リーディングアクト「一富士茄子牛焦げルギー」大阪公演レポート&小柴 陸・羽野晶紀・橋本さとし開幕コメント到着!

2022.12.19

写真左より 橋本さとし、小柴陸、羽野晶紀
撮影:須佐一心  ©️リーディングアクト「一富士茄子牛焦げルギー」製作委員会

「絵」と「音楽」と「朗読」が融合した“リーディングアクト”
熱演の小柴陸(AmBitious /関西ジャニーズJr.)、羽野晶紀、橋本さとし、
3人のハーモニーが心を温かく包み込む。

2022年12月15日(木)に大阪・ABCホールで開幕したリーディングアクト『一富士茄子牛焦げルギー』。12月18日(日)で大阪公演は閉幕し、続いては12月22日(木)からの東京公演へと舞台を移す。

そんなリーディングアクト『一富士茄子牛焦げルギー』は、画家・絵本作家のたなかしんが2019年に新聞連載として執筆し、第53回日本児童文学者協会新人賞を受賞した「一富士茄子牛焦げルギー」(いちふじなすうしこげるぎー)を原作とし、河原雅彦が「朗読と演劇の中間」とも言える「リーディングアクト」という特殊な形式で演出、3人の俳優が“ぼく”と“おとん”と“おかん”を演じ、時に“語り部”や“ぼくの親友”ともなり、朗読の「声」で紡ぐ作品世界と、キャストが互いに視線や言葉を交わす「演技」で紡ぐ作品世界の、両方が体感できる作品だ。

初演は2021年1月、“ぼく”を小柴陸、“おとん”を生瀬勝久、“おかん”を沢口靖子が演じ好評を得た。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、大阪公演1日目を上演後全公演が中止となり、チケットを手にしていた多くの観客の観劇が叶わなかった。それから約2年、悲願の再演を果たした。

今回の再演では、“ぼく”を小柴陸(Ambitious/関西ジャニーズJr.)が続投、新キャストとして、“おとん”を橋本さとし、“おかん”を羽野晶紀が演じている。

小柴は昨年10月に関西ジャニーズJr.の新グループAmBitiousに所属、大学生にもなり、一回り大人になった姿で再演の舞台に立った。

また今回の再演では、バックスクリーンに映るイラストを、原作者のたなかしんが、初演から新たに加え描き下ろししているとのことで、作品が随所でブラッシュアップされていることにも期待だ。

おとん、と、ぼく。父子2人の年始の朝から、物語は始まる。

餅を焼きながら聞いていたおとんの夢の話は奇想天外だった。

おとんは、夢の中に出て来た「富士山」に「夢を叶えてあげる」と言われ、とっさに「餅が焦げないようにしてほしい」とお願いしたと話す。そんな馬鹿げた話を聞きながらオーブンの中を見ると、餅は…一向に焦げていなかった…。

小柴陸の“ぼく”は、一人の少年の、出会い、別れ、悲しみ…成長期に体験する様々な思いや葛藤を、瑞々しく真っ直ぐに、そして情熱的に演じる。初舞台となった初演から時を経て、より深くより躍動的に“ぼく”を熱演する姿に、胸打たれる。

羽野晶紀の“おかん”は、笑いの絶えない家族の真ん中にきっとこのおかんがいたのだろうと想像せずにいられないおかんを、朗らかに生き生きと演じる。そして、“おとん”の橋本さとしは、いつも冗談でけむに巻きながらも、心の奥に苦悩を押し込み、息子に温かい眼差しを向ける父を好演。橋本と羽野のコンビネーションがこの家族の色と一体感を増幅させるようだ。

ユーモラスでファンタジックでありながら、親が子を、子が親を思う気持ちはリアルに届き、心を揺さぶられる。寒い冬に、心の芯を温めてくれる一作となることは間違いない。

先日、大阪での初日に向けて演出の河原雅彦とキャストからは次のようなコメントが届いていた。

演出:河原雅彦 コメント

無事リハーサルを終え、いい作品になると実感しています。初演の生瀬さんと沢口さんもとても素敵なお父さんお母さんでしたが、今回もまた全然雰囲気が違う、さとしさんと羽野さんと小柴くんの良い家族が出来たと思いますし、再演した甲斐があるなと思いました。

今回のキャストは和気あいあい度が高く、さとしさんと羽野さんの長きに渡る関係もあって、とても良いムードが作品に反映されていると思います。

小柴くんは、前回は多分、無念な形で途中で終わってしまってから2年弱の月日を経て、この作品に対する強い熱意を持って稽古初日から臨んでくれていました。逆に嘘でもいいから本を読んでる感じで(笑)と言ったくらい、セリフがしっかり入っていました。とても責任感の強い青年なんだなと改めて思いましたし、ちゃんと熟成されてる感じもあるので、頼もしくなったなぁと思って見ています。

たなかしんさんの、ほのぼのとしながらもドキリとさせ、シリアスで生々しいところもあるけど、最終的に素敵なファンタジーになっているこのお話が、沢山のお客様に伝わればと思います。今後もキャストを変えて長くやれる作品だとも思いますが、まずは、このメンバーでの初日をしっかりお見せしたいです。皆さん楽しみにしていてください。

写真左より 橋本さとし、小柴陸、羽野晶紀

小柴 陸 コメント

リハーサルを終えて、早くお客様の前で披露したい気持ちで一杯です。リーディングアクトという形式ですが、演技をするシーンもあって、芝居中にさとしさんの演技で素で笑ってしまう瞬間もあったり、リアルな気持ちでやりとりしながら”ぼく”を演じることができて、ほんとに楽しいなと思います。

河原さんにも「うまくなった」と言って頂けて、それをずっと更新できるように、頑張りたいです。

■羽野晶紀 コメント

ようやく初日を迎える事ができました。”リーディングアクト”という、普通の芝居ではなく本を読みながら芝居をするということがどんな感じなのか、ちょっと挑戦的なことだと思いながら稽古が始まり、毎日色々な発見がありました。背景のスクリーンに、たなかしんさんの絵がたくさん出てくるので、本を読み聞かせしてるような、そんな雰囲気もひとつ出たらいいかなと思ったり、おかんのセリフを言う時はおかんとして、ナレーションを担当しているところは、僕の心を代弁しているところも多かったので、そこは使い分けてやってみようとか、毎日楽しく稽古をしていました。焦げた餅へのこだわりが強い家族なので、めちゃお餅が食べたくなり、家でオーブントースターで、焼いてみました。笑 めちゃくちゃ上手く焦げ目がついたから、やっぱりオカンの焼く餅は最高やなぁ〜と、自画自賛。皆様もこの舞台観た後…餅が食べたくなるかも。笑。是非楽しみにご覧頂けたらと思います。

■橋本さとし コメント

リーディングアクトでは言葉を大切に、まず僕ら演者が、活字から立ち上がるもので心に絵を描けなければ、お客さんの心にも描くことができないと思っています。劇場の空間で、たなかしんさんの世界観を、皆さんと一緒に心へ描きたいと思います。台本を持ちながらの演技は、ある種の手枷足枷にもなりますが、それを乗り越えた先の心の解放と躍動感をお客様にお伝えできればと思います。

この作品は、家族の絆とか命の尊さ、残された人は逝ってしまった人の気持ちをどう汲み取って生きていくかなど色々と考えさせられますが、作品を通して人生のエネルギーを感じて頂きたいです。

 

公演は残すところ12月22日~25日の渋谷・CBGKシブゲキ!!での上演となる。