有吉佐和子の原作で、幾度となく上演されてきた『ふるあめりかに袖はぬらさじ』。この名作に、大地真央と宝塚歌劇団の演出家・原田諒が初タッグを組み、音楽劇として息を吹き込んだのが2017年のこと。そしてこの度、再演が決定し、いよいよ10月18日より博多座での上演がスタートする。今回は、先日アップしたインタビューでは語られていない話も含めた、福岡での取材会の模様を特別にお届け!
ーまずは意気込みをお聞かせください。
「この度、再演をさせていただくことになり、本当にうれしいです。この作品は博多座の劇場にぴったりの作品ではないかと思っています。再演ですからよくて当たり前、という厳しさもあると思いますが、素晴らしい先生方と、新たに迎えるキャストたちとともに、素晴らしいアンサンブルをお届けできると思います」
ーポップな楽曲も評判ですね
「オープニングは音頭で、宝塚のような華やかな感じから始まります。そのほかの曲も、一曲一曲が名曲で、それぞれ心情がクローズアップされています。唐突に歌い始めるというのがまったくなく、自然に気持ちがそのまま歌になるという。そのあたりがよくできています」
ー再演にあたって、特別な思いはありますか?
「よくて当たり前のところからスタートしなくてはいけないので、より掘り下げて、ひとりひとりの登場人物がいきいきと、その時代にその場で生きているというような舞台を目指したいと思っています」
ーコメディを演じられるときに、心がけていらっしゃることはありますか?
「役の人物として真面目にやること。面白くやろうと意識するのではなくて、ただ心の底に楽しむ気持ちというのはもっていますね。お客様には笑って、喜んで、涙して、見終わった後に、“見てよかったな”、“私も頑張ろう”と明日への活力源としていただけたらと思っています」
ー原作は有吉佐和子さんの名作ですが、最初にお話をいただいたときにどのような感想をお持ちになりましたか?
「ものすごい量のセリフに最初はプレッシャーを感じたのですけれど、それを音楽劇にするということで挑戦してみたいという気持ちになりました」
ーお園さんはどういったヒロイン像ですか?
「初めての役どころですね。つい先日までは『クイーン・エリザベス』で、女王を演じてまして、今度は三味線芸者。ギャップがありますが、そこが楽しい。また、お園さんは明るくて、お人好しで、情が深くて、飲んべえで、とっても人間臭くて魅力的な人。とてもやりがいのある役ですね」
ーお園さんはそんなつもりはなかったのに、話がどんどん大きくなっていきます。
「嘘をついたつもりはなく、おもしろおかしく話をしろと、岩亀楼のご主人(佐藤B作)にいわれてね(笑)。もともとはお園ではなく、ご主人さまが悪いんですよ(笑)。SNSでフェイクニュースが広がるなど今の時代と、共通項があるかもしれません。お園さんとしては調子者なので、お客様を喜ばせたいという意味で話したことがどんどんどんどん大きくなっちゃって・・・という、一生懸命さのおかしみみたいなものもあると思いますね」
お園さんの三味線の弾き語りも見どころとなる本作。10月18日(金)~27日(日)までの博多座公演後は、11月3日から東京・明治座への上演と続く。ただいまチケット発売中!チケットの詳細は下記よりご確認ください
取材・文:山本陽子