高羽彩主宰タカハ劇団の新作公演『おわたり』が7月1日(土)~9日(日)東京・新宿シアタートップスにて上演されることに!本作では、2008年に上演され鮮烈な印象を残した『プール』から15年、タカハ劇団が再びホラーに挑む。
キャストには、映画『辻占恋慕』で主演を務めた早織をはじめ、初期タカハ劇団を支えた盟友で読売演劇大賞最優秀作品賞受賞『生き残った子孫たちへ 戦争六篇』への出演も記憶に新しい、劇団チョコレートケーキ所属、西尾友樹、『レオポルトシュタット』『ブレイキング・ザ・コード』など話題の舞台への出演が続く田中亨のほか、宇野愛海、鈴政ゲン、土屋佑壱、神農直隆、猪俣三四郎、かんのひとみといった実力派が名を連ねる。
また同時に、昨年公演中止となった『ヒトラーを画家にする話』が全キャスト続投となることが決定。2023年9月28 日(木)~10月1日(日)東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて上演される。
今回の上演決定に際して、 タカハ劇団主宰である高羽彩から、次のようなコメントも寄せられた。
高羽彩 コメント
古来より人間は、言い知れぬもの、見えないもの、理解の及ばないものを怖れ、それに化け物や幽霊や神という形を与えて「解釈可能なもの」に変換することで共生を図ってきました。逆説的ではありますが、「怪談」は人間が恐怖に打ち勝つためのメソッドだったのです。
夜道は明るくなり、人間の遺伝子構造は解析され、宇宙の果てに何があるのかまで解き明かされようとしている今、怪談の役割は終わったかのように思えます。しかし、全てが明るく見渡せるようになったからこそ、わからないことが増えていくというのが実際のところ。
現代を生きる我々は、夜が暗かった時代よりももっとずっと、本質的で厄介な恐怖と向き合っているのかもしれません。そんな恐怖にわかったような顔をして蓋をするのではなく、ちゃんと正面から向き合ってもいいんじゃないか、そんな気持ちになったので、今回のタカハ劇団はホラーです。「おばけなんかないさ」で片付く時代は終わってしまったのですから。
『おわたり』 あらすじ
その夜は、
外を見てはいけない
人形を飾ってはいけない
背後から呼ぶ声に、ふりかえってはいけない
ある日突然、死んだ友人の幻影を見るようになった小説家、稔梨。
彼女は友人の民俗学者と共に、海沿いの小さな集落に住む霊能力者のもとを訪れる。
しかし彼女が尋ねたとき、集落は年に一度の祭『おわたり』の準備に大わらわだった。
『おわたり』とは、その年に海で死んだ者たちの魂がいっせいに黄泉の国へと渡ること。
死者と生者が混在するひと夜。
海は闇に溶け出し、人の秘密があふれ出す。