27日(金)〜3月29日(日)@小田原三の丸ホール 小ホール
X(旧:Twitter):@0gura_kento
脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!
ほりぶんの上映会に行って今年一笑ってやっぱり作家の狂気みたいなものが見たいのだなと改めて思ったりした10月でした。今年も残りわずかですね。
 
Mrs.fictions 『再生ミセスフィクションズ3』
あなたはMrs.fictions観た方がいいっすと3人くらいから言われてまだ観れてないことが申し訳ないのですが、私の周りで評判がいいので優先順位高めです。再演ものの短編を5本という構成で、きっと私のような初めて見る人にとってはとっかかりがいい公演なのではと勝手に想像しています。楽しみ。
 
KAAT × 城山羊の会『勝手に唾が出てくる甘さ』
ポレポレ東中野で「アジアのユニークな国」を見たんですけど、会話の妙はスクリーンでも舞台同様おおいに発揮されていて役者さんの魅力も圧巻でした。大きなことが起こるわけじゃないあのリアルな会話に笑い同時に人間の不気味さも味わいました。不気味の谷現象?人間を味わうなら城山羊の会かもしれません。是非劇場で。
 
優しい劇団『光、一歩手前』
稽古期間1日というすごいスタイルでどこまで行くのか名古屋の優しい劇団。いまは東京で出演したい役者さんもたくさんいるのでは。私には到底真似できないクリエイションの仕方で東京で躍進している様は眩しく光って見えます。まさしく光の一歩手前って感じ。様々な表現方法を柔軟に取り込んで団体のオリジナルに仕上げているのも痛快です。
 
システム個人『今すぐ素敵な座標を進んで』
ポップな群像劇を得意とするシステム個人。今回はタイムスリップもののSFコメディーとのことです。キャスティングも素敵。みんなに届く物語をかけるってやっぱり強いなと僕なんか思ったりします。
 
ダダルズ『よだれ観覧車』
一度共演させていただいてからファンを名乗ってます。涙と鼻水を流しながら飛んでくる言葉の数々は僕のようなファンを日々産んでいるはず。たとえよく理解できなかったとしてもあの唯一無二感は直接体感するべきものじゃないかなと思ったりしますが。にしてもよだれ観覧車って。
 
舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」関田育子『under take』
「俳優の身体と劇場の壁や床が等価に見える広角レンズ演劇」とか「ふるえを通して出来事を捉え直すヴァイブス演劇」とか僕には全くもってよくわからないことがHPとかに書いてあって、わからないから興味深くて面白そうでとっても観てみたい。芸術祭なので他のイベントもチェックの上で足を運んでみるのがいいと思います。
 
ニッポン放送×南極『SYZYGY』とか、かわいいコンビニ店員飯田さん『位置について』とか贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』とか観たいのが目白押しですね。金銭と時間と相談しながら皆様も演劇を楽しんでください。
滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/
脚本家/演出家・海路の優先順位高め!
海路です。みろって読みます。
最近、とある作品の執筆に追われていて、部屋を全く掃除できていません。ホコリにまみれて歩いてるのを見かけても、どうか優しくして下さい。
てなてなことで、11月の優先順位高めな作品はこちら!!
◯二兎社公演49『狩場の悲劇』
個人的大好きな二兎社の、永井愛さん4年ぶりの新作公演となる本作。あらすじを見ると、1880年のモスクワの新聞社の編集室を舞台に、持ち込まれた「狩場の悲劇」という小説にまつわる物語ということで本作、チェーホフの長編ミステリーをベースにした物語とのこと。チェーホフは『桜の園』『かもめ』といった所謂四大戯曲はよく知られておりますが、これはミステリー。めちゃくちゃ気になる。しかも24歳の時に描いた作品らしく、それを溝端淳平さん、門脇麦さん等が演じられるという、これは観た過ぎる。社会問題を潜ませながらポップに、時に不穏に描く永井さんの世界観の中でどんな物語が展開されるのか、楽しみです!
◯贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』
2019年に初演、22年にはフランスの国際芸術祭「フェスティバル・ドートンヌ」の正式プログラムとして上演されるなど国内外で好評を博した本作で、贅沢貧乏初のツアーを行うというこちらの公演。作・演出の山田由梨さんは、2019年に『ミクスチュア』で岸田國士戯曲賞にノミネートされた他、近年ドラマ脚本などでもご活躍されていて、本作については「初演から6年経っても残念ながら全く古くならない」と語っていて、もうそれだけで観たい!フェミニズムについて、山田さんが27歳の時に直面した問題をきっかけ描いたとのことで、個人的に自分が今26歳なので本作を観てどんな風に感じるのか、に凄く興味が湧いてます。女性と男性、分かり合えたり分かり合えたつもりになってただけだったり。U29割のチケットもあるみたいなので、観終わった後に同世代と語り合ってみたいな、なんて今から楽しみにしてます。
◯ネザーランド・ダンス・シアター(NDT 2)来日公演2025
世界的振付家と選りすぐりのダンサー達が共同で制作するオランダのダンスカンパニー、ネザーランド・ダンス・シアター(NDT 2)が約20年ぶりの来日となる本公演。多様なスタイルの3作品が一度に観れる、という贅沢な企画なのですが、そのうち個人的に注目なのは、アレクサンダー・エクマンの『FIT』。エクマンは昨年のパリ・パラリンピックの開会式の演出・振付監督を務め、今年の7月には新国立劇場で上演した『PLAY』の記憶も新しいのですが、その『PLAY』がめちゃめちゃ好きだった!身体表現も去ることながら、舞台空間の使い方がとってもとっても面白い。またこの11月にエクマン作品を観れるとなると行くしかない。マルコス・モラウ振付『Folka』、ボティス・セヴァ振付『Watch Ur Mouth』も同時に観れます、見逃せる訳なし!
他にもKAAT×城山羊の会『勝手に唾が出てくる甘さ』など、お金があっても足らない足らない!注目公演目白押しです!
海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro
俳優・田代明の優先順位高め!
今年も残りあと2ヶ月。
思い残すことの無いように、今月も気になる作品をチェック!!!
大パルコ人5オカタイロックオペラ『雨の傍聴席、おんなは裸足…』
宮藤官九郎さん作・演出「大パルコ人」シリーズの第5弾。ロックオペラと銘打っておりますが、「バックバンドもダンサーも入れず、演奏も歌もダンスも役者だけで何とかするDIYスタイル」とクドカンさん曰く。ミュージカル俳優役の阿部サダヲさんと演歌歌手役の松たか子が離婚調停中の夫婦という間柄、絶対ドタバタコメディが繰り広げられるでしょうというあらすじがHPに記載されております。
圧倒的クドカンの世界観を味わいに行きたい1作品です。
花組芝居 鏡花歌舞伎『陽炎座』
舞台を観劇した後に、この役者さん素敵だなぁと思うと「花組芝居」とお名前の後ろに書かれていた経験が多々あり。所属の方と共演させていただいた事もあったりと、ずっと気になり続けている花組芝居さん。
1987年に設立され、歌舞伎を「誰もが楽しめる最高の娯楽」とする「かぶきの復権」を掲げ、男性俳優のみ構成された劇団。上演演目の題材は、歌舞伎だけにとどまらず、翻訳物、現代物、漫画原作物など多岐にわたっています。今作は、泉鏡花の幻想小説を、義太夫と黒御簾音楽による全編生演奏にて上演するそう。
また、HPを覗いてみると「あちらのお客様からですチケット」という、まだ花組芝居を見た事がない若い世代に向けたユニークな取り組みもやっていたので、ぜひチェックしてみて下さい。
『飛び立つ前に』
フランスの小説家・劇作家フロリアン・ゼレールの傑作、日本初演。
現代社会の中で複雑に絡み合う“家族”の姿を描いた今作。
キャストには、同じく家族をテーマにしたぜレールの他作に出演経験のある方々が名を連ねます。
キャストの皆様のコメント動画を見ていると、捉え方や受け取り方が十人十色な不思議な作品、でも惹き付けられる魅力が確かにある作品、そんな印象を受けました。
観る人の数だけ受け止め方がありそうな今作、自分はどのように感じるのか、確かめに行きたい作品。
秋はなんだか寂しい気持ちになりがちなのですが、その感受性の機微をそのままに、もっと心を動かしに劇場に足を運びに行きたいなと思います。
田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
X(旧:Twitter):@akkarindays
公式Instagram:@akkarindays
脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!
ローソンチケット演劇部、東京にこにこちゃんの萩田頌豊与が11月のお勧め舞台を文字にします。
寒くなってきましたね?僕も寒くなってきました。できるだけ暖かい服を着てみたらどうでしょう。
では、11月のお勧め舞台!
 
・ヌトミック『彼方の島たちの話』
東野くん出演のヌトミック。音楽と生と死。好きなテーマ性です。
東野くんは何やっても上手いのでそこも楽しみです。
 
・入江雅人グレート一人芝居『阿佐ヶ谷の狼男2』
世界一格好いい一人芝居です。一人芝居は痺れますよね。ビリッビリに痺れて下さい。お勧めです!
 
・システム個人『今すぐ素敵な座標へ進んで』
今、小劇場で勢いのある役者さん達が大集合で羨ましい。これは間違い無いでしょう。
俺はタイムリープ、タイムスリップものが大好きです。
宝保さんも間違い無く出演してて楽しみです。
 
・劇団フル盛りピンチヒッター『さくやの梯子』
ダインヌくんという友達がいまして、10年くらい前からずっと飲みに行こうと約束してるのですが、一回も行けてなくて、申し訳ないなと思ってます。
そんな彼の新作です。これはもうちゃんと言いますが、友達というだけで書きました。
 
・Ahwooo『地味な労働者三部作』
3つの団体の短編集。一気にいろんな団体を知れるこのフォーマットは素晴らしいですね。
学びの量も増えて楽しいことこの上ないと思います。楽しみです。全て楽しみ尽くして下さい。
 
・破壊ありがとう『コーラ買って北極へ』
スタイリッシュで超面白いです。お笑い構造も丁寧だし、タイトルもオシャレですし、もくめ、机くん、森くんの3人の演技力も高く、超おすすめです!観て!
 
・OASIS『Oasis live’25』
遂にグランドフィナーレはブラジルです。因みにブラジルは渡航費込みで昨日調べたら25万くらいですね。直行便はないので、経由で24時間くらいかかります。チケットは完売してます。
「What ever」のアウトロから『octpus’s garden』の流れ最高ですよね。サザンの『神の島遥か国』のイントロもoctpu’s gardenのイントロのオマージュなのかなとか色々思ってます。違うか!
ああ。行きたい。ブラジル。ブラジルの人楽しんできて下さい。
 
以上!11月のお勧め芝居でござんす!いよいよ今年も大詰め!
皆様の最高の演劇体験と共に、今年も終わらせて下さい。
Oasis行く人達へ、本当に楽しんでください。
萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト
俳優・佐久間麻由の優先順位高め!
11月とな。ちゃんと寒くなってきましたね。いつもよりのんびり寝ていていい朝、布団に包まりまどろむ時間が最高にしあわせです。というわけで、11月の私的優先順位高めです、は、お布団の中よりお届けします。よろしければ!
KAAT×城山羊の会『勝手に唾が出てくる甘さ』
再びのKAATと城山羊の会のタッグということも楽しみですが、松本まりかさんとじろうさんの共演が、類稀なる素晴らしい組み合わせなのではと情報解禁時よりわくわくしております。山内ケンジ作品が面白いことは言うまでもなく、名コンビ誕生の予感迸るこの作品を見逃したくないです。
ニッポン放送×南極 企画公演『SYZYGY』
南極の次なる挑戦は、ニッポン放送イマジン・スタジオでの演劇公演!眠れない夜、幾度もラジオに救われた身としましては、イマジン・スタジオで南極を観られる機会を逃したくないです。ジョンとヨーコに想いを馳せながら観る(馳せずに観てください)ラジオパニック劇、ぜひ。
ゆうめい10周年全国ツアー公演「養生」
読売演劇大賞 優秀演出家賞受賞作品!ゆうめいのマスターピースである『養生』の進化版で全国6都市を巡る!ぜひ!(自分たちによる自分たちの作品のための舞台美術、宣伝美術、グッズ、広報がこんなにも強強の劇団が他にあるだろうか、といつも感服してます)
大パルコ人5オカタイロックオペラ『雨の傍聴席、おんなは裸足…』
世の中には沢山の名キャストコンビというものがあると思いますが、阿部サダヲさんと松たか子さんのコンビは、『スイッチ』というテレビドラマ(大変面白いのでぜひ!)で観て以来、大好きです。そんなお2人が宮藤官九郎さんの手掛けるロックオペラにて泥沼バトル!最高に楽しみです。
そして、毎度わたくしごとですが、11月7日(金)から始まる贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』に出演させていただきます。「女性」と「男性」の「わかりあえなさ」を「わかりあおうと」する人たちのお話しです。贅沢貧乏の超マスターピース!劇団初のツアー公演となり、東京・久留米・札幌と巡ります。どうかどうか、お見逃しなく!
以上、11月分でした!ということは、次は12月分!2025年最後に、また!
佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。
出演作品:贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』[東京]2025年11月7日(金)~11月16日(日)@東京芸術劇場シアターイースト、[久留米]12月6日(土)~12月7日(日)@久留米シティプラザ、[札幌]12月13日(土)~12月14日(日)@クリエイティブスタジオ
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
Lit.Link:https://lit.link/mayu221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/
ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!
子供の頃、劇場へ行くとワクワクしました。
かなり大人になった今も、幕が開く直前の高揚感が好きです。
今月も劇場へ足を運びます♪
 
ミュージカル『バグダッド・カフェ』
大好きな映画『バグダッド・カフェ』のミュージカル版が日本初上演されます。アメリカ西部の砂漠の真ん中にある「バグダッド・カフェ」の女主人ブレンダと、そこに訪れたドイツ人旅行者ジャスミンの出会いと友情、そこから広がる国籍も人種も立場も異なる人々の絆を描いたファンタジックなコメディ。ジャスミンを花總まりさん、ブレンダを森公美子さんが演じるというキャスティングも良き!
 
竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』
竹中直人さんと生瀬勝久さんがタッグを組んだ演劇ユニットの7年ぶりの舞台。円熟味を増した個性派俳優二人の怪演をぜひ生で観てみたいと思っています。小惑星の衝突によって世界が約三年で滅亡すると発表された世の中で、これまでと変わらず生きようとする人々の物語。タイトルからは想像がつかないどんなドラマが展開されるのか?
 
今月のおススメ2.5次元作品はこちら!
 
『デスノート THE MUSICAL』
楽曲、演出ともに完成度の高い人気ミュージカルが再々々演。2020年の再々演からキャストをまた一新して上演されます。今回の注目は、初演オリジナルキャストの浦井健治さんと濱田めぐみさんの8年ぶりの出演。初演と再演で主人公・夜神月を演じた浦井さんは死神リューク役、濱田さんは初演&再演と同じく死神レム役で登場します。ファンとしてはテンション上がります。
 
舞台『マイホームヒーロー』
これまで、アニメ化、ドラマ化、映画化もされたジェットコースター・クライム・サスペンス漫画『マイホームヒーロー』が初舞台化。家族のために殺人を犯す主人公・鳥栖哲雄 役を鈴木拡樹さんがどう演じるのか楽しみです。
 
舞台『ジョーカー・ゲームIII』
原案は柳広司氏による短編小説シリーズで、2016年にアニメ化もされた人気作の舞台化シリーズ第三弾。世界大戦期を舞台に、帝国陸軍の若きスパイ達が世界を舞台に暗躍する物語。スパイを演じるキャスト達のふるまいがカッコよく、スリリングな展開にドキドキできます。
 
ミュージカル『PandoraHearts』
望月淳氏のダークファンタジー漫画『PandoraHearts』の初舞台化作品。原作は『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』などの童話をモチーフに、主人公を取り巻く登場人物の複雑な過去や関係性、様々な伏線が散りばめられた綿密なストーリーで、熱狂的ファンから愛されている。ミュージカル界で活躍する作詞の高橋亜子さんと作曲の富貴晴美さんが、楽曲を手掛けるということで期待できそうです。
井ノ口裕子
エンタメ系雑誌の編集者と経て、フリーライター&編集者に。観劇の入口は中学生のときの宝塚で、それから観劇は一番の趣味。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。
ライター・吉永美和子の優先順位高め!
10月は関西脱出せずに、ほぼほぼ大人しく観劇にいそしんでいた吉永です。今年も「KYOTO EXPERIMENT」は「わけわからん」を楽しめる楽しさでした。日本シリーズのチケットが取れなかったことだけが心残りですが、それはさておき11月はちょっと大きめのプロダクションの作品に注目しています。
11月12日(水)~11月16日(日)『サマータイムマシン・ブルース』@サンケイホールブリーゼ
言わずと知れたヨーロッパ企画の出世作。実は私にとっては、「面白い劇団がいる」という噂だけでこの初演を観に行き、終演後に即座に上田誠さんに挨拶を願い出たという思い出の作品でもあります。ヨロ企のメンバーが、さすがに大学生を演じるのは厳しいお年頃になったので、もう封印されちゃうかな……と思っていたけど、フレッシュな面々を使って上演するというのは、恥ずかしながら今さら「その手があったか!」と思った次第です。演出が劇団員の諏訪雅さんだから、かなりオリジナル寄りの舞台になると予想。このままシェイクスピア作品のように、新たなプロダクションと新たな俳優たちと出会いながら、永遠に演じ続けられる戯曲になることを願っています。
11月21日(金)・11月22日(土)ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団『Sweet Mambo(スウィート・マンボ)』@ロームシアター京都メインホール
2000年代初頭に、コンテンポラリー・ダンスが異常なほど注目された時代があり、関西では意外にも滋賀県の公立劇場「びわ湖ホール」がダンスの聖地となってました。その中でも特に印象に残ったのが、ピナ・バウシュの作品群。ただ美しく踊るだけではなく、時に驚くほど滑稽だったり無様だったり、それこそ人間と人生のすべてがここに詰まっていると思える自由な舞台の数々は、私のダンスの見方に大きな影響を与えた気がします。『Sweet Mambo』は日本未上演だったのですが、今回はびわ湖ホールではなく、なんと32年ぶり! に京都で上演。びわ湖ホールとの蜜月の長さを思い知りました。多少足を運びやすくなったぶん、より多くの人にあの唯一無二な世界を体験していただけたらと思います。
11月22日(土)~11月24日(火・休)佐々木蔵之介ひとり芝居『ヨナ-Jonah』@COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
「何かようわからんけど俺のツボをめちゃくちゃ突いてくる表現者」というのが世の中にはいまして、私にとってその中の一人がルーマニアの演出家、シルヴィウ・プルカレーテさんです。映像も含めて3作品ほど観ていますが、舞台のトーンはめっちゃくちゃダークだし、登場する人物たちも特におかしな演技をしてるわけでもないのに、静けさの中にとんでもない狂騒と狂気の気配が感じられて、それがいつ爆発するのか? ってスリルがたまんねーのかなー……などと、今考えてみました。中でも佐々木蔵之介さん主演の『リチャード三世』は、私が今まで観た『リチャード三世』の中でも最高の舞台だったのですが、この2人がタッグを組んで一人芝居を作るとか、そんなん絶対おもろいに決まってるやん、てなものです。映像ちらりと観ましたが、やっぱり「静かさの奥の狂騒」を感じさせる世界で、今回もまた「やっぱいいな、プルカレーテ」ってなりそうな予感がします。
吉永美和子
フリーランスのライター&編集者。関西の情報誌「SAVVY」や「Meets Regional」などで演劇の連載を持つ一方、映画やグルメや旅行などノンジャンルで活動中。
X(旧:Twitter):@Yoshine_A
note:yoshine_a
ライター・中川實穗の優先順位高め!
福岡から中川實穗です、こんにちは。だいぶ涼しくなりましたね。
 
今月は、劇場じゃない場所での公演に惹かれるものが多いです。まずは、文化を愛する人に愛される「ブックバーひつじが」で開催されるカハタレ『分身計画 in ブックバー』。演劇集団カハタレが福岡初上陸します。演出・出演が文筆家の柿内正午さんという特別編成で、短編を2本上演するそうです。この時期、福岡は「ブックオカ」という本のお祭りをやっているので、本好きにもオススメしたい気持ち。
もうひとつは、カレーを愛する人に愛される「マノマ」で上演される、創作ユニットmelomysの『ドリームタイム』。melomysメンバー田崎小春さんの一人芝居です。8月に横浜で上演され好評だった作品で、わたしもその感想を読んでとても楽しみにしています。
九州大学医学部百年講堂で上演される朗読劇『ぼうけんの星』も注目しています。九州大学有志と福岡応援企業による「ふくおかクリスマスフェスタ」の一環として開催され、文化を通して、経済的・社会的に困難な状況にある子供たちや家庭、障害を持つ人を支援し、包摂的な環境作りを進めることを目指している、という趣旨。姉弟である土屋太鳳さん、土屋炎伽さん、土屋神葉さんが初めて舞台で共演し、脚本にも携わっています。演出は河内大和さん。
枝光本町商店アイアンシアターで上演される、「#さす九」をテーマにしたSKYSCRAPER 第8棟『さすが九州クダンのごとし』も気になってます!
 
今月わたしは、KAAT×城山羊の会『勝手に唾が出てくる甘さ』、梅棒20th Breakdown『FINAL JACKET』、Mrs.fictions『再生ミセスフィクションズ3』を観に東京に行きますー!
中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt 
批評家・山﨑健太の優先順位高め!
くそな世界への抵抗として、よりよい世界を希求する作品を11月の優先順位高めにリコメンド。
1本目は贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』。「どこにでもいるような普通のカップル」の妊娠を契機に「女性」と「男性」の「わかりあえなさ」を、そして「わかりあおう」とする姿を描いた本作は、2019年に初演され、2022年にはフェスティバル・ドートンヌ・ア・パリの正式プログラムとしても上演された贅沢貧乏の代表作。「演劇でまなぶフェミニズムのやさしい入門書」というキャッチコピーの通り、演劇ならではの方法でフェミニズム的な視点から現実をまなざすきっかけを与えてくれるはず。
2本目は劇団朋友Space公演 vol. 8『カラフル―私の息子は“弁護士夫夫”です―』(原作:南和行+吉田昌史『僕たちのカラフルな毎日 ~弁護士夫夫の波乱万丈奮闘記~』、脚本:南和行、脚色:斉藤祐一、演出:高橋正徳)。映画化もされている原作だが、今回の舞台化ではカミングアウトをされた母親の視点から描かれた物語とのこと。サブタイトルには「夫夫」とあるけれど、現在の日本では同性婚はできない状態。同性婚をめぐってはすでに5つの高等裁判所で同性婚を認めない現行法を「違憲」とする判決が出ていて、2026年中には最高裁でも統一判断が下される見通しだが、一刻も早く法制化してほしいもの。
加えて、東京2020パラリンピック開会式の参加クリエイターらによる新作公演『TRAIN TRAIN TRAIN』(振付・演出:森山開次、音楽:蓮沼執太、テキスト:三浦直之)とデフオリンピックを契機に上演される「ろう者と聴者が遭遇する舞台作品『黙るな 動け 呼吸しろ』」(総合監修:日比野克彦、構成・演出:牧原依里、演出:島地保武)も優先順位高めです!
山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta
ライター・岩村美佳の優先順位高め!
今月楽しみにしているのは、ミュージカル『バグダッド・カフェ』と『デスノート THE MUSICAL』です。
映画『バグダッド・カフェ』のミュージカルとのことで、テーマ曲「Calling You」は聞いたことがありましたが、映画を見たことはありませんでした。あの世界観がミュージカルではどんな風に拝見できるのでしょう。取材させていただいた時に、ジャスミン役の花總まりさんと、ブレンダ役の森公美子さんのコンビ感が何とも不思議でありつつしっくりしていて、ワクワクしました。映画では初老のイメージだった画家ルディ役を小西遼生さんが演じられるのも意外で楽しみ。個性際立つ多彩なキャストの皆さん、演出の小山ゆうなさんが描く世界観も楽しみです。
『デスノート THE MUSICAL』は、ミュージカル初演から10年で4度目の上演。夜神月のオリジナルキャストである浦井健治さんが死神リューク役を演じ、オリジナルキャストの死神レム役濱田めぐみさんのカムバックはエポックメイキング。前回の再演を観ながら、改めてなんて良くできたミュージカル何だろうと唸りました。新世代の皆さんが作る『デスノート THE MUSICAL』も期待しています。さらに、ほぼ同時期に、オリジナルキャストのもう一人の夜神月役、柿澤勇人さん、同じくオリジナルキャストのL役小池徹平さん、夜神総一郎役の鹿賀丈史さんらが台湾コンサート公演に出演されるとのこと。私は台湾までは足を伸ばせないのですが、心を熱く応援しています。
岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri
ライター・河野桃子の優先順位高め!
長田育恵さんの新作脚本にて、劇団俳優座『存在証明』が世田谷のシアタートラムで上演される。「リーマン予想」の証明を志した数学者たちと、その娘アンが働く精神病院の患者である少女が繰り返す「4450973」という謎の数字。大きな社会のうねりと、一人ひとりの人間の思いを、丁寧に紡いでいく長田さんの脚本に期待がふくらみます。
しかも、『存在証明』の千秋楽である15日は、となりの世田谷パブリックシアターでこれまた長田育恵さん脚本の『シッダールタ』が初日を迎えます。原作がヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』だけでなく、ヘッセの青春小説『デーミアン』も。ともに、善悪とは?強者と弱者とは?破壊と愛とは?と考えをめぐらせる2冊が並ぶ、日本の急激な変化を前にぜひ観たいテーマです。白井晃さんの演出と草なぎ剛らキャストの座組も力強いです。
※草なぎ剛の「なぎ」は、弓へんに「剪」が正式表記
もうひとつ、新国立劇場『鼻血 ―The Nosebleed―』に注目。劇作家・演出家アヤ・オガワさんの自伝的な戯曲で、亡くなった父親との複雑な関係を描いています。22年にはオフブロードウェイなどで上演された優れた舞台に与えられるオビー賞を受賞し、ご活躍は聞いていたので、作品が日本で上演されることが嬉しいですね。
ほか、上演順に11月1日(土)からダミアン・ジャレ × 名和晃平『Planet[wanderer]』(舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」)、11月6日(木)から土田英生さん脚本・演出の『チェーホフを待ちながら』、贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』、梅棒『FINAL JACKET』、ヌトミックの新作『彼方の島たちの話』(世田谷パブリックシアター フィーチャード・シアター)も。
河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com
ローチケ演劇部_白の優先順位高め!
11月です。すっかり寒くなりましたね。
そんなわたしの11月の優先順位高めな公演はコチラです。
・優しい劇団七周年記念 まるっと一ヶ月公演 『光、一歩手前』
まずはこれです。優しい劇団。これまで観た大恋愛シリーズは、ライブ感と刹那感が満載で作品により深みを感じさせてくれました。今回は本公演ということですが、毎公演日替わりゲストがいるので、何度観ても楽しいはずです。そして、「物語の舞台は数十年後のどこかの地方都市。排気ガスなどの環境問題が加速して町が明るくなったせいで空を見上げても星が見えない。そんな時代の天文部の高校生たちのお話です」(ローチケ演劇宣言!インタビューより)、これ聞いてめっちゃワクワクしました。ぜひみなさん、高円寺か名古屋で観ましょう。
・ダウ90000『ロマンス』東京追加公演
これを書いている今のところ、チケット確保ができていません!1次は落選しました。すごい。観たいなぁ。最初にやったのは5月で、こうやって時期を空けても同じ舞台公演をやる(やれる)のが、とてもすごいことだなと思います。(ローチケでは売ってません!)
・Mrs.fictions 『再生ミセスフィクションズ3』
15 Minutes Madeなどで発表してきたミセスフィクションズの短編が一気に観れます!お得!(でもローチケでは売ってません!)
・ニッポン放送×南極 企画公演『SYZYGY』
9月埼玉でも多くの観客を楽しませた南極が今度はニッポン放送とタッグ!ラジオ局の話みたい。ニッポン放送と組む醍醐味ですね。(これもローチケで売ってません!)
・大パルコ人5オカタイロックオペラ『雨の傍聴席、おんなは裸足…』
宮藤さんによる大パルコ人シリーズの第5弾。これは外せませんね!絶対面白いやつ。
・梅棒 20th Breakdown『FINAL JACKET』
そしてやっぱり梅棒ですよね、梅棒。冬の梅棒。世の中を明るく元気にしてくれる梅棒。元気をもらいたいと思います。
他、KAAT×城山羊の会『勝手に唾が出てくる甘さ』、竹生企画『マイクロバスと安定』、贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』などを観たいと思っています。
ローチケ演劇部_まるの優先順位高め!
2025年はじめての優先順位高めです。
いつからか梅棒公演だけおすすめする人になっておりますが、ほかの作品もほかの月もたくさん観劇しています!
とはいえ、11月のおすすめは梅棒 20th Breakdown『FINAL JACKET』です!
気になるビジュアル、ファイナルジャケットってなに?と頭の中にはてなが浮かんでおりますが、あらすじを読む限り笑える要素満点だと確信しています。
新メンバー加入後初の本公演、記念すべき第20回公演、日替わりゲスト回…何回いけばいいのか迷っておりますが、まずは梅棒メンバーのみの回、『おどんろ』好きとしては欠かせない小越勇輝さんゲスト回は確保しました。一気に寒くなってきたので、笑って体が温まる作品だといいな、と期待しています!
