東京・日比谷のシアタークリエでは2022年12月に『4000マイルズ ~旅立ちの時』を上演することが決定した。本作は、2011年にオフ・ブロードウェイにて初演、2012年にオビー賞のベスト・ニュー・アメリカンプレイ賞を受賞、タイム紙のベストプレイに選ばれ、2013年にピューリッツアー賞の最終候補となった作品だ。それ以降、世界各地で上演され、2020年春にはロンドンのオールド・ヴィック劇場にて、ティモシー・シャラメ主演で上演されることが発表され、話題を呼んだ。(※ロンドン公演は新型コロナウィルスの影響により上演中止)
大学生レオと祖母のヴェラが、長い時を経て再会することでふれ合う、祖母が生きた時代、孫が生きる未来。それぞれ行き場を失っていた人生を果たして取り戻すことができるのか――。珠玉のヒューマンドラマが幕を開ける。
そして、気になる出演者も明らかに!主人公のレオを演じるのは、舞台『M.バタフライ』での好演が記憶に新しく、近年舞台で目覚ましい活躍を見せる岡本圭人。ヴェラには、映画・ドラマ・舞台とジャンルを問わずその存在感を放つ高畑淳子。また、レオのガールフレンドである大学生のベック役に森川葵、レオがアパートに連れてくる女子学生のアマンダ役に瀬戸さおりを迎え、実力派キャスト4名でお届け。今回、演出を手掛けるのは、読売演劇大賞最優秀演出家賞を二度受賞し、今最も旬な演出家の一人である上村聡史。シアタークリエでは、『大人のけんかが終わるまで』、『ブラッケン・ムーア~荒地の亡霊~』、『ガラスの動物園』に続き、本作が4本目。世界各地で上演を重ね、多くの人を惹きつける珠玉のヒューマンドラマ、待望の日本初演にご期待あれ!
上演決定に際して、出演者たちからのコメントも公開された。
岡本圭人 コメント
人生という旅を続けていると、時に現実から目をそむけたくなるような出来事に遭遇することもあります。僕がそんな経験をしたときには、いつも家族や友人に支えられて乗り越えてくることができました。初めて台本を読んだとき、僕は自分のおばあちゃんのことを思い出しました。子供の頃、僕を自転車の後ろに乗せて公園まで連れていってくれた思い出、おばあちゃんが作ってくれたご飯の味、誰よりも人の気持ちを考えるおばあちゃん。いつも何も聞かず、深い愛情でそっと僕を見守っていてくれたおばあちゃんは、ヴェラと同じでした。
「4000マイルズ 」は僕が大好きなお芝居を通して、家族の愛、信頼することの大切さを確認することができる作品です。エイミー・ハーツォグの綴る台詞は優しいユーモアと思いやりに溢れています。レオが、おばあちゃんと一緒に暮らしていくうちに、自分の問題と向き合い、解決し、成長していったように、僕自身もレオと一緒にヴェラ を 演じる高畑さんを支えられる存在になっていきたいと思います。
この作品を演出の上村聡史さん、そして高畑淳子さん、森川葵さん、瀬戸さおりさんを含めた素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんと共に作り上げ、皆様と劇場で共有出来 る日を楽しみにしています。
森川葵 コメント
海外の戯曲で、シアタークリエで、そして上村聡史さんの演出ということで、嬉しい気持ち と 大きなプレッシャーを感じています。本作の登場人物たちは、 冷静に話しているように見えますが、発している言葉と抱いている感情 が異なる部分があります。それぞれが 平気なふりをしているけれど心の中では複雑な心境を抱いているところにおもしろみを感じました。コロナ禍で人の気持ちを 汲み 取るのが難しい現代に おいて、 本作は ど のように 人と向き合っていくのか を考えるきっかけになる部分もあると思います。
瀬戸さおり コメント
出演が決まって、まずはとても嬉しかったです。アマンダは、若くて陽気で大きな野心を持った魅力的な役柄で、私自身が今までに演じたことのないキャラクターなので、挑戦できることが何より楽しみです。物語の中で、主人公のレオは3人の女性から影響を受けたり、影響を与えたり し ます。他の2人と比べると、アマンダの存在はレオの人生にとっては一瞬かもしれませんが、そんなアマンダが、レオにどんな影響を与え、またアマンダ自身も何を受け取るのか、稽古を通して探っていきたいと思っています。本作は人と人との関わりや、人と触れ合う大切さを改めて気づかせてくれる作品だと思います。
高畑淳子 コメント
ヴェラという役は、台本を読むとたくさん喋るので大変だなと身構えておりますが、演出の上村さんとは いつかご一緒したいと思っておりましたので、今回 実現 して とても嬉しいです。
本作は、これから人生を模索するレオと、十分人生を模索してきた91歳の ヴェラが、お互いを見守りなが ら人生と向き合って暮らすというドラマです。 おばあちゃんと若い人 という組み合わせは 、 これまでの 数多くの作品を見ても、 おもしろいドラマが生まれる最強の組み合わせだと感じています 。
作品をご覧になった方が劇場を出られる際に、 温かいものを持って帰っていただ き、 価値観の違う者同士が生きていかなければならない社会で、 優しい気持ちになったり、お互いを見守り合え たりする 、そんな作品になりましたら 幸いです 。