minish*2「リバース ヒストリカ」ゲネプロレポート

2023.04.28

佐野大樹が演出を務めるminish*(ミニッシュ)の企画第2弾となる『リバース ヒストリカ』が4月26日(水)、赤坂 RED/THEATERにて開幕した。初回上演を前に行なわれたゲネプロの模様と開幕に合わせてキャスト陣から届いたコメントを紹介する。

minish*は、演劇ユニット*pnish*(パニッシュ)のリーダーである佐野が、*pnish*の過去作品を通して“つながりをつくるべく”企画したもの。今作は2022年の『パニックカフェ』に続く第2弾となる。

物語の舞台となるのは、とある廃神社。戦国時代を舞台にした自主制作映画の撮影のために監督の中島(井尻翼馬)、中島の弟で人気若手俳優である朋希(吉澤翼)をはじめ、スタッフ、出演者らが集まってくる。中島は映画の成功を願い、知り合いの祈祷師の由比野(御堂耕平)を現場に呼ぶが、実は彼は祈祷師ではなく霊媒師だった。次回の大河ドラマで明智光秀を演じることになっている朋希は、役作りの参考にと明智光秀の霊を召喚させるが、出演者のひとりである浜崎(川村玲央)に憑依した光秀は戦国時代さながらに暴れ始める。光秀を抑え込もうと、中島らは織田信長の霊を召喚するが、事態は収束するどころかさらに悪化してしまい…。

光秀に信長、秀吉に柴田勝家、森蘭丸など、多くの人が知る人気の武将が次々と登場するのが本作の魅力だが、あくまでも霊媒師によって召喚され、現代の若者の肉体に憑依しているというのがポイント。気性の激しい信長の魂が、なぜか虚弱体質で肩の関節が外れやすい大塚(広井雄士)に乗り移ってしまいその気迫とは裏腹に、身体を思うように動かせなかったり、冷静沈着な松浦(松田将希)におどけた“サル”こと秀吉が乗り移るなど、“本体”と“魂”のギャップの大きさが楽しい。極めつけは、戦国時代屈指の美男子と伝わる森蘭丸。なぜか、撮影隊の中でも三枚目キャラである幸田(福島海太)に憑依してしまい、その悲哀(?)に劇場はたびたび、笑いに包まれる。

召喚された武将たちは、中島の自主制作映画のために用意された衣装である着物を身にまとうが、和装とスニーカー&ショートヘアなどの現代的な装いが混ざり合った姿で舞台上に佇むさまは、ゲームやアニメのキャラクターのようでもありスタイリッシュ!

若手キャストの中にあって、廃神社の元神主を演じ、ベテランの存在感をいかんなく発揮しているのが*pnish*の鷲尾昇。2008年に上演された*pnish*のオリジナル版では中島を演じた鷲尾の出演は*pnish*のファンにとっては嬉しいところ。

また、物語を通じて、戦国時代の最大のミステリーのひとつ――明智光秀はなぜ主君である信長を裏切り、本能寺の変を起こしたのか?という謎の真相が独自の解釈によって描かれるのも、歴史好きにとってはたまらない大きな見どころのひとつ。光秀の苦悩、信長の怒り、秀吉の大義……全体としてコミカルなドタバタ活劇を貫きつつ、歴史の解釈と共にそれぞれの武将たちの決断や葛藤、迷い、正義、私欲などが語られ、400年以上の時を超えて、現代を生きる若者たちへと、その思いが伝わっていく。

もちろん、激しいアクション、シャープな殺陣も魅力的。所狭しとばかり、若きキャスト陣が舞台上を駆け回り、戦いを繰り広げる。決して大きいとは言えないステージ上で、男性ばかり11名もの俳優が入り乱れるが、それぞれの個性が丁寧に描かれ、キャラクターが際立っているからか、ひとりひとりの存在がすんなりと頭に入ってくる。

笑いあり、アクションあり、人間ドラマありのダイナミックな活劇となっている。

出演者開幕コメント

井尻翼馬

『リバースヒストリカ』初日ありがとうございました!
幕が上がる今日をずっと待ち望んでいました。minish*として再び舞台に立てた喜びを噛み締めています。全キャラクターの個性がぶつかり合い、見どころ満載のリバヒスを是非劇場で体感してください!明日からも一つ一つ大切に挑んでいきます。

川村玲央

minish*2『リバース ヒストリカ』皆様のおかげで無事初日を終える事が出来ました。
それぞれが役と向き合い全力で演じる姿と、その皆で支え合って作り上げるこの舞台を是非お楽しみ下さい。そして千秋楽まで駆け抜けられるよう、応援の程宜しくお願い致します!

中三川歳輝

『リバース ヒストリカ』初日無事幕が上がる事が出来ました。ご来場頂き誠にありがとうございました。
とても見所が沢山ある作品になっております。最後まで川上と津田の掛け合いをぜひ刮目してください!
千秋楽までもっともっと高みを目指して精進して参ります。最後まで応援のほど宜しくお願い致します。

広井雄士

minish*2『リバース ヒストリカ』無事幕が上がりました!ご来場頂いた皆様、有難う御座いました。
*pnish*から続くこの作品を、minish*として届ける事が出来て本当に嬉しく思います。
刀を使った殺陣など、自分にとって初めての経験が沢山詰まった今作。千穐楽まで大切に演じていきます!応援宜しくお願い致します。

御堂耕平

まずは無事に初日を迎えられてホッとしています。
稽古の期間は苦しい場面もありましたが、みんなで乗り越えて、作り上げた舞台となりました。千秋楽まで新たなminish*を全力でお届けして行きますので、どうか応援のほどよろしくお願いします!

鷲尾昇

舞台『リバース ヒストリカ』無事初日の幕が開きました!!
14年前、中島役でこの作品に関わった自分が、綾川役という、また違った立ち位置からこの世界を味わう事が出来て、とても楽しませて頂いています!
この作品は、本当に年齢性別問わず、何方でも楽しんで頂ける作品です。*pnish*ワールド全開のこの作品が、minish*の皆を通して、沢山の方々に届く事を心から願います!最後まで頑張ります(^_^)

取材/黒豆直樹