舞台「てにあまる」インタビュー連載企画・第3弾!佐久間由衣インタビュー


藤原竜也、高杉真宙、佐久間由衣、柄本明の4人が出演する舞台「てにあまる」。岸田戯曲賞を受賞した松井周のオリジナル脚本で、柄本明が演出も手掛ける。本作で佐久間は、独居老人を引き取って同居を始めた男の妻を演じる。妻は男との離婚を望んで別居しており、妻と部下との関係を男に疑われている、という役どころだ。舞台初出演となる彼女は、この役にどのように挑むのだろうか。(稽古開始前にインタビューを実施)


――今回が初めての舞台となります。出演することが決まった時のお気持ちは?

すごく、ゾクゾクしました。もちろん、前から舞台には挑戦させていただきたかったですし、観るのも好きでした。興味はあったんですが、今まで観客席側から見ていた俳優さんたちと、こんなに早くステージの上でご一緒できると思ったら…純粋な気持ちとしては嬉しかったんですけど、現実的には緊張感がすごくありました。


――映像作品と舞台とではどのような違いがあると今は思っていらっしゃいますか

何より、ライブなことですね。お客さんの反応が、その場で直に伝わってくる。あとは、自分の体の軸のようなものをしっかり持っておきたいな、とも思っています。映像だと、カメラでクローズアップしてもらえる事の方が多いのですが、ステージの上だと、当たり前ですけど、どこも隠すことができない。全身を使って表現するということも、今回の私にとって課題じゃないかと個人的には思っています。舞台に立つための芯のようなものを、作っておきたいですね。


――今までご覧になった舞台で、印象に残っているものは?

いろいろあるんですが…栗山民也さんの演出で、蒼井優さんが出演されていた「アンチゴーヌ」は、衝撃でした。今まで観てきたお芝居はステージだけを観ていたんですけど、この作品はステージが十字になっていて、観客席側の反応も一緒に観ることができたんです。いろいろなところからの目線があるわけで、演者さんはすごく大変だろうなと思いました。体感型アトラクションみたいでとても印象に残っていますね。


――舞台でできる表現の幅を感じられたのかもしれないですね。

映像のお仕事は、お芝居できる回数が限られているんですが、舞台の世界は、何回も何回も、いっぱい挑戦できる。そこは楽しみというか、なかなかできない経験なので、自分がどういう精神状態になるのかな、と興味があります。あとは…今のこのご時世で、舞台の幕を開けることができるのは、とても贅沢なことで、幸せだな、と思っています。


――コロナ禍で舞台をはじめとするエンターテインメントは非常に苦しい状況が続いています。佐久間さんは自粛期間中などをどのように過ごされていましたか?

今思うと、すごく贅沢で、大事な時間だったと思います。基本的には楽観主義なタイプなので、何かアクシデントや思いもよらない状況になってしまった時でも「まぁ、なんとかなる」という気持ちで、今までも乗り越えてきました。なので、今回のことがあった時も「今は、みんなが休みをとる時間なんだ」と考えて、好きなことをするような時間にしました。徐々に仕事が動き始めてからは、一回リセットされたような気持ちになって、自分が本当に大事にしていきたいもの、本当は必要なかったものなどに、新鮮な気持ちで向き合うことができました。


――できるだけ気持ちを落ち着かせるように努めて、リセットされたような感じでしょうか。そこからの新しい挑戦となると、リスタートという感覚もあるのではないですか?

あります。挑戦+リスタート、ですね。舞台って私にとっては、さらに特別な感じがしているんです。ごく普通の家庭に育ったので、少し敷居が高いというか。舞台を観に行く、というのはエンターテインメントの中でも少し特別な行事に感じるんです。金銭的な部分でも。今はまだ不安定な時期ですが、そういう中でもみなさんがいろいろな思いを抱えて劇場にいらして、演者のみなさんもいろいろな思いでお芝居をする。それがすごくいい時間になるように。舞台が初めて、という不安はありますけど、私自身楽しみたいと思っています。


――今回は4人でのお芝居になります。共演する方々にはどのような印象をお持ちですか?

藤原竜也さんは舞台をはじめ、いろいろな作品を拝見しているんですけど…なんていうか、輝いていますよね。王子様のような輝きを、舞台上の姿を観て感じていたんですけど、お会いしてもそのままの空気感があって。本当にお芝居と生きてきた方なんだな、と思いました。高杉真宙さんは、声が個人的に素敵だな、と思っているんです。低めのトーンで、すごく心地いい。舞台ってきっと声が大切になってくるので、学ばせていただくこともすごく多いんじゃないかな。共演できることが純粋に嬉しいです。


――柄本明さんからは共演だけでなく、演出も受けることになりますね。

もう、いただいた言葉はすべて受け止めようという気持ちです。固まることなく、柔軟にその場にいられたら、というのは私の今回のテーマだと思っているんです。柄本さんがとても大きな存在ではありますが、そういう部分も自分自身が面白がれたらいいな。固くなりそうな自分を、うまく壊していこうと思います(笑)


――メインビジュアルの撮影で4人が揃ったそうですが、撮影はいかがでしたか? インスタントのフィルムカメラで撮影されたそうですが…

すごく面白かったです。舞台が初めてなので、こういうビジュアル撮影も初めてだったので。普通こういうもの…ではないですよね?


――違うでしょうね(笑)。特別な撮影だったと思いますよ

そうですよね。初めてだったので、こういうものなのかな?が半分、やっぱりちょっと不思議だよな?が半分、みたいな気持ちでした(笑)。でも、現場はすごく楽しい雰囲気で、和やかに撮影できました。


――チラシには佐久間さんが鋭い表情で殴りかかろうとしているショットが採用されています。映画監督の片山慎三さんがカメラマンだったそうですが、どのような感じで撮影されたんでしょうか。

もともとは、藤原さんが柄本さんに殴りかかろうとしているのを、私と高杉さんが止める形だったんです。それで、カメラを入れ替えるときに、藤原さんが無言のアイコンタクトで(こっちに来て、俺と変わってみて)っておっしゃったんですよ。え、大丈夫?って思いながら、交代したんですけど、片山さんが戻ってこられても何も言わず、そのまま私が殴り掛かる形で撮影が続いたんです。誰も何も言わない、みたいな(笑)。それが、この状況です。私は、みなさんとこの日が初めましてだったので、もちろん緊張もあったんですけど、楽しかったです。


――片山さんも、役者同士の空気感を読み取ったんでしょうね。目に留まるビジュアルになっていると思います。役どころについては、どのように捉えていますか?

詳しいところはまだまだこれからなんですが、藤原さん演じる男の妻で、離婚をしたいと思っている女性です。そこまでに2人にどんなことがあったのかはまだ分からないんですけど、お話の中では、高杉さんが演じる男の部下とも何かがあるという感じになっていきます。離婚したい、って言えるのは、自分の意志があるわけですけど、そこに至るまでに依存も持っている役なんじゃないか、と今は思っています。台本が来て、全然違ったらどうしよう(笑)。でも、とにかく、人間臭くできたらいいな、と思っています。今まで演じて来た役柄とも違う、一筋縄ではいかない役なんじゃないかな。台本を頂いて、たくさん考えていきたいと思います。


――舞台は映像作品に比べて、たっぷり稽古の時間があることも大きな違いかと思います。稽古で楽しみなことは?

早くお稽古に入りたい気持ちはあるんですけど、まだ何にも想像できなくて。そもそも、何を着て行けばいいんだろう? とか、そこからです(笑)。ジャージでいいのかな。


――衣装が決まってくると、裾捌きのイメージがしやすいような恰好になったりするかもしれませんが、ジャージでいいと思いますよ。稽古の中でお話しする時間もたくさんあると思うので、聞いてみたいこととかはありますか?

ジャージならいっぱいあるんで、良かったです(笑)。聞いてみたいこともたくさんあります。柄本さんは本当に演劇がお好きと聞いたので、演劇のいろいろなお話を聞いてみたいですし、観劇した作品で共通のものがあれば、感想も聞いてみたい。おしゃべりしたいことはたくさんあるんですけど、寂しいことですがリスクは徹底的に避けなければいけないので、皆さんでご飯に行くというのは難しいかもしれませんが…。でも、そういう機会があるなら、たくさんお聞きしたいです。


――以前、藤原竜也さんにお話を伺った時「柄本さんと脚本の松井周さんのドロドロのお芝居に、若い2人と挑んでいきたい」というようなことをおっしゃっていました。

柔軟で居たい、というのは思っていたんですけど、藤原さんのコメントを聞いて、そうだ挑む気持ちも必要だ、と思いました。高杉さんは先輩ではあるんですけど、同年代ということで頼りながら…今自分にできることを全力で、しがみついて置いていかれないようにしていきたいですね。藤原さんのお話を聞いていると、個人戦ではなくチーム戦という感じがするので、チーム力を大事にして頑張ります!

 

インタビュー・文/宮崎新之