KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 『オイディプス REXXX』12月上演 キャスト発表!!

2018.06.11

中村橋之助×南 果歩×宮崎吐夢
気鋭・杉原邦生が初のギリシャ悲劇に挑む!

父を殺し、自らの産みの母と夫婦となった若き王が、破滅への道を転がり落ちるまでを描いたギリシャ悲劇の 傑作『オイディプス王』を、中村橋之助、南 果歩、宮崎吐夢ら実力派キャストを迎え、若手演出家・杉原邦生が 新たな切り口で上演します。

 

中村橋之助、ストレートプレイ初出演にして初主演!南果歩との夫婦&母子役に挑戦!

タイトルロールのオイディプスを演じるのは、八代目中村芝翫を父に持ち、2016年に親子同時襲名でも話題を呼んだ歌舞伎俳優・四代目中村橋之助。歌舞伎作品以外の演劇の舞台に立つのは今回が初めてとなります。そのオイディプスの妻であり母・イオカステを演じるのは、確かな演技力で映像・舞台の世界で活躍し、今回2年ぶりの舞台出演となる南果歩。初共演の二人が、夫婦にして母子である複雑な関係をどのように演じるかが見所です。
そして、松尾スズキ主宰の人気劇団・大人計画に所属し、名バイプレイヤーとして数々の作品に出演する宮崎吐夢がクレオン(南演じるイオカステの弟)ほかを演じます。

 

木ノ下歌舞伎『勧進帳』で演劇界の話題をさらった杉原邦生、初のギリシャ悲劇に挑戦!

演出を手掛けるのは、現代演劇界を牽引する若手演出家、杉原邦生。主宰劇団KUNIOの活動だけでなく、古典歌舞伎を独自の魅せ方で上演する木ノ下歌舞伎など外部演出作品も高く評価されています。特に今年3月KAATで上演した木ノ下歌舞伎『勧進帳』はこの秋パリ公演が決定し、今最も勢いのある演劇人の一人です。KAATプロデュース作品の演出は2016年「ルーツ」に続き2作目となり、杉原とは今後も複数年にわたり、KAATの空間を活かした創作を続けていく予定です。これまでベテラン俳優が演じることが多かったオイディプス役に歌舞伎界の若手実力派中村橋之助を配することによって、若き王の揺れ動く様や、その未熟さや愚かさを、鮮やかに描きたいと考える杉原。この新しい挑戦に、どうぞご期待ください。

 

タイトル「オイディプスREXXX」3つのXに込められた意味とは?

「REX」とは「王様」の意味。今回は古代ギリシャ悲劇の上演スタイルにならい、物語の主な登場人物をメインキャストの中村・南・宮崎の3人が演じ分け、オーディションで選出されたキャストを含むコロス(ギリシャの合唱隊)が彼らの運命を見届けます。タイトルの三つの「X」はこの3人のキャストと、物語に繰り返し登場する「三つの道」の象徴なのです。また、本作は2017年に出版されたばかりの河合祥一郎による新訳版(光文社古典新訳文庫「オイディプス王」)の初めての上演となります。

【あらすじ】
テーバイの都に突如襲いかかってきた疫病の原因が、先王ライオス殺害の汚れにあるとアポロンの神託によって知らされたオイディプス王は、早速犯人糾明に取りかかる。その犯人が実は自分であり、しかも産みの母と交わって子を儲けていたことを知ると、自ら目を潰し、王位を退く。

 

【コメント】
≪中村橋之助≫
ストレートプレイへ初挑戦となります。以前から、歌舞伎以外の舞台にも出演したかったので、本当に嬉しいです。女優さんとお芝居をすることも初めてですので、緊張します。父を殺し、母と知らずに関係を持ち、最後は自らの目をつぶす主人公は、歌舞伎にも出てきそうなキャラクター。古典戯曲という共通点もあります。2018年に生きるオイディプス王を、真新しい僕の可能性を、お客様にお見せできるよう臆さずに頑張ります。

 

≪南 果歩≫
『オイディプス王』は、学生時代に出会った戯曲です。久しぶりの再会で、原点に立ち返るような感慨が あります。当時はオイディプスに自分を重ねていましたが、先日、恩師に「お前もイオカステをやるような 年になったか」と言われてしまいました(笑)。杉原さんは独特な感性の若手演出家。音楽やビジュアルも含 め、従来のギリシャ悲劇のイメージを覆してくれるのではと期待しています。 瑞々しくも頼りがいがある橋之助さんともご一緒できるのが楽しみです。

 

≪宮崎吐夢≫
小劇場一筋の僕にまさかギリシャ悲劇の話が来るとは!宮藤官九郎さんにその話をしたら「君はどこに行こうとしているの?」と(笑)。ギリシャ悲劇は難しそうに思えますが、実は今あるあらゆる演劇の元になっている。僕は杉原邦生さんの演出作品が大好きなのです。ちまちませずに、一筆書きというか、ダイナミックさを押し出せる演出家だと思います。なぜ、杉原さんが僕を起用したのか、稽古を通して見つけるのが楽しみです。

 

≪杉原邦生(演出)≫
今回は、若いオイディプス像にこだわっています。橋之助さんはまだお若いですが、襲名を経て、俳優としての意志の強さと覚悟が顔つきに現れてきて、まさに若き王。南さんは柔らかさと芯の強さ、チャーミングさと厳しさを兼ね備えた方で、僕のイメージするイオカステにぴったり。宮崎さんは、いつか僕の芝居に出たいと思って下さっていたというのがまず嬉しいですし、この方となら豊かな創作ができると確信しています。ギリシャ悲劇には、今も僕たちが心動かされる物語の要素が、詰まっています。新たな『オイディプス王』をぜひ、客席で体感してください!