左:鈴木裕樹 右:横山涼
宅間孝行が主宰する「タクフェス」が春の新シリーズとして立ち上げた「タクフェス 春のコメディ祭!」。3回目となる今回は、2004年に東京セレソンデラックスで上演された「Happy」を「仏の顔も笑うまで」と改題し、パワーアップしてお届けする。著名な落語家の生前葬を翌日に控えた寺に、仕事を済ませたばかりの間抜けな銀行強盗のコンビがやってくるというストーリーで、勘違いや行き違いから物語はとんでもない方向に進んでいくことになる。宅間が仕掛ける抱腹絶倒のコメディに挑むことになった、鈴木裕樹と横山涼の2人にその意気込みを聞いてきた。
――まずは、今回の出演が決まった時のお気持ちは?
鈴木「純粋に嬉しかったとの、びっくりしましたね。自分が観ていたものでしたし、そこに自分が出演できるという喜びが大きかったです。タクフェスにはコメディのイメージが強いですね。ホロリとくるような切ないお話もたくさんあると思うんですけど、自分がコメディが好きなこともあって、お客さんがみんな笑っているような、そんな印象です。」
横山「僕は一度、番外公演に出演させていただいて宅間さんにはお世話になっていましたし、もちろん他の公演も観させてもらっていたので、うれしかったですね。番外公演に出演させていただいて、本公演にもいつか出たいなという気持ちもありましたし、あの頃から自分がどれくらい成長できたかも宅間さんに観て頂きたいですね。タクフェスはすれ違いが面白いというか、ソコとソコがつながるんだ!みたいなところが沢山あって惹き込まれるんですよね。その緻密に計算された中での、バカバカしいこと、というか。そこに不思議と引き込まれてしまう感じがありますね。」
――春のタクフェスは「コメディ祭!」とあるように、コメディにフォーカスしたものになっています。演じる側としてはコメディをどのように捉えていらっしゃいますか?
鈴木「コメディは大好きですし、憧れもあります。人を笑わせるのは難しいことだと思っていて、そういう役者さんも大好き。でも、自分が演じる側になった時は、コメディだからどうというわけではなくて、基本的にはいつものように一生懸命やることですかね。普段のお芝居と変わることはないという気はしています。というか、逆にコメディの方が一生懸命さがないと、面白くならないと思いますしね。」
横山「人を笑わせるのってムチャクチャ難しいな、というのは思っています。自分が役者をやっているのは、みんなに楽しんでもらいたいから、という気持ちが強くあるんですけど、舞台って皆さんの反応がリアルタイムで返ってくるじゃないですか。笑い声とかが返ってくると、楽しんでもらえているんだな、とやる気も出てくる。でも、笑いって一番難しいんじゃないかと思うくらいですから、真剣にやって、とにかく楽しんでもらいたいです。」
――まだちょっと挨拶をしたことがある程度とお聞きしていますが、お互いの印象はいかがですか?
横山「そうなんです。先日、宅間さんのお誕生日会に呼んで頂いて、その時にご挨拶させていただきました。あ、でもオーディションも一緒でしたよね?」
鈴木「あ!そうだったね。」
横山「変な言い方ですけど、一緒に受かって、一緒にお芝居できるのは凄く楽しみですね。」
鈴木「僕もまったく同じ気持ちです(笑)。あの時は役とかも全然わかってなかったので、こうやって並んで一緒の舞台に立てるのは嬉しいですね。」
――今日は役をイメージした衣装で撮影でしたが、衣装を身に着けてみていかがでしたか?
鈴木「僕は県職員の役で、知事と一緒に行動しているんですけど、道路拡張工事を進めていてそこでひと悶着ある感じですね。ちょっと驚きもある役どころなので、いろいろな面を出していって、そこも面白がってもらえたらいいな。」
横山「お蕎麦屋さんです(笑)。舞台となるお寺の人間でもないので、ある意味で自由に動けるようなキャラクターだと思います。でも蕎麦屋を守りたいという自分のやりたいこともあって、そういうのをどこまでできるのかな?と思っています。スキを見計らって、自分なりにいろいろ出していければいいなと思います。」
鈴木「なんかいいよね、お蕎麦屋さん。あんまり見ないじゃないですか、こういう感じのお蕎麦屋さん。」
横山「こんなステレオタイプな感じのお蕎麦屋さん、最近はあんまりいないかもしれないですね(笑)。この格好で冒頭に雑巾がけとかしているんで、ある種出オチ感もあるかも知れない…。そういうところでも目を惹きたいですね。」
――お2人の共通点といえばスーパー戦隊シリーズに出演されたご経験があるというところになるかと思います。いわゆる“戦隊あるある”のようなお話ってあったりしますか?
横山「あたりまえのことではあるんですけど、特にマナーについてはメチャクチャ気を付けるように言われましたね。子どもがいると、横断歩道も手を挙げて渡るようになりました(笑)。やっぱりお手本になろうと思いますからね。子どものヒーローになる、ということがどういうことなのか、今まで僕が観てきたヒーローがそうだったように、僕もそこを気を付けましたね。僕は警察官のヒーローの役でしたし、さらにそういう部分があったと思います。」
鈴木「がんじがらめだね、それは(笑)。でも、今の戦隊ものとはちょっと違うかもしれないな。僕の時はメチャクチャでしたから(笑)。よく、あんなことやれたな、と思います。確か、1話の変身シーンで女の子が襲われてて、助けに行って爆発する、みたいなシーンだったんですけど、後ろに爆薬が仕掛けられた廃車があって、さらに上からも廃車が落ちてくる撮影だったんですね。で。「スタートでとにかく走ってくれ、落とすから」って言われたんです。もちろん安全は確保されているんですけど、戦隊ってこういうことなんだな、と思いました(笑)。上手くいきすぎて逆にCGみたいな映像になっていて、ちょっと悔しいんですよ。CGでしょ?って誤解されそうで。あとは恒例だと、冬の撮影で川の中に入るとかね。でも本当に、他ではできないような経験を1年間、させてもらえたと思っています。アフレコとか、舞台挨拶とかも含めて、刺激的で貴重な1年でした。1年同じ役をやることもあまりないですから。」
横山「確かに、1年間やりきったことで自信になりました。アクションもあって、映画もあって、映画の舞台挨拶もあって、ヒーローショーもやって、アフレコもあって、キャラクターソングもあって…本当に1年を通していろいろなことを経験させてもらえるんです。役が分かってきた時期もあれば、また分からなくなる時期もあって、役について深く考える機会も多くあったんです。1年間という期間を乗り切ったことは凄く大きかったですね。」
鈴木「変身後のパートだけじゃなくて、変身前の部分もアフレコだったんですよ。なので、自分がどこでどういう間合いでどういう演技をしたか覚えておいて、とはよく言われました。ドラマの現場ではつながりやそういう部分も意識しますし、基礎を作ってもらったというか、その時の経験が今も活きている気がします。客観性が出る感じなんですよね。演じているときは意識しないんですけど、どこかで俯瞰で見ていて体に残っているような感覚がありますね。」
――そのご経験も今回の舞台で活きてくるかもしれませんね。主宰の宅間孝行さんについてはどんな印象をお持ちですか?
鈴木「まだご一緒する時間が多くなかったので勝手なイメージだけですけど、スマートでストイック。稽古でもいろいろなことをお話しながら作っていけたらな、と思います。」
横山「確かに、舞台に関しては熱くてストイックな方ですね。稽古をしていても、この人だからああいう舞台が作れるんだ、と納得できるような感じがしました。本当に舞台が好きで、いいものを作ろうという想いがある。それを100%僕たちにぶつけてきてくれて、一丸となってやり切る。僕が観ていたタクフェスはこうやって出来上がっていくんだ、と感動と納得がありましたね。」
――横山さんから見て、稽古場の宅間さんってどんな感じ?
横山「本当に人が変わるんですよ。普段は気さくで優しい方なんですが、舞台のことに関しては熱くて…言い方が悪いかもしれないですが、コワいくらいです。それだけのものを作ろうとしている熱が伝わってきて、僕らも身が引き締まるというか。あれだけの経験ができる場所はなかなかないんじゃないかな。」
鈴木「そうなんだ…優しくしてほしいなぁ(笑)。頑張ります。」
――タクフェスにはアドリブが冴えるところもあるので、そこも期待したいところです。
横山「本当にいきなりのアドリブで、やっているほうが笑っちゃうみたいなところもあったりするじゃないですか。今回のキャスティングもかなり幅が広いので、その中で誰がどういうふうに仕掛けてくるのか想像がつかない。でも、どうなっちゃうんだろ?って楽しみでもありますね。前回はぜんぜん無かったので、どんな球が来てもさばけるように、ぜひ振ってもらいたいですね。」
鈴木「僕はこれまでアドリブとかなかったからな。やるぞ、と思ってやるものでもないんだろうし。ココの間をちょっとうまいことやってよ、みたいなのは何度かありましたが、いわゆるアドリブは経験がない。…なので、、頑張ります(笑)」
横山「アドリブというか、ある種、ムチャぶりに近いですからね(笑)。怖いですけど、楽しみです。」
――見どころがたくさんある舞台になりそうですね
横山「そうそうたるメンバーの中でやらせていただけることが本当にありがたいですし、足を引っ張らないように頑張りたいです! コメディなので、みなさんに笑っていただけるように…本当に、その一言に尽きると思います。タクフェスのすれ違い、食い違いが僕の好きなところでもあるので、今回もそれが盛りだくさんだと思います。大笑い、クスっと笑い、とにかくたくさん笑ってください!」
鈴木「暗転なしのノンストップ!ジェットコースターコメディとのことなので、ものすごいものになるのは間違いないと思います。僕の役にも見せ場があると思いますので、そこにも注目していただきつつ、とにかく来ていただいて、大笑いして、いい気持ちで劇場を後にしていただけたらなと思います。ぜひよろしくお願いします!」
インタビュー・文/宮崎新之
※構成/月刊ローチケ編集部 2月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
鈴木裕樹
■スズキ ヒロキ ’83年、岩手県出身。D-BOYSのメンバー。『獣拳戦隊ゲキレンジャー』での漢堂ジャン/ゲキレッド(声)役の他、多くのドラマや舞台に出演。
横山涼
■ヨコヤマ リョウ ’95年、東京都出身。A-team所属。『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』に陽川咲也/パトレン2号(声)役で出演。