この世には、不思議なことなど何もないのだよ。
戦後間もない昭和20年代後半を舞台に、「憑物落とし」を副業にする古本屋、鬱気味の冴えない小説家、「推理をしない」探偵など癖のある魅力的な登場人物と、民俗学や論理学、妖怪など様々な分野の薀蓄がぎっしりと詰め込まれた不思議な世界観で、多くのファンを獲得している京極夏彦の大人気小説「百鬼夜行シリーズ」。
長編は現在9作品が刊行されており、シリーズ累計 1,000万部を超えています。その中でも最高傑作の呼び声が高い『魍魎の匣』を舞台化!!
主演を務めるのはEXILE/EXILE THE SECONDの橘ケンチ。主演を務めた舞台、「幽劇」(2017年)、「ドン・ドラキュラ」(2015年)でも好演を見せ、役者としても活躍している橘ケンチが、京極夏彦の超絶ミステリーの世界に挑みます。
【コメント】
≪橘ケンチ≫
京極夏彦先生の『魍魎の匣』という作品を舞台化させていただけることになり、大変光栄に思っています。
鍵となる魍魎の存在をどう表現していくのか、そして人間の死生観が垣間見えるようなとても奥行きのある作品なので、演者としてこれ以上ないやりがいを感じています。明るく華やかな作品というよりは、観ていただく方々の心の奥底に深い衝撃を投げかけるような世界観になるのではないかと思っています。 皆様を『魍魎の匣』中毒にできたら、、と願っています。是非楽しみにしていて下さい。
≪京極夏彦≫
魍魎は、この世のものではありません。
この世とあの世の端境に棲みつく化生のものです。 当然、簡単に逢えるものではありません。 魍魎の姿をとらえるためには、数え切れないほどの呪文が必要だったのです。そこで、言葉を集め文を紡ぎ、魍魎を小説という匣に閉じ込めようとしてみました。もう、四半世紀も前のことです。うまくいったかどうかはわかりませんが、『魍魎の匣』という小説は出来上がりました。そして時代は移り変わり、匣に詰められた忌まわしい妖物は、舞台という新しい匣に移されるのだそうです。 血肉を得た言葉は、声となり動きとなって、演劇という端境を作り出すのでしょう。 そこに果たしてどのような魍魎が涌き出ずるのか、今から愉しみでなりません。
【プロフィール】
京極夏彦
■キョウゴクナツヒコ 1963(昭和38)年、北海道生れ。小説家、意匠家。
1994(平成6)年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。 1996 年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞を受賞。1997年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、 2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、2004年『後巷説百物語』で直木賞、2011年『西巷説百 物語』で柴田錬三郎賞を受賞。2016年、遠野文化賞を受賞している。
京極夏彦公式サイト「大極宮」 http://www.osawa-office.co.jp/
撮影/森 清