『子午線の祀り』開幕!初日コメント&舞台写真到着!

2021.02.24

撮影:細野晋司

「平家物語」に材をとり、日本演劇史上に燦然と輝く不朽の名作『子午線の祀り』。2017年に野村萬斎の新演出で上演し、数々の演劇賞を受賞した本作が戯曲の芯をとらえ直し、ダイナミックかつテンポ感を増した2021年版として新たに生まれ変わる。2021年の初頭にコロナ禍の中で上演するにあたり、2017年版をベースに再構成した新たな『子午線の祀り』が、2月21日に開幕。野村萬斎、成河、河原崎國太郎、吉見一豊、村田雄浩、若村麻由美の初日コメントが届いた。

野村萬斎コメント
[演出・出演]新中納言知盛

『子午線の祀り』という戯曲そのものが持つ宇宙観を生かしながらも、より凝縮した“ドラマ”になった。そんな手ごたえを感じています。シェイクスピアは「ハムレット」の中で、「演劇は自然(時世)を映す」と書きました。人間があがきながらも一生懸命生き、活路を見出そうという姿が、このコロナ禍という非常事態下においてこそ、より際立ち、新しい『子午線の祀り』を作り上げることができたと思います。
大きな歴史の流れの中で、一人の人生は小さな物かもしれないけれど、すっくと力強く立っている。そう実感していただく機会になればと思います。
喜びも悲しみも、人々が一体となって共有するのはテレビやリモートではできない、劇場ならではのこと。木下順二さんの戯曲が持つ言葉の豊かさと、皆さんの想像力によって広がる世界観で、演劇はすごいなと感じさせる作品です。『子午線の祀り』で、皆さんの演劇ライフを復活させられたら。そう願っています。

成河コメント
[出演]九郎判官義経

やはり巨大な戯曲なので、簡単には越えられない山に全員でタックルして、立ち向かっているという感じですね。とにかく手強いスケールの大きさです。
これからツアーにも行きますが、それぞれの土地によってお客様の空気感は違うだろうと思います。色んなところで色んな人たちに観ていただいて、そこでまた鍛えられて、その上で検証すべきところがまだまだ詰まっている戯曲です。
この戯曲は、初めての方には必ずしもとっつきやすいものではないかもしれませんが、日本語の魅力を再認識することができると思うので、現代人として、一緒に立ち向かってほしいなと思います。

河原崎國太郎コメント
[出演]大臣殿宗盛

こういう状況の中での初日でしたが、観たいと思って来てくださったお客様の熱気を感じました。無事に終えてホッとしています。
2021年版の『子午線の祀り』は日々進化・進歩していくような作品だと思います。もちろん初日に完成を目指して稽古してきましたが、そこから更に積み重なっていくものだと思います。ツアーに行く先々で少しずつ進化していく作品になるはずです。期待して観ていただければ嬉しいですね。我々も「地域の皆様へ」という想いも含めて伺うつもりです。
皆様の明日の活力になるような舞台をこれからもお届けしていきますので、存分にお楽しみください。

吉見一豊コメント
[出演]梶原平三景時

木下順二さんの作品に出演させていただくのは初めてです。その中でももはや伝説の作品とも言える『子午線の祀り』に出演できたことを、とても光栄に感じています。
40年以上前に創られた実験的な作品ですが、当時と比べ演劇界におけるイデオロギーが無くなった現代においても古くならない、実にエネルギッシュな作品。「平家物語」がベースではありますが、真面目になりすぎないよう、良い意味で戯曲との距離感を保ちながら挑んでいきたいと思います。
また、私にとってはコロナ禍となってから初のツアー公演でもあります。全国の皆様にこの作品のエネルギーをお伝えできるよう、心して務めたいと思います。

村田雄浩コメント
[出演]阿波民部重能

ようやく初日を迎え「辿り着いた」という気持ちです。再演で内容自体は変わらないけれど、このご時世で変更した部分やセットも前とは全然違っているので、初日は初日で1つの完成した作品をお見せしましたが、これからももっと色々なことができると思っています。萬斎さんもきっとこれで満足はしていないでしょうし(笑)、これからどういう風になるか。会場によっては空間の使い方も変わって、よりぎゅっと凝縮された見え方になると思います。そういう意味でも、これから日に日に期待していっていただきたいです。
1回でなく、もしよろしければ2回3回観ていただけると、違うものが観られると思いますので、お待ちしております。

若村麻由美コメント
[出演]影身の内侍

まず、スタッフキャスト全員揃って初日を迎えられ感無量です。感染症予防対策にしっかりとご協力くださったお客様方がとても温かいカーテンコールをくださり、マスクの下の笑顔が見えた気がしました。劇場に共にいる喜びを分かち合い一期一会のタイムトラベルを千穐楽迄果たします。
『子午線の祀り』は源平合戦ですが、親子や兄弟の話でもありグッと身近に迫るものがあります。知盛は息子を見殺しに逃げた自分を許せず、全ては運命だったのかと影身に問い続けます。影身とはプラトニックラブですが、影身が殺された後は、知盛の心の声となります。非情の相を見極めよと伝える影身の言葉が、2021年の皆様にどのように聞こえるのかとても興味深いです。

撮影:細野晋司

撮影:細野晋司

撮影:細野晋司

撮影:細野晋司