IHIステージアラウンド東京にて、2018年2月末までロングラン上演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』。“花・鳥・風・月”とシーズンごとに趣向を凝らして変化、進化を続けてきたこの舞台、いよいよ第4弾となる“Season月”では劇団史上初の“ダブルチーム”制として“上弦の月”チームと“下弦の月”チームが1日交代でステージを務めている。同じ脚本、同じ演出を同じ稽古場で受けて来たにもかかわらず、個性あふれるキャスティングのため、かなり違う色合いの作品になっているのも見どころのひとつだ。“上弦の月”では高田聖子が演じている<極楽太夫>を“下弦の月”で演じているのは、新感線の本公演にはなんと17年ぶりの復帰となる羽野晶紀。これまた久しぶりの新感線の過酷なヴィジュアル撮影を終了した時点で、劇団復帰への想い、今回の企画のことなどを語ってもらった。
――本当に久しぶりの劇団復帰になりましたね。
羽野「そうなんです。出なくなってだいぶたつから、むしろお客さんとして観に行く期間のほうが長くなってしまって。だけど年々スケールが大きくなっていくから、すっかりお客さんとして楽しんでしまって、毎回きゃーきゃー言いながら「あそこ、どうなってんの? あれは誰がしたん?」って、観た後はいつも興奮していました。楽屋で劇団員に会うとびゅーんって20年さかのぼって、昔とまったく同じような会話をしていたんですよね。」
――じゃ、劇団員としての感覚は健在。
羽野「そう、あっという間にあの頃に戻れちゃうから。でも、だからこそ稽古が始まると思うと、あの頃の緊張感が同じように戻ってくるから。ちゃんとせな、いのうえさんにまた怒られるかもーって(笑)。この、ちゃんとせなっていうのは、いのうえさんの「ここまでしなさい」ってところまでいかないといけないからなんですけどね。」
――要求されるところまで、もっていかないと。
羽野「しかも自分では「ホントにそんなことして面白いんですか」って思うことでも、やらなきゃ許してもらえなくて。でもやるとみんなからクスクス笑われて。そのまま結局、本番が来て、お客さんにもクスクス笑われて。」
――そんなパターンだったんですね。
羽野「そうそう。そういう目にずっとあってきていたのに、この間、劇団員に聞いたらみんな「いのうえさんは、前と全然ちゃうでー」って言っててビックリしました。」
――新たないのうえ演出になっているのかも。
羽野「そうなんです。だけど私がやってた時の<極楽太夫>は、最近の『髑髏城~』の<極楽>みたいにシュッとしてなかったし、私じゃあんなにシュッとやれないし。だからきっと“Season月”の<極楽>は、また台本も変わってシュッとしてない人になるんじゃないかなって、そこも乞うご期待なんですよ。」
――“上弦の月”チームでは、高田聖子さんも同じ<極楽太夫>を演じるわけですし。
羽野「そうですよ、聖子さんがやるにしてもシュッとやらせてくれるわけないですよね。きっと、そうだと思いますよ。でも、そこも楽しみでもあり、怖くもあるんです。それは怒られることが怖いとか、そういうことだけじゃなくて、何をさせられるかが怖いんですよね。」
――稽古、本番に向けて今の時点で準備しようと思われていることは。
羽野「まずは、足がつらないように、じわじわ、運動しておこうと思っています(笑)。だから最近、常に筋肉痛がとれないの。じわじわ運動しているから。だけど、昼間のスポーツクラブって、この時間に来られるって!若い人は役者さんなのかな?っていう人もいるけど、あとは結構シニアで。でもそのシニアの方がついていけてても、私はついていけなかったりするから、落ち込んでしまって。それにどうしたって見た目は絶対老いるものですし。そこは筋肉量の問題もあるのかな、とか思いながら。」
――筋肉をつけないと、と?でも羽野さん、昔と変わらないですよ。
羽野「いや、変わる変わる!でもさすがにマイナス20歳は無理だけど、マイナス5歳くらいなら、もしかしたらまだいけるかもなと思って。」
――現実味のある目標として、少し筋肉量を増やそうと?
羽野「あはは、そうそう。とりあえずマイナス5歳分は、がんばります!(笑)」
インタビュー・文/田中里津子
Photo /村上宗一郎
【プロフィール】
羽野晶紀
■ハノアキ 1968年8月22日生まれ。京都府出身。大学在学中にスカウトされ1987年『BOYS IN THE ATTIC~闇夜にドッキリ!』から劇団☆新感線に参加。バラエティ番組に多数出演し、CDデビューするなど、関西のアイドル的存在となり、『キル』、『ハムレット』、『TABOO』など劇団外の公演にも出演。結婚後、しばらく家庭に入っていたが2008年に復帰、近年の主な出演作に映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』、舞台『ワルシャワの鼻』などがある。『髑髏城の七人』は1990年の初演版で<極楽太夫>を演じて以来、劇団☆新感線の本公演には17年ぶりの出演となる。