ONWARD presents 劇団☆新感線『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』 Produced by TBS 山本亨 インタビュー

東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京にて、5/31(木)まで上演中の劇団☆新感線『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極』。これは2017年3月にオープン以来、1年3ヶ月かけてロングランを続けている『髑髏城~』シリーズの最終章にあたる作品だ。これまでのものと世界観は同じでお馴染みのセリフが飛び交うにも関わらず、ストーリー展開はまるで違うという、この新たな『髑髏城~』で<狸穴二郎衛門>を演じているのは山本亨。新感線への出演は4回目となる“準劇団員”の山本に、作品への想いを語ってもらった。

 

――山本さんは、これまで新感線には『アカドクロ』(2004年)、『蛮幽鬼』(2009年)、『乱鶯』(2016年)と3回出演されていますが、いのうえひでのりさんの演出作品ということでは『天保十二年のシェイクスピア』(2002年)と『リチャード三世』(2008年)にも出られているんですね。いのうえさんの演出に関しては、どんな風に思われていますか。

山本「いのうえさんは、ご自分でいろいろミザンスというか見え方をつけて演出してくださるので、実は個人的にはとてもラクというか(笑)。お客さんに観やすいような位置取りもしっかり考えてくださいますし、いのうえさんがその役の動きも感情もすべて把握してやってみせてくださるし。僕としては非常に好きですね。もちろん、役者からの意見も言う時は言わせていただきますよ。そういう時はちゃんとディスカッションもしてくださる、素晴らしい演出家だと思っています。いや、もう、いのうえさん本人を僕は好きなんです。演出家というより、人間として大好きです(笑)」

 

――では新感線の公演に出られる時の楽しさ、醍醐味とは。

山本「そうですねえ、でも、この年齢になるとどうしても疲れるなあ、大変だなあ……という気持ちが……」

 

――そっちのほうが先に出ちゃいますか(笑)。

山本「いやいや、これは決して悪い意味じゃないんですけどね。ステージ数も多いですから、今回もお話をいただいてから、まずは体力づくりを改めてやらないと!と心に決めました。新感線さんと言えば、やはりアクションもあるでしょうし。うーん、やっぱり楽しみというよりは、今の時点では身体を鍛えておかなきゃ!という気持ちのほうが大きいですね」

 

――覚悟してかからないと、と。

山本「そうです。劇場のキャパシティも大きいですし、変な話、チケットのお値段もそれなりにしますからみなさんも相当期待されて来られるでしょうしね。長丁場でもあるから、とにかく体調面は万全に整えておくつもりです。それにしても“Season花”、“Season鳥”と観させていただきましたが、本当に若い人たちみなさんの体力はすごいなあって思いましたよ。感心するばかりでしたね」

 

――また、いのうえさんの演出もシーズンごとにかなり変わっていましたし。

山本「そうでしたね。同じセットのようでもちょこちょこ変わっていましたし、劇場の使い方もやればやるほど慣れてくるというか。徐々にわかってきたというようなことをおっしゃっていましたから、作品ごとにどんどん進化し続けているんじゃないでしょうか。そして今回の演出はどうなるのか、僕も今からとても楽しみです」

 

――『髑髏城~』の作品自体の魅力は、どういうところに感じられていますか。

山本「“七人”というと、やはり黒沢明監督の『七人の侍』が頭に浮かびますし、たぶん(中島)かずきさん、いのうえさんもそういうものもイメージして“七人”にしたんじゃないですかね。しかも、偶数じゃなく奇数というのがまたいい」

 

――人数的にも、ちょうどいいと(笑)。

山本「はい。それでみんなが出会って、悪というか大きなものに立ち向かっていくというストーリーがすごく日本人好みなんだと思います。そういう、浪花節的なところも感動につながるのではないでしょうか」

 

――では、お客様に向けてメッセージをいただけますか。

山本「<狸穴二郎衛門>というのは、これまで数々の素敵な俳優さんたちがやられてきた役なので、みなさんのいいとこどりをさせていただきつつ(笑)、自分なりに演じていきたいです。そしてなんといっても今回は、天海祐希さんと古田新太さんの顔合わせですからね。これは観ないと絶対に損です! ぜひとも、劇場まで観に来ていただきたいと思います」

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インタビュー・文/田中里津子
Photo/村上宗一郎

 

【プロフィール】
山本亨
■ヤマモトアキラ 1961年2月7日生まれ、滋賀県出身。1979年にジャパンアクションクラブに入団。坂東玉三郎演出の舞台『なよたけ』『天守物語』に出演。1990年につかこうへいと出会い、『幕末純情伝』の再演で岡田以蔵に抜擢されるなど、つか作品には多数出演。1999年以降はtptを中心に、圧倒的な存在感で舞台を中心に活躍している。2013年には第1回すみだパークスタジオ演劇賞を受賞。映画『ハピネス』(2017年)、ドラマ『流星ワゴン』(2015年)、舞台「すべての四月のために」などにも出演。劇団☆新感線の舞台は、これが3作目の出演となる。