Stokes/Parkは、白鳥雄介が主宰する舞台ユニット。
第3回公演となる本作の舞台は北海道余市(よいち)町に実在する「フゴッペ洞窟」という続縄文時代の遺跡洞窟。(※“続縄文時代”とは北海道独自の時代区分で紀元7世紀ごろまで、縄文時代の生活様式がそのまま続いていた時代を指す。)
洞窟の壁に描かれた「翼の生えた人間」の壁画が実体化し、近隣の会社に通う主人公と出会う。孤独に悩む主人公が、千年以上の時を過ごす翼の映えた人間の魂と心を通わせていく中で、再び立ち上がり、現実社会へと旅立っていくまでの物語。
洞窟へ逃げてきた青年と、洞窟から出ることのできない人間との友情。
そして北海道出身の白鳥が、“続縄文時代”という北海道独自の時代区分、歴史文化をもう一つの軸に据え、歴史とは「史実」だけでなく、その場所、その人の中に存在するものであることを描く。
近年は「笑ゥせえるすまん THE STAGE」「舞台 アクダマドライブ」「舞台・ナポリの男たち」など商業舞台の脚本や演出を手がける白鳥だが、脚本家デビュー以降、自身の経験した複雑な家庭環境を武器に人間の醜さを彷彿とさせるストーリーを描いてきた。本作でも白鳥の視点で描く故郷・北海道の独特な歴史文化に注目。
作・演出:白鳥雄介 コメント
フゴッペ洞窟を初めて訪れた際の衝撃が忘れられません。壁に刻まれた画を見たとき、それを描いた人間の声が本当に聴こえてくるかのように感じました。壁の画が今にも動き出しそうでもありました。洞窟の中は人間の感情がたまりにたまって、満たされて、ゆらめいて、うごめいていたのです。
今作では、洞窟で刻画を描いた人間とそこに迷い込んだ現代人が互いに持つ、ぽっかりと空いた心の穴を描きます。それは不安だらけの世の中に生きる僕自身の話にもなりそうです。
観て頂いた皆さんの心の穴を埋めるような作品を創ろうと思っています。
チラシには、フゴッペ洞窟さんよりお借りした実際の刻画の写真を使わせていただきました!
どこに「翼の生えた人間」が描かれているか探してみてください。
さらに北海道余市町の特産品を直売する「よいちマルシェ」も開催します!
ウイスキー、ワイン、地ビール、特産のりんごを使った品々、余市町の風を下北沢に吹かせようと思っております。劇場での観劇はもちろん、北海道の方にも観て頂けるよう配信公演もありますので、沢山のご来場、ご観劇をよろしくお願い致します!
ストーリー
その洞窟の壁には、びっしりと「刻画」が描かれていた。
人、舟、4本足の動物・・・壁という壁に。およそ見えるところ全てに。
北海道余市(よいち)町に実在する「フゴッペ洞窟」、
日本で続縄文時代の岩面刻画が描かれた洞窟は、
隣町小樽にある洞窟のほかには、ここだけ。
そこで一際目を引いたのが「翼の生えた人」の刻画。
そこにはあった。人間が伝えようとするエネルギーが。
翼の生えたあの人間を描いた誰かのエネルギーが。
飛べる・・・きっと飛べる・・・
語りかけてくる刻画たちと暗闇から飛び立とうとする男の子の話。