日本テレビ開局70年記念舞台『西遊記』│堤幸彦×片岡愛之助 【福岡】合同取材会レポート

2023.08.12

2023年11月から2024年1月にかけて、日本テレビ開局70年記念舞台として、大阪、福岡、名古屋、そして東京の全国4ヶ所で上演が決定している『西遊記』。本作の演出を手掛けるのは、多くのTVドラマ・映画・舞台の演出・監督を手掛ける奇才・堤幸彦。舞台『魔界転生』や今年の2~3月にかけて上演された横浜流星主演舞台『巌流島』での斬新な演出が記憶に新しい。そんな堤が手掛ける『西遊記』で主演を務めるのは、歌舞伎はもちろん、TVドラマ・映画・CMなど多方面で活躍を見せる片岡愛之助。そんな二人が福岡にて取材会を開いた。

「西遊記」は16世紀の明の時代に書かれた中国の小説。昭和53年、日本テレビが開局25周年記念番組としてドラマ「西遊記」を制作。孫悟空を堺正章、三蔵法師を夏目雅子、猪八戒を西田敏行、沙悟浄を岸部四郎が演じて放送するや否や大ヒットとなり社会現象に。その後、時代が平成に変わっても何度もドラマ化され、長年にわたりあらゆる世代に愛されてきたスペクタクルエンターテインメント作品である。そんな「西遊記」がテレビの世界を飛び出しこのたび舞台化。片岡愛之助、小池徹平、戸次重幸、加藤和樹、村井良太、藤岡真威人、中山美穂、松平 健といった、様々なジャンルで目覚ましい活躍を魅せる俳優陣が顔を揃えることが発表された。

写真上段左から)片岡愛之助(孫悟空)、小池徹平(三蔵法師)、戸次重幸(猪八戒)、加藤和樹(沙悟浄)
写真下段左から)村井良太(玉竜)、藤岡真威人(紅孩児)、中山美穂 (鉄扇公主) 、松平健 (牛魔王)

まずは、演出を手掛ける堤幸彦が「これまでにも島原の乱をモチーフに描いた『魔界転生』、今年は『巌流島』など九州にまつわる作品を多く扱い、博多座でも公演を行ってきました。私の両親が九州・大分なので、自分には九州の血が流れているという思いがあり、再び九州の博多で公演が出来ることが嬉しい。“相当”頑張らせていただきたい!と思っております(笑)」と熱い思いを吐露。続いて孫悟空を務める片岡愛之助からは、「孫悟空といえば、私の中では堺正章さん!小学生の時に毎週楽しみにしてたドラマが「西遊記」でした。堺正章さんの孫悟空を見て育ってきて、あんな風になってみたいなという憧れもありましたので、このたび堤監督が舞台化され、そこに豪華顔ぶれの方たちと共演出来るということで、期待しかないです!皆さんとぶつかりあいつつ、堤監督に指導していただきながら、役を作り上げていきたいですね。お客様が愛之助版・孫悟空だ!と感じ取っていただけるようなものになればいいなと。今から非常に楽しみにしております」と笑顔で語った。

つづいて、既に公開されている自身の孫悟空姿について感想を求められた愛之助は、「撮影するまでどういう衣裳か分からなかったのですが、『髪の毛は…赤なんだぁ』とまずは驚きを覚えました(笑)。堺さんがドラマで着られていた時の衣裳と色合いも近いので、自分の姿を見て『あっ悟空が完成したな!』と思えました」と、自信をのぞかせた。

その衣裳については堤からも「今回のビジュアルは宣伝用の衣裳ではあるのですが、このままでもいいんじゃないか?と思えるほど仕上がりが良いですね」とコメント。本番の衣裳がどう変わるのか?変わらずにいくのか?という点にも注目だ。

そして扮装ビジュアルの話からキャストの話題へ。三蔵法師を演じる小池徹平とは初共演という愛之助は「年齢不詳で美しいので、三蔵法師にピッタリだと思います」と話すと、「ですよね?頭も剃ってもらわないとかな?(笑)」と、堤からいたずら気味な発言が飛び出した。次に、戸次重幸を猪八戒役にキャスティングした事については、「意外なキャスティングじゃないとおもしろくないですからね。戸次さんはとにかく器用で、難しいテーマを与え追い込まれるほど面白味が増す名優なので楽しみなんです」と堤。愛之助も昨年舞台『奇人たちの晩餐会』で共演した時のことを振り返り…「非常に真面目な方です。セリフで『一文字間違えました、すみません!』と、全く気にならないことで謝られたり。あとは、とにかくお子さんが好き(笑)。お子さんの話ばかりしてました」と教えてくれた。続いて沙悟浄役の加藤和樹に関して堤は「彼は、イケメンでポーカーフェイスでありながら笑える立ち振る舞いを演れるという印象。誰とも被らない部分を作り出せるのではないかと思っています」と印象を述べた。

続いて、舞台の内容を聞かれた堤は「皆さんご存じの『西遊記』です。友情・争い・人間の業の深さなど、いろんな要素を完備したストーリーにしようと思っています。舞台は大きく分けて二幕。一幕は出会いと、松平健さん(牛魔王)、中山美穂さん(鉄扇公主)を筆頭に悪の帝国のようなものがあってそこと対峙し大変な危機を迎える。二幕においては奇想天外な対決方法で戦っていく――。でも、あまり悪い人を出したくはないので、なぜ彼らが妖怪になったのか、どうして悪の帝国となったのかもしっかり解決する人間ドラマにしたいと思っております」と語られた。

また愛之助は、「2年くらい前にお話をいただき、やっとこの日を迎えられる喜びを感じております。映像だとCGなどでなんとかなる部分はありますが、歌舞伎など舞台はアナログな部分があって、それもまた魅力があるんですが、生身の人間が演じますので限りがあります。でも、堤監督は不可能なことを可能にしてくださると思っていますが…筋斗雲はどうするんだろ?と気になっております…」と堤に顔を向けると、「はい。解決法は見出しておりますので(笑)」と笑みを浮かべる堤。その言葉に愛之助が「分身の術は?」とたたみかけると、「分身はもう…任せてください(笑)。若干、如意棒は長くなる部分があるので制約がかかるとは思いますが、そこは考えております」と堤が即答。「はいっ、いただきました(笑)! いや、ほんとうに夢が膨らみますよね。どうなるんだろうな?と、最近そのことばかり考えています」と、息の合った会話のラリーに記者たちからも笑い声がこぼれた。

次に演出に関しても堤からは「最近の舞台装置は想像を超えた様々なテクノロジーが集まってきています。LED技術の研究も進んで、分身の術くらい簡単に出来てしまうんです。だから、皆さんの想像を上回るようなものを作りたいですね。先ほど愛之助さんが歌舞伎などの舞台はアナログな部分があると言われていましたが、そこには舞台の“驚かし”の“技”が全て詰め込まれているので、最新テクノロジーと知恵や肉体の技をミックスした、1分たりとも飽きさせないものにしたいと思っています」と語られた。

また、博多座ならではの演出はあるのか?という質問に対して堤からは、「博多のみならず、ご当地ならではのネタを各公演地で盛り込んでいきたいなと思っています。その土地で何かニュースはないか?と探してビビッドなネタを取り入れ芝居の中に活かすことで、地元の人にクスっと笑ってもらえるような場面も作れたらいいなと思っています」と答えた。

最後に、博多座の印象について愛之助は「きっとどの役者の方も、博多で公演出来ることが楽しみだと思います。まず福岡は食べ物がおいしい。食の楽しみはもちろんあります。あと、これは個人的な印象で、お客様の熱量がすごいなと。もちろん、九州の方だけが来られているとは思いませんが、劇場の雰囲気なのでしょうか?博多座特有の熱気があります」と答えると、その意見に堤も同調。「それは有りますね。西遊記:さい・ゆう・き(博多=西日本・特の・熱)…っていうくらいですから(笑)」と堤がダジャレのようなコメントを発すると、愛之助が「整いました(笑)!…大丈夫でしょうか?」と記者たちに笑顔で問いかけた。

★こぼれ話1★
会見中、45年前に日本テレビで放送されたドラマ「西遊記」では、ドラマ同様にゴダイゴの主題歌『モンキーマジック』が大ヒットしたが、あの楽曲が舞台版でも使用されるのか?という質問が。それに対して堤は、「ドラマはゴダイゴの曲が印象的で、使いたいという思いもありますが、うまく使わないと歌に飲まれてしまうのではないかという心配もあります。今回は、国民の皆さんが知る物語の企画ですので、期待に応えるべく、いろいろと用意はしております」と少しだけ明かしてくれた。

★こぼれ話2★
会見後、ローソンチケットでは、今秋予定している九州地区のローソン店内で流れる店内放送にて、片岡愛之助による告知コメントを収録。その際、40秒以内で原稿を読み上げてもらう時間の制限があったのだが、一度目を通してスグに本番となったにもかかわらず、なんと!39秒で読み上げ一発OKを出してみせた愛之助。その神技に現場にいたスタッフから「お~!!」という声と共に拍手が沸き起こった。

※ローソン店内放送は、10月~11月のどこかで放送予定。ローソン店舗等への放送に関する詳細のお問い合わせはご遠慮ください