歌妖曲~中川大志之丞変化~|中川大志インタビュー

人間の業と派手なエンターテインメントが交差する作品です

明治座×東宝×ヴィレッヂによる三銃士企画第2弾『歌妖曲~中川大志之丞変化~』が11月に上演。主演を務めるのは中川大志だ。

中川「舞台に対する憧れはずっとあって、いつか機会をいただければと思っていました。3歳の頃からジャズダンスを習っていて、発表会で懸命に踊ったときに、お客さんの笑顔が見えて拍手をもらえるのがすごく嬉しかったんです。多分、僕の原点はそこなんでしょうね」

シェイクスピアの『リチャード3世』と昭和歌謡をミックスした世界で、中川は大スター・桜木輝彦と彼が全身整形を受ける前の鳴尾定の二役を担う。

中川「いろいろ両極端ですが、元は同じ人物。理想はどちらか一方を演じているときに、その後方にふともう一方の姿が浮かび上がることかなと思っています。人間の深い業と派手なエンターテインメントが交差する作品なので、どんな世界が立ち上がっていくのか自分でも楽しみです」

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』畠山重忠役など、映像でも大活躍の中川だが、本格的な舞台出演は今回が初。「舞台は未知の部分も多く、とても大きな挑戦になると思っています。新しい扉を開けることで出会える世界があると信じ、皆さんの力を借りながら前に進んでいきたいです」と語る。

昭和歌謡や大衆芸能など、華やかなエンターテインメントが炸裂する本作。劇中のパフォーマンスも見どころのひとつだ。

中川「もともと音楽は好きですが、今回は劇中で歌を歌うので、2021年の初めからボイストレーニングに通っています。これだけの回数、大舞台に立ち続けるには身体づくりも必要だと思い、肉体的にも新しいトレーニングを始めました」

静かだが熱のこもった口調から、中川の今作への強い想いが伝わってくる。

中川「内容の濃い作品ですので、自分がこれまで経験したことがないくらいの集中力を使ってお芝居することになると思います。一番悔しいのは役の感情を表現しようとしたときに身体がついてこないこと。だからできることは今のうちに何でもやっておきたいです。どれだけ準備しても足りない気がするんです」

家族から疎まれ捨てられた定は容姿端麗な輝彦として生まれ変わり、芸能界を席巻していく。

中川「僕自身、あまり強く怒りを感じることがないので、誰かに復讐したいと思うようなことは今までないですね(笑)」

作品の舞台は昭和30年代。20代の彼にとってはすべてが逆に新鮮に感じるようだ。

中川「この時代のアナログ感、逆にとても新鮮ですし、音楽もテンションが上がるものも多いです。僕、最近、レコードプレーヤーを買ったんですよ。もともと凝り性なので、機材にこだわりつつ、レコードでしか出ない音を楽しみながら昭和歌謡もたくさん聞いて身体に落とし込んでいきたいです」

今、自らを突き動かす熱源のひとつが不安だと語る。

中川「怖いんです、自分がどこまでやれるのか。だからこそ懸命に準備をし、万全の態勢で作品と向き合いたい。きっとこれまで誰も見たことがない世界観になると思いますので、ぜひ劇場で体感してください」

晩秋の明治座にけれん味溢れる“シン・中川大志”が降臨する

インタビュー・文/上村由紀子 
Photo/植田真紗美

※構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

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【プロフィール】

ナカガワ タイシ
■’98年生まれ。数多くのテレビドラマ、映画に出演する人気俳優。’22年12月23日公開予定の映画「ブラックナイトパレード」に田中皇帝役で出演。W主演映画「スクロール」が’23年公開予定。