大胆なアレンジを施したシェイクスピア作品、ここに現る!
メタルマクベス』誕生のきっかけは、劇団☆新感線主宰・いのうえひでのりからのリクエストだった。
「『マクベス』を近未来で、映画『マッドマックス』の世界観でやりたい」
これを受けて、大人計画・宮藤官九郎が脚色を施し、2218年の戦場と’80年代のイケてないメタルバンドの話とを交錯させる構成にした。その大胆なアレンジに演劇好きも音楽好きも共にノックアウトされた伝説の舞台が、12年ぶりに蘇る。今作は宮藤にとっても、新感線にとっても、初めてのシェイクスピア作品への挑戦。同時に新感線への脚本提供もこれが初めてだったこともあって、宮藤の思い入れは深い。
宮藤「今でも印象が強く残っている好きな作品。実はこれまで自分の作品を再演したことってなかったんですが、いのうえさんがまた演出してくれるというので、それならぜひやってください!と言いました(笑)」
大胆なアレンジを施した作品の出来に、2人は自信をのぞかせる。
いのうえ「意外なほどにちゃんとシェイクスピアなので、『マクベス』初心者の方にも絶対オススメです」
宮藤「これは『マクベス』に対する僕なりの“ツッコミ”。こんな奴いねえだろ、という(笑)。自分で言うのもなんですけど、ここまでうまく脚色できていればシェイクスピア先生も文句は言わないはず」
いのうえが「『髑髏城の七人』シリーズとの一番の違いは生バンドが入る音楽劇だということ」というように、『メタルマクベス』は面白カッコイイ楽曲が多数散りばめられている作品であることも忘れてはならない。その歌詞を手掛けているのも宮藤だ。
宮藤「セリフを歌詞にすることで今まで気づかなかった可笑しさを出すこともできた。“きれいは汚い”という有名なフレーズに“ただしオレ以外”がつくだけでこんなにバカバカしくなるのかと(笑)」
今回はdisc1、2、3という3組のカンパニーによる上演となり、同じ脚本を使用、個性の違う豪華キャスト陣に合わせて演出を変えるという試みにも挑戦する。“IHIステージアラウンド東京”版の新生『メタルマクベス』、果たしてぐるぐるとどう回りながら降臨してくるのか、どうぞお楽しみに。
インタビュー・文/田中里津子
Photo/村上宗一郎
※構成/月刊ローチケ編集部 6月15日号より転載
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【プロフィール】
宮藤官九郎
■クドウ カンクロウ ’70年、宮城県出身。脚本家、監督、俳優など、マルチに活躍。パンクコントバンド『グループ魂』ではギタリスト“暴動”として活動している。
いのうえひでのり
■イノウエ ヒデノリ ’60年、福岡県出身。80年に劇団☆新感線を旗揚げ。以降、演劇のみならず音楽ファンも虜にする、多彩な作品を発表しつづける。