『修羅雪姫-復活祭 50th- 修羅雪と八人の悪党』今泉佑唯 インタビュー

昨年11月に今泉佑唯の復帰作として上演され、全公演ソールドアウトとなったハードピカレスクロマン劇『修羅雪姫』が、3月18日より紀伊國屋ホールに場所を移し再び上演される。『修羅雪姫』といえば、小池一夫×上村一夫コンビによって生み出された傑作マンガ。クエンティン・タランティーノ監督も影響を受けたと公言する世界中にファンを持つ作品だ。今年は『修羅雪姫』の連載開始から誕生50周年を迎えるということもあり、昨秋のバージョンに新要素を加えた『修羅雪姫-復活祭 50th- 修羅雪と八人の悪党』としての登場。いったいどのような作品になるのか? 主演を務める今泉に今の心境を聞いた。

ーー『ローチケ演劇宣言!』です。よろしくお願いします。

今泉 よろしくお願いします。LAWSONといえば、「もちぷよ」(北海道産生クリーム入りミルククリーム)が好きすぎて、夜な夜なずっと食べてる時期がありました。美味しいからついつい食べちゃう。

ーーもちもち食感がクセになりますよね。

今泉 毎日のように食べてたらあっという間に3キロくらい太っちゃって(笑)。もう、そこからは月に1個にしようと心に誓いました。今は月イチの楽しみにしています! 

ーー贔屓にして頂いてありがとうございます。今回、11月に上演された『修羅雪姫』を再び上演されるわけですが、当初から決まっていた流れだったのですか?

今泉 まったく決まっていなかったと思います。個人的には11月の舞台初日の声出しのときに「また再演しましょうね!」って言ってたくらい私はやりたい気持ちが強かったんですけど、まさかこんなに早く“雪”を演じる機会を頂けるとは思っていなかったのでびっくりしました。

ーー実際に決まったときのお気持ちは?

今泉 ええっ~~っ!!って。びっくりしたのと同時に、場所が紀伊國屋ホールと聞いて(11月公演はCBGKシブゲキ!!での公演)、キャパも大きくなるし、お客さんが来てくれるのかなって不安が一気に押し寄せてきました。紀伊國屋ホールは、私が最初に舞台に立たせていただいた場所でもあるので、感慨深いです。

ーー『修羅雪姫』は今年で誕生50年。今泉さんが演じる“雪”は、色褪せるどころか現代においてますます存在感が強くなっている気がします。

今泉 雪は監獄で生まれて、お母さんの仇を討つためにひとりで戦うんですけど、本当に強い女性です。周囲の人たちから「お前なんて生きる価値もない」と酷いことを言われるんですけど、私もSNSで同じことを書かれたりしたので、その当時のことを思い出して雪の気持ちに共感しました。うまく言えないですけどグサグサくる作品です。

ー11月の公演は全公演ソールドアウトで大好評でした。周囲の反応はいかがでしたか?

今泉 観てくれた友だちから「泣いた」とか「カッコ良かったよ」って言って貰いました。なかでも雪の姿を見て、「生きるっていいなって思ったよ」ってさらっと友だちが言ってくれて、そう受けとってくれたのは凄く嬉しかったです。

ーー若い世代に50年前に誕生した作品のメッセージが届くのは素晴らしいですね。

今泉 そうですね。“生まれたことになんの罪があるんだ”という叫びが刺さったと言ってくれた友だちもいました。若い世代は、生きることに対して辛くなりやすいというか、悩みやすいと思うので、そういう子が見てくれて前向きになってくれると本当に嬉しいですね。

ーー今作は『修羅雪姫-復活祭 50th- 修羅雪と八人の悪党』というタイトルになっていますが、11月の舞台とは内容が違うのですか?

今泉 基本的なストーリーは同じですけど、内容がより濃くなっています。新しいキャラクターが増えたり、ひとつひとつのシーンが深くなっているのが大きな違いです。アクションシーンもガラリと変わっているので11月の公演を観た方は、ずいぶん印象が違って見えるかもしれません。

ーー殺陣のシーンは『修羅雪姫』の魅力のひとつですから、注目ですね。

今泉 立ち回りは3分の1くらい新しくなっているので、覚えるのが凄く大変です。以前、『あずみ』という舞台で殺陣をやったんですけど、そのときは逆手で刀を持つことはなかったんですけど、『修羅雪姫』では逆手で刀を持つシーンがあるんです。まず、どう持てばいいかわからないというところから覚えなきゃいけなくて、はじめて雪を演じたときはそれが大変でした。

ーーセリフを言いながら、殺陣をするのも大変そうです。

今泉 殺陣のシーンは、セリフが決まったうえで稽古に入るので、ここで動きながらセリフを言うの……!?って、混乱しちゃって号泣したこともあります。殺陣とセリフを同時にやるのは難しいです。

ーーダンスを覚えるのと殺陣を覚えるのはまた違うものですか?

今泉 違いますね。こうなったらこうしますっていうのは決まっているので似ている部分もあると思いますけど、ダンスより確実に難しいと私は感じています。

ーー稽古がはじまっていますが、座長として稽古場の雰囲気はいかがですか?

今泉 11月の公演から3ヶ月とは思えないくらい、時間が経った気がしています。脚本家の久保田(創)さんと会ったときも、なんかちょっと老けられた気がして(笑)。たった三ヶ月なのにみんなちょっと変わっていて「お久しぶりです~」みたいな感じになっちゃっていました。

ーーいい意味でリセットされたんですね。

今泉 そうですね。新鮮な気持ちで稽古に入れました。今回は新しいキャストさんもいらっしゃるので、その方たちが遠慮したり、気まずくならないように、できるだけ稽古場を楽しく盛り上げたいなって意識で臨んでいます。楽しい稽古場のまま本番を迎えたいです。

ーー前回の公演では歌唱シーンもありました。今回も歌うシーンが?

今泉 あるのかな~~(笑)。あると思います。今回も前回同様、振り付けを水野絵梨奈さんがやってくださるんですけど、今回、水野さんは出演もされるので、もっとダンスが難しくなったらどうしようと今からドキドキしています。前回は扇子を振りながらのダンスだったんですけど、歌いながら扇子を使うのって難しくて……今回はなんの曲で踊るんだろうって毎日、怯えていますね(笑)。

ーーストーリーはもちろん、アクションシーンも歌唱シーンも盛り沢山なカッコよくて華やかな舞台になりそうですね。

今泉 前回よりは確実にパワーアップして、より濃い作品をお届けできると思うので、みなさん楽しみに待っていてくれたらいいなと思います。ぜひ会場に観に来てください。

取材・文/高畠正人