舞台『巌流島』│横浜流星✕中村隼人✕堤幸彦 製作発表会見レポート!

2022.10.27

宮本武蔵 ✕ 佐々木小次郎 新解釈で描かれる令和版『巌流島』の決闘!

2023年2月10日(金)~22日(水)に行われる東京・明治座での公演を皮切りに、金沢、新潟、秋田、名古屋、神戸、高松、福岡の全国8箇所で上演される舞台『巌流島』の製作発表会見がオンラインにて行われた。

製作発表が行われた場所は、山口県下関市船島。武蔵と小次郎が雌雄を決したあの巌流島での会見となった。宮本武蔵役の横浜流星、佐々木小次郎役の中村隼人、演出の堤幸彦の3人が顔を揃え、武蔵・小次郎像の前で意気込みを語った。

本作は脚本・マキノノゾミ、演出・堤幸彦のコンビによる『真田十勇士』、『魔界転生』に続く大型アクション時代劇。誰もが知る巌流島の決闘を、新解釈・新設定にて演出するオリジナル新作舞台となる。当初は2020年7月から9月にかけて上演される予定だったが中止に。2年半の時を経て遂に今回、実現することとなった。戦国の世に生きた剣の達人がどんな生き方をしたのか? 令和に刺さる剣豪たちの物語に刮目せよ!

司会:元木寛人(福岡放送アナウンサー)

登壇者:横浜流星、中村隼人、堤幸彦

――巌流島の地に立った感想を聞かせてください

横浜「武蔵と小次郎が世紀の一戦を行った場所に、今、自分が立っていること、そして同じ空気を吸えていることが感慨深いです。この場所に立った経験は必ず役作りに影響してくると思うので来られて良かったです」

隼人「船に10分くらい揺られて巌流島に上陸したのですが、今、ただならぬエネルギーを感じています。島に踏み入れた瞬間に、厳かな雰囲気というかパワーを感じました。この経験を役作りに反映させていきたいです」

横浜「パワーは感じますね。戦いにふさわしい場所だなというのは凄く感じています」

「私は巌流島に来たのは2度目なのですが、前回は曇っていて小雨交じりでした。今日は晴れていて温度もちょうど良く、しかも潮の流れも早い。きっと、1612年の4月13日もこんな感じだったのかなと思います。我々はこの空気を舞台上で再現しますけども、この空気、太陽、風を忘れずにやりたいなと思います」

――舞台『巌流島』への意気込みを教えて下さい

横浜「(この舞台は)一度中止になってしまって、悔しい思いだったり、責任感を感じていたのですが、こうしてまた上演することが決まって非常に嬉しく思います。積み重ねてきたものを全て注ぎ込んで、深みが増した武蔵をお見せできればと思います。あの時、共に稽古をしてきた仲間たちの想いもしっかり背負って、堤監督、中村隼人さんをはじめとしたスタッフ、キャストのみなさんと一致団結して最高に熱い作品を届けたいです」

隼人「一度、出来上がったカンパニーに入っていくのは緊張やプレッシャーがあるんですけど、僕が入ることで新しい風になればいいなと。そしてそれが作品のエネルギーになればいいという意識で稽古に入っていこうと思っています」

――これまでたくさんの『巌流島』の物語が作られていますが、令和版の『巌流島』はどのようになりますか?

「舞台におけるテクノロジーの最新型をお見せしたいと考えています。巨大なLEDのモニターを使いながら、自由自在に舞台の背景が変わっていく。パフォーマンスも含めて新しい形の舞台を目指したいと思っています。一方で、基本は横浜流星さんと中村隼人さんの汗と血と涙を間近で見えるようにも作ります。従来ある演劇の力強さと現在のテクノロジーを融合させたものにしたいと思っています」

隼人「あの……史実では巌流島の決闘は、一瞬にして勝負がついたそうですけど……」

「フフフ。今回はそうはさせません。新解釈ということで、実はふたりは昔から知り合いで、お互いが運命の相手だと思っているという設定です。それは恋愛の精神の動きに近いかもしれませんし、友情の物語であるかもしれない。だが、ふたりは侍です。“命を賭ける”意味はなんだろうか? ということをしっかり問い続けたい。ですから決闘のシーンも一瞬では終わりません。かなりしつこいですよ(笑)。そこは大きな見せ場になります」

――中村隼人さんは歌舞伎以外での大規模な舞台に出演されるのは初めてと伺いましたが、歌舞伎との違いなどについてどう思われていますか?

隼人「難しいですね。まずはカンパニーが違うのは大きいです。歌舞伎は女性の役も男性がやりますし、小さい頃から一緒に過ごしてきたメンバーと同じ顔合わせでやることが多いのでそこは大きく違います。逆に歌舞伎役者だから役に立つことを流星さんに聞いてみたいです」

横浜「いやいや(笑)。それはもう全てでしょう。立ち振舞いもそうですし、所作もそうだし、全て活きると思います」

「私が思うに、大きな違いは“喉”じゃないですかね? 歌舞伎役者の方は常日頃から、観客の最後方に届く大きな声を出してらっしゃるから、そこは映像畑から出てきた人とは違うと思います。声をどう届かせるかは非常に重要だと思いますし、そこは隼人さんが手本を見せないといけないと思います」

隼人「なるほど。確かに歌舞伎はマイクがない演劇です。そこに関しては自分なりに鍛えてきたつもりなので、監督が言われるように先頭に立てるように頑張ります」

――横浜流星さんはどのような宮本武蔵を演じようと思われていますか?

横浜「脚本を読ませて頂いたのですが、今回の武蔵は葛藤だったり、戦う意味だったり、心の揺れを濃く描いてくださっています。なので武蔵の内面の部分、心の揺れは大事に作っていきたいと思っております。新解釈ということで、史実を大事にしながらも、自分にしか出せない新たな武蔵を見せることができればなと思っております」

「最近の流星くんが出ているドラマや映画を見させていただいていますけど、確実にそこで作ったキャラクターがこの舞台にとって必要なものになっていると思います。それこそ武蔵の生きざま、暗さ、強さ、何十年も何かを思い続ける気持ちを演じるに当たり、適役だと思います」

隼人 「僕の役割でいうと、小次郎のキャラクターが濃くなればなるほど、武蔵のキャラクターも立ってくると思うので、そういう部分を踏み込んでやっていけたらなと思っています」

――今日、巌流島に来る前に武蔵と小次郎に縁のある小倉城にも行かれたそうですね?

横浜「はい。行けてよかったです。いろいろな説も聞かせて頂いたので、取り入れられるものはしっかり取り入れて役作りに反映させたいです」

隼人 「(小倉城の展示で)印象に残ったのは、武蔵って剣だけを追い求めた無骨な男かと思いきや、意外と巌流島の戦いが終わったあとは、水墨画で絵を描いたり、書を残したり、哲学者的な部分もあったと知って“天才じゃん”と思いました」

「流星くんは、映画『線は、僕を描く』で水墨画に挑戦していたよね? あれは偶然?」

横浜「たまたまですけど、1年間かけて水墨画に挑戦していたので何か通じるものがあるんだと思います」

「なんなら舞台で書きますか?」

横浜「武蔵にしっかりなれたら書くのもアリですね」

「剣聖と言われていますけど、その実、やはり人間なんですよね。だから旅をして、自分の居場所を求めて彷徨うわけです。それって我々とほとんど変わらない。ただ、剣術が異常に強かった故にいろいろな運命や決闘を背負わないといけなかったという。どっちかというと悲しい人たちだったなと、改めて思いました」

――今回の舞台『巌流島』は全国8箇所での公演が予定されいます。ツアーへの期待や意気込みは?

横浜「東京だけではなくて、全国各地の方に舞台『巌流島』を届けられることが本当に嬉しく思っています。ケガのないように、心を熱く、でも頭は冷静にやっていきたいです」

隼人「たくさんの都市を回らせていただくのが楽しみです。巌流島が成功できるように自分の持てる全てをぶつけてやっていきたいと思います」

「コロナで表現に規制がたくさんかかってきたこの数年間、なくなった舞台もあり、延期・中止になったものもあり、そういった悔しさや切なさも背負いながら、今、できうる最大の方法を客席を巻き込んだ表現としてできればいいと考えています。お芝居は舞台の上で行われるものではない。目で見て、耳で聞いて、肌で感じる、立体的な作品にしたいと思っています」

――最後に舞台『巌流島』を楽しみにしている方へメッセージをお願いします!

横浜「稽古までの間に各々が役作りを詰めていき、本番はチーム一丸となって心に響く作品をお届けすることを誓うので、みなさん楽しみに待っていてください」

――ありがとうございます。巌流島からでした

取材・文/高畠正人