福島雪菜、前田悠雅、岡田帆乃佳インタビュー【前編】|劇団4ドル50セント×柿喰う客『学芸会レーベル/アセリ教育』

左から 岡田帆乃佳・前田悠雅・福島雪菜

劇団の枠を超えて活躍する劇団4ドル50セント。
柿喰う客とタッグを組んで2種類のオムニバス公演に挑戦!

 

秋元康がプロデュースを手掛ける劇団4ドル50セントが、柿喰う客とコラボしオムニバス公演「学芸会レーベル/アセリ教育」を上演する。作・演出は柿喰う客の中屋敷法仁が手掛け、メインキャストには4ドル50セントの福島雪菜、前田悠雅、岡田帆乃佳が決定。キャスティングを聞かされたばかりの3人に、その胸中を語ってもらった。


――新年最初となる公演で、メインキャストを務めることになりましたね。

岡田「本当に、さっき聞いたんですよ(笑)。普通に嬉しかったです。前回のオムニバス公演(「カラフルボックス/白の待合室」)には私は出ていなくて、観に行った時に客演で出ていただいていた柿喰う客の淺場万矢さんのお芝居に嫉妬してたんですよ。4ドル50セントのお芝居なんだけど、めっちゃメリハリがついていて…。今回は共演できるので、しっかり盗んでいきたいと思います」

前田「さっき聞いたばかりなのに、もうそこまで考えてたなんて、すごい! 私は恐怖。私は外部の作品に出たことが無くて、4ドル50セントの舞台しかやったことがなくて…。前回公演では柿喰う客の齋藤明里さんも客演で出てくださっていたんですが、やっぱり人が多い分、空気感は4ドル50セントの空気だったんです。だから今回、4ドル50セント以外の劇団員がたくさんいる状況というのも慣れていないし…。柿喰う客の公演も観ているんですけど、この人ヤバい!って思った人たちだらけ。その人たちと一緒にやっていくとなると、恐怖です。でも、来年すぐに公演が決まっていることに喜びはありますし、頑張ることがあると燃えますね。やる気は満ち溢れてます!」

福島「私も、すごくプレッシャーを感じています。2019年は多くが外部の仕事だったので、劇団の公演に戻ってくるにあたって“お前、ちゃんと勉強してきただろ? ここで実力を発揮しろよ!”って言われている気がして。勝手にですけど(笑)。「ゲストの方もいるから、ホスピタリティも意識して」とも言われていて、プレッシャーにプレッシャーを重ねている感じです。楽しみでもあるんですけど、緊張も大きいですね」


――劇団も3年目になりましたが、今の雰囲気は?

前田「良くも悪くも、他人ぽくなりました(笑)」

岡田「確かに! 今までギュって固まっていたのが、ちょっとずついい間隔ができて、ひとりひとりが粒立ってきた感じかな」

福島「外部に出演するメンバーが増えて、劇団全員でやる公演が減ったのもあるかも。他のメンバーを客観視することが増えましたね。今日、揃うのも久しぶりだったんです」

岡田「なんかちょっと緊張しちゃったもんね(笑)。2019年は個々を伸ばす年だったんだと思います」――外部出演といえば、福島さんは岡村俊一さん演出の「フラガール」、岡田さんはカムカムミニキーナ「両面恨み節~相四つで水入り」に出演されましたが、いかがでしたか?

岡田「オーディションで出演することになったんですが、最初から「勉強させてください」っていう気持ちでした。劇団というものを知りたくて、長く劇団として活動されていて、しきたりもあって…っていうのに興味があったんです。だから、寂しくはなかったですね。4ドル50セントから気持ちは離れてないし、持ち帰りたいって思ってましたから。カムカムミニキーナの皆さんは、本当に家族や兄弟みたいで、気を遣われすぎない感じが良かったな。楽しかったです」

福島「SNSみてても、そんな感じがしたよ」

岡田「カムカムミニキーナでは、制作や衣装、物販、宣伝も劇団員がやっているんですよ。居酒屋に行ってチラシ置いてもらうところまでも。八嶋智人さんをはじめ、劇団員が本当の意味で柱からひとつの作品を自分たちで作っていくことにすごくワクワクしました。使命感もすごくて、自分にしかできない役割があるからか、相手が例え先輩でも譲らないんですよ。何もおろそかにしない。役者であり、スタッフでもあるからその両立がシンプルに素晴らしかったです。小道具も自分たちで作っているから、愛着も湧くしね。私たちの場合はスタッフさんがついていてくれて、それはとても強い柱なんけど、柱さえも私たちのカラーにできたら4ドル50セントはもっと強くなるんじゃないかと思わされました」

福島「もう外部っぽくなかったもんね。その時期はカムカムミニキーナの岡田帆乃佳に見えたし、ちゃんとほのちゃん(岡田)の役割がその舞台の中でもあったように見えたもん。ほのちゃん(岡田)って、すごく良い人なんです。その4ドル50セントのみんながしっているほのちゃん(岡田)の良さを、外部の人たちにもちゃんと伝えられたんだな、っていうのがすごく嬉しかったですね」

岡田「ありがとうございます。すごい嬉しいコメント(笑)」

福島「私は「フラガール」に出演したんですけど、自分の人生にとってターニングポイントになる作品になればいいなと思って挑みました。役者として食べているプロの方たちとお稽古から本番まで、いろいろお話させていただいて、本当にカッコいいなと思って…。今まで、劇団全体について考えることはあっても、あんまり個人として考えることはなかったな、という想いはすごくあったんです。お芝居としてもたくさん学ばせていただきましたが、私個人としてどうなりたいのかを、すごく考える機会になりました。役者として、女優として生きていきたい。今、そういう気持ちで居ますが、3年前にはそんな気持ち無かったな、って。モデルをやっていて、なんとなく劇団に入っちゃって、なんとなくお芝居して。お芝居は嫌いじゃなかったけど、そういう感じだったように思います。それに劇団の中だとお互いに助け合ったり、自分以外のことも意識してしまうんですけど、「フラガール」の時は、自分のことだけ考えて、自分のやるべきことをやればいいという時間だった。そこを割り切ることができたのが、すごく良い経験になりました。私はお芝居が好き、女優として死ぬまで生きていきたい。そういう目標というか、人生設計を明確にすることができました。ギアが変わった感じがしています」岡田「「フラガール」を観に行ったんですけど、めっちゃ力強くて。ユッキー(福島)が作品自体を超引っ張ってたんです。すごく誇らしかったし、刺激になりました。元々、芯が強いんだけど、明確な目標ができたからか、より強くカッコよくなった。4ドル50セントのユッキー(福島)よりも大人な感じがしました」

前田「オーラが違ったもん。外見から違った(笑)。オムニバス公演に出演してない劇団員はアフタートークに参加してもらったんですけど、オーラが凄い人の隣に、汗だくでボロボロの自分がいて…。佇まいも落ち着き加減も、外で学んだことが活かされているんだな、というオーラをとても感じました」

福島「いやー、恥ずかしいね、これ(笑)」


――どんどん普段は言えない胸の内を明かしてもらいましょう(笑)。前田さんは劇団公演の中で頑張っていた側ですが、どんなお気持ちでしたか?

前田「オムニバス公演が始まる前は、どんどん寂しくなっていました。劇団のみんなで集まる機会が減っていて、みんなが戻ってこないんじゃないかっていう気持ちが強くなっていました。でも、オムニバス公演で初めて客演の方に入っていただいたことがすごく良い経験になりました。芸歴も長くて、場数もたくさん踏まれている方なので、見ている景色もモチベーションも全然違ったんです。劇団はみんなで一番最初から始めているからか、目標もみんな似たようなところになっていたんですけど、他のみんなが外部で学んでいたように、客演の方がいたことで個人個人でしっかり動けたんじゃないかと思います。新しい発見でした。今は、外部でいろいろな経験をしてきた劇団員が戻ってきたときに、何ができるのかな?っていう気持ちなので、またみんなでやりたい!ってすごく感じています」――個々での活動について、他メンバーからの評判や活動をうらやむような声はあった?

前田「ちょっと違うんですけど、劇団を立ち上げた当初は映像をやりたがる人が多くて。でも、今は舞台をやりたいっていうメンバーがすごく増えたような気がします。外部も含め、舞台に出演するメンバーが増えてきて、みんなの意識が変わってきているかもしれません」

岡田「確かに! いい影響になっているのかな?」

前田「私が嬉しかったのは、オムニバス公演に出演していて、出演していないメンバーから「うらやましい」ってけっこう言ってもらえたこと。今までの劇団公演って、当て書きというか自分たち自身がベースになっているものが多かったんです。でもオムニバス公演はそうじゃなくて、自分たちとはかけ離れた役をやることが、けっこう新しかったんです。役者として見てもらえてる感じがして、その上で「4ドル50セントで舞台をやりたい」って出演していないメンバーにも思ってもらえたのが、離れていない感じがして…私もそう思う!ってなりました」

福島「「フラガール」にもけっこういろんな人が観に来てくれました。その中で、仲のいい久道成光とうえきやサトシっていうメンバーがそれぞれ別の日に観に来ていたんだけど、「感想を伝えるにもスマホのメッセージじゃ短いわ!」「じゃあ飲もう!」ってなって、私の休演日に3人で集まったんです。「フラガール」の感想も貰ったし、私は私でうえきやが出演してた「HIGH&LOW THE WORST」を観たよ~みたいな話をして…3人でいろいろ演技についての話を終電間際まで語りまくって、久しぶりに劇団を味わえた。“私の劇団だ!”って思えて、嬉しかったです」

岡田「ウチらの場合、バチバチ感って少ないかもね。離れているからこそ、今いい関係性で居られる感じもあります。外で頑張っているからこそ、みんなでやりたいね、っていう想いを持って頑張れているのかな? そういう欲求はもっと溜めていきたいです」

 

取材・文/宮崎新之

 

★インタビュー【後編】は2020年1月公開予定!

≪インタビュー【後編】小見出し≫

■今後の劇団について岡田「着実に土地を固めていきたい」福島「本公演を全員でやりたい」

■中屋敷法仁演出『学芸会レーベル/アセリ教育』について前田「中屋敷さんってぶっ飛んでるんで、絶対に想像しても違うことになる気がする(笑)」