舞台「蟻地獄」製作発表会見レポート

2021.04.12

インパルスの板倉俊之が著した小説「蟻地獄」を舞台化し、脚本・演出にも初挑戦する。都内で行われた制作発表会見には板倉をはじめ、キャストの髙橋祐理、山口大地、天野浩成、向井葉月(乃木坂46)が登壇、それぞれに意気込みを語った。会場には、メディアのほか先行チケット購入者のうちの希望者から、抽選で50名の一般客も集まり、会見を盛り上げていた。

「蟻地獄」は、一攫千金をもくろみ裏カジノに乗り込んだ主人公が、裏カジノのオーナーにより罠にハメられ、親友を人質に取られたうえで「5日間で300万円を用意」しなければならなくなってしまう、というストーリー。そこで主人公は、1個40万円で売買されている人間の眼球を集めはじめ、自殺志願者が集う場に向かうことになる。

板倉は「まだ演出のスタンスが定まっていない。敵対関係で行くか、仲良くやろうよ!でいくか……」としながらも、「サスペンス、ミステリー、バイオレンスといろいろな要素を入れちゃった。本当にぎゅうぎゅう詰めにしたので、どこが見どころ、って言う感じでもない。タダのバイオレンスものではなく、頭脳戦やどんでん返し的な要素が入っているので、そこに舞台版ならではの良さが乗ってくるといいな」と、自信をみなぎらせた。

主人公を演じる髙橋も「一度中止になってしまって、すごく悔しい思いをした分、気合が入っています」と、瞳を輝かせる。天野も「やっと、みなさんの前に役の宮内として立てている」と感慨深く語っていた。また、山口は「こういうご時世に演劇ができる意味をしっかり考えながらやりたい」と、舞台に立てる喜びを言葉にする。そして、男性中心のキャストになる本作に飛び込む向井が「男性の話題にもついて行けると思うので、無視しないでほしいな」と、キャスト同士の仲を深めたいとコメントした。

また、会見ではファンから寄せられた質問に答える場面もあった。「蟻地獄のような経験をしたことはある?」という質問に、板倉は「サバゲーですね。エアガン集めて、10年以上サバゲーもやってて、振り返るといくら使ってるんだろう、って。失った金額を考えるとつらくなるから、もう突き進むしかない!って思うと、ハマっちゃったなーと思いますね。最初の一丁を買ったばっかりに、もう抜け出せない。ここでやめたら、今まで集めたものの意味が無くなっちゃう。でも夢ではあったので、ちびっ子時代の自分に声を賭けたくなる時もありますね」と、サバゲー蟻地獄に陥っていると話した。

天野は「僕は、ラーメン二郎ですね。食べたくなって、食べた後はあぁ、食べちゃったと思って。ガマンするんだけど、3日後くらいにまた食べたくなって」とジロリアンであることを告白。板倉は「それはまさに蟻地獄」と完全同意していた。

向井は「私は乃木坂に入る前はファンだったんですけど、握手会に行くと生写真がたくさん売っていたんです。それをたくさん買っていましたね」と、ファン目線で乃木坂46にハマっっていたエピソードを披露。

続いて山口は「僕は一時期、筋トレにめちゃくちゃハマっていて。トレーニングすると、ドーパミンとかセロトニンとかがめちゃくちゃ出るんですよ。コレが凄くて、筋トレしていない方が憂鬱になるというか。飲みの誘いを断ってでも筋トレしている時期がありました。あと、銭湯もそういう時期がありました。行かないと気持ち悪いみたいな。依存体質なんですかね(笑)」と、ストイックさをのぞかせた。

これを受けて高橋は「僕もサウナにハマっている時期があって、稽古終わりに先輩に連れて行ってもらったのがきっかけでした。サウナと水風呂を往復して、水風呂を出て座った時に地面に吸い込まれるような感覚になるのが気持ちよくて、週3~4回行ってました」と、一度ハマるとしばらくは止められなくなると話していた。

このほか、「主人公は19歳ですが、みなさんが19歳の頃はどうしてた?」という質問には、板倉が「当時はまだお笑いをやっていないから、ガソリンスタンドでアルバイトをしていた頃かな。けっこう評判が良かったんですよ、あの兄ちゃんいいな、って。正社員に、って話もあったんですが、なんかモヤモヤしたんですよ。主人公を20歳じゃなく19歳にしたのは、成人させたくなかったっていうのはあるかも知れません。少年と大人の間、という感じにしたかったんですよ」と、主人公の年齢設定に絡めてコメント。

天野は「もう俳優をやっていましたね。セーラームーンとかやっていたかな?あとはプライベートだと自動車学校に通ったりしてたと思います」と懐かしそうに語った。

続く山口も「僕は、鹿児島から東京の大学に進学したころですね。東京に知り合いもいなかったので、友達を作ろうと思って、朝まで遊んだりしていましたね。当時は役者になろうとは思っていなかったし、ダンスばかりやっていました」と、若かった当時を振り返る。

向井は「2年前……お母さんとすっごく仲が悪かったです。家に帰るのも嫌だったし、お母さんのごはんを食べたいとも思わなかった。反抗期が無かったので、そこでちょこっと出たのかな」と、母親との不仲エピソードを暴露。「今は仲良しですし、あの時は申し訳なかったな、と思ってます」と、今は仲直りできていると話し、笑顔を見せた。

最後に高橋は「まさに、この蟻地獄のお話をいただいた年です」と真剣な表情で語り始め「上京してきてすぐ、このお話をいただけたので、運命的なものを感じました」と、作品にかける想いを口にしていた。

そのほか、会見での各人のコメントは以下の通り。

 

板倉俊之

「まだ演出家としてどういうスタンスで行くか定まっていないんですよ。役者さんと敵対関係を作るのか、仲良くやろうよ!といくのか。主人公の髙橋くんについては、年齢、背丈、顔つき、本当に光二郎にぴったり。ピンときちゃいました。舞台版のみどころとしては……本当にのっけからケツまで、ぎゅうぎゅう詰めにしたので、どこが見どころ、って言う感じでもない。いわゆるコントみたいな笑いは無いですが、ホッとする、クスっとできるようなところは原作にもあるので、そこは活かすつもりでいますよ。成功させたいですね」

 

髙橋祐理

「一度中止になってしまって、すごく悔しい思いをした分、気合が入っています。板倉さんの理想像に少しでも近づけるように、孝次郎にとして頑張って、日々の稽古に励みたいと思います。最高のエンターテインメントを作れるように、そして来てくださるお客様のひとりひとりに感謝の気持ちを込めて、お芝居したいなと思います」

 

山口大地

「原作者でもある板倉さんが演出するということで楽しみにしています。ビジュアル撮影の際に、板倉さんから『僕はカシワギが大好きなんだよ』と言われて、これは気合を入れないと、と思いました。お客さんを納得させるのはもちろんですが、その前に板倉さんを稽古で納得させないとな、と思っています。演劇にしかないパワーが絶対にあると思うので、お客様にパワーを与えられるように頑張りたい。心拍数の上がるスリル、キャラクターの心理描写、本当に魅力的な作品なので、楽しみにしていてください」

 

天野浩成

「今日は来てくださってありがとうございます。すごく前から宮内を演じることが決まっていて、中止になってしまったので、もう1年以上宮内という役が自分の中にいる。やっと、みなさんの前に宮内として立てているので、最後まで素敵な舞台をみなさんに届けたいですね。小説もマンガも面白くて、舞台になって面白くなかった、となってしまっては本当に悔しい。舞台も面白かったね、と言ってもらえるよう、共演のみんなやスタッフの力を借りて、頑張っていきたいと思います」

 

向井葉月(乃木坂46)

「まだお稽古とかをやっていないので、どんな空気になるかわからないんですけど、キャストのみなさんと仲良くできたらいいな。(女性の少ない現場ですが)男性の話題にもついて行けると思うので、無視しないでほしいな、と思います。一年という時間がありましたので、気持ちはすごくあります。舞台を観終わった後に、すごい舞台だったね、と言ってもらえるように頑張っていきます。会場でみなさんにお会いできるのを楽しみにしております。頑張ります!」

 

ライター:宮崎 新之

 

※髙橋祐理の「祐」は旧字体が正式表記