号泣必至の感動作。東山紀之と谷原章介がカップル役で初共演!
実話をもとにした映画『チョコレートドーナツ』が宮本亞門演出により、世界で初めて舞台化される。物語の舞台は79年のウエスト・ハリウッド。ショーパブの口パクダンサーを生業にしているルディは、運命の相手ポール、そして隣室で母親に置き去りにされていたダウン症のある少年マルコに出会うことで、その人生が大きく変わっていく……。東山紀之演じるルディとカップルとなり、マルコと共に家族として生きようとするポールを演じるのは谷原章介。原作映画は公開時に観ていたという。
谷原「これは12年の映画ですが、20年になった今でもLGBTQ、セクシャルマイノリティーの方への理解が進んだかというと、そうではなくて。それが70年代後半ともなれば、さらに強い差別意識を持つ人たちが大勢いたわけです。その中で、ルディはとても強く自分の思いを主張し、マルコを必死で守ろうとし、ポールと家族になろうとする。あの圧倒的なエネルギーは大変魅力的でした」
今回の舞台化にあたっては谷賢一による翻案・脚本、宮本の演出により、映画とは一味違う色合いになっているとも。
谷原「歌のシーンのボリュームが多く、とてもショーアップされています。それはただ辛いだけの物語にしたくないという、亞門さんの意図を強く感じますね。また、映画でのポールは真面目でピュアな人で、どこかゲイである自分を恥じているところもあり、検察官という職業柄、必要以上に社会規範にも縛られている。それに加えて今回の舞台では、物語とお客さんとの間に立つ語り部的な役割も与えられているので、より客観的な側面も出てきそう。それにしてもルディが、すごく理不尽な人なんですよ。その彼にひどいことをされても、ポールは自分から戻って謝ったりさえする。ポールの思いを説得力を持って表現するためには、ルディに対して強い憧れを持ち、一番のファンでいないといけないなと思っています。そのルディへの愛の深さが、今回僕がポールを演じる上で鍵になりそうな気がします」
ルディを演じる東山とは、映像作品も含めて今回が初共演となる。
谷原「東山さんといえば、僕の中では世代的に『仮面舞踏会』です、そして『大岡越前』と『必殺仕事人』です!凛とした佇まいを持ち、ストイックで真面目なあの東山さんが、どうやって破天荒でだらしなくてわがままなルディを演じるのか。どう乱れるのか……いや、乱れないんじゃないかな……。凛としたまま、わがままを言うルディになるのかもしれません(笑)。しかも後半には、ポールとかなり濃厚なシーンがありそうなので、僕はもう早くもドキドキしています。もはやなんだか、狩られるウサギのような心境です(笑)」
さらに今回はマルコ役として実際にダウン症のある高橋永と丹下開登が出演することも、谷原にとっては今作に参加する大きな動機となったようだ。
谷原「ビジュアル撮影の日に高橋くんとはお会いしましたが、とてもセンシティブで柔らかい雰囲気の子でした。コミュニケーションをとって、気持ちのケアも含め暖かい空気感を作りたいと思いました。彼らが出ることによって、テクニックとかではない本当に無垢な強いエネルギーみたいなものを、この作品から感じていただけるのではないでしょうか。二人のマルコを中心にしてルディとポール、そして今回のカンパニー全員が家族となって見守り、力を与え合い、共に歩んでいきたい。その家族の姿を、お客様にもぜひ感じていただきたいなと思っています」
インタビュー・文/田中里津子
Photo/中田智章
スタイリスト/澤田美幸 Miyuki Sawada
ヘアメイク/川端富生 Tomio Kawabata
※構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
谷原章介
■タニハラ ショウスケ ’95年に映画『花より男子』で俳優デビュー。以後、数多くの映画、ドラマ、舞台などに出演。司会者やナレーターとしても活躍している。