“今月の”優先順位高めです【2023年9月号】

2023.09.01

9月です。まだまだ暑いですが、すこしだけ暑さが和らいだ気もします。気づいたらセミの鳴き声もほぼ(?)聞こえなくなっていました。代わりに少しずつ秋の足音が聞こえてくる9月。芸術の秋突入!ってことで、みなさん劇場に行きましょう。「今月の優先順位高めです」もどうぞよろしくお願いいたします。

俳優・ 異儀田夏葉の優先順位高め!

今年、あと4か月しかないってよ
・・・え?
嘘だろ?
嘘って言ってくれよ!!
信じねえ・・・
絶対信じねえかんな!!!

と、冒頭から熱演、失礼いたしました。
9月ですね。
もう秋じゃん。芸術じゃん。演劇じゃん。
ということで今月の優先順位高めはこちらです。

PARCO PRODUCE 2023 橋からの眺め A View from the Bridge
天下のアーサーミラー作品。
面白いですよねー、アーサーミラー。なんなの。
私は生粋のNTL(ナショナルシアターライブ)馬鹿、略してNTLBな訳なんですが、
NTLで観たイヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出の「橋からの眺め」が超絶面白かったのと、
同じくNTLで「リチャード二世」の演出されたジョー・ヒル=ギビンズが
今回「橋からの眺め」を演出するということで、
NTLBとしてはなんとしてもいかなくてはなんねぇべ…なわけです。
しかも、先日、ご縁あってジョーのWSを受け、
そこでも「橋からの眺め」を扱っていたので
ジョーがどういう作品にしあげたのか見届けないとな、と思っております。
ちっさい家の、器のちっさい男の話を、でっかいプレイハウスでどう繰り広げられるのか!!
楽しみです。

ぱぷりか「柔らかく搖れる」
岸田國士戯曲賞受賞作の再演。
初演から全キャストかわって、どう再構築されるのか!?
広島出身の福名理穂さんが作る、全編広島弁の芝居。
わしも広島生まれじゃけ、
なんともなつかしい気持ちになるのも観たい理由ではあるんじゃけど、
家族のややこしさ、ままならなさをいつもぶち丁寧に描いとって、
鼻がツンとしまくるんじゃ。

方言を用いた地元レペゼン的な小劇場増えてますよね。
劇団普通も茨城弁ですね。大好きです。
私は広島生まれですが、育ちは大部分が埼玉なもんで、
方言もそこまでないし、そうなるとレペゼン埼玉な芝居って…どんなだろう…。

アル☆カンパニー『第20回 POPPY!!!(再演)』
大先輩、平田満さんと井上加奈子さんのユニットで、
今回は作・演出が桃尻犬の野田慈伸さん。
平田さんも加奈子さんも、大大大先輩ながら、
常に新しい才能と一緒に芝居を作ろうとされてて、本当に尊敬します。
私も見習ってビンビンにアンテナを張っていないとなぁと思います。
こちらも再演。初演の時は見逃していて、パワーと哀愁の増した再演とのことで楽しみ!!
こないだの桃尻犬もとても評判良かったですね。
艶∞ポリスで共演した徳橋みのりちゃんも出演!!

あれれ、
どれも新作公演ではないラインナップになりました。
もうね、「橋からの眺め」が今までたくさん上演されてきたように、
面白い作品はどんどん再演したらええ!!
と、思います!!

異儀田夏葉
俳優。次回出演:舞台タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』9月28日(木)~10月1日(日)@東京芸術劇場シアターイースト。
X(旧:Twitter):@igitas
Instagram:igitas

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
もう秋。9月って、秋なんですか?
全然まだまだ暑い気するのですが、もう秋なので秋らしく生きようと思います。
てなてなことで、9月の優先順位高めな作品はこちら!!

劇団 東京夜光『fragment』
こちら約1年半ぶり東京夜光さんの本公演。もし今戦争が起きたら。そんなところから始まるストーリーとのことで、この1年半で色々世の中が変わったことで、タイムリーにも感じれる作品なのでは!と思ってます。劇団4ドル50セントの堀口紗奈さんもご出演されるとのことで、堀口頑張ってな!!

劇団アンパサンド『地上の骨』
三鷹市芸術文化センター星のホールで上演される、アンパサンドさんの新作公演。星のホールでできる、ということがひとつの箔だと思ってて、いやー、安藤さん作品おっもしろい!あんだけ面白かったらそうよな、と。
観たら分かるかと思うのですが、確実にぶっ飛んでる部類の方だと思ってます、面識はないのですが良い意味で。
そんな作品が観たい方は是非!!

タカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』
やっと観れる!本作。
昨年全公演中止になってしまい、観れずに終わってしまったこちら、ついに観れる日がやってきました!
タイムスリップしてしまった主人公が、その先で若き日のヒトラーに出会い画家にさせようとするお話。常連組の柿丸美智恵さん他、先日のアンカルさんでも確かな存在感を魅せた名村辰さんなど魅力的な出演者が揃っていて、とっても楽しみです!

その他にも、今川宇宙さんご出演のなかないで、毒キノコちゃん『かこちゃんの後悔』や、第66回岸田國士戯曲賞受賞作、ぱぷりか『柔らかく搖れる』などなど注目公演目白押しです!!

海路
脚本家。演出家。劇団papercraft主宰。1999年7月20日生まれ。
最近は映像監督もしてたりします。
主な作品『人二人』『檸檬』『殻』などなど。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

脚本家/演出家・ 萩田頌豊与の優先順位高め!

夏も始まって仕舞えばあっという間、来年の夏まであと1年あります。
僕は夏が好きなので、来年の夏がもう恋しくて仕方ありません。
皆さんはどうですか?恋しましたか?夏といえば恋という安易な発想は脚本家らしからぬですね。
秋まで待ったなし!以下9月オススメ芝居!芝居からも秋からも目が離せません!よいしょ!

劇団アンパサンド『地上の骨』
センス爆発劇団。全言葉面白い。頭の中どうなってんの一番知りたいです。
ワードセンス最高です。全部知りたい。ずっと浴びてたい言葉のシャワー。観に行きましょう。浴びに行きましょう。

やみあがりシアター『濫吹』
シアタートップス公演。
最高でしょこんなの。いつも通り絶対面白いんだから行きましょう。
タイトルずっと「あぶく」って読んでました。すいません学なくて「らんすい」でした。

アルカンパニー『POPPY』
野田さん脚本の最高傑作の再演。絶対行きます。
豊橋ご一緒させていただいて、野田さんの演出も間近で見させていただいたのでより楽しみです。

ヤリナゲ『拳を掲げよ、天国へと掲げたアンテナのように』
5年ぶりですかね?
越さんの描く物語が好きなので。今からとても楽しみです。
8年前『206』を王子で観て衝撃を受けました。今回も衝撃に備えてます。

大川企画『笑う』
モへーさん。踊り子ありさん。宝保里実さん。奥泉さん。の最高四人の芝居なので間違い無いだろう。
今出会ったら間違いなく面白くなる4人が出会いました。
これは面白いです。観に行きましょう。全く関係ないですが、大川さんも好きです。

フル盛ピンチヒッター『アンカー』
主宰のダインヌさんとは長い付き合いなので、どうか頑張ってほしい。
真っ直ぐ心に届く物語を我武者羅にやるので、今回も観る人の心に撃ち込んでほしい。
腰弱いので壊さないでね?

排気口『時に想像し合った人たち』
菊池穂波くんのカンパニー。
大学で一番仲良かった劇団が満を辞して三鷹NEXT。
正直ガッチガチに滑ってくれという気持ちが10割だが、頑張ってくれという気持ちも1割くらいある。
それでも問題なく終わるだろう。夏から秋に変わる瞬間を排気口と共に過ごしてみてはいかがでしょうか。
俺は家で四六時中、成功を祈り続けることに全力を捧げると決めたので、本番は観にはいけないけど、絶対に上手くいってほしい。

秋になる前に観たい演劇達。秋支度にバッチリな演劇を選びました。これを観て秋に備えましょう。夏はまた来年。
そしたら、まだちょっと暑いけど夏ではない季節10月に会いましょう。ありがとう。本当にありがとう。

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar

俳優・田代明の優先順位高め!

9月9日生まれの田代明です!

そんなわけで9月大好きな田代、今月も三本紹介させていただきます!

ミュージカル『アナスタシア』
2020年、コロナの猛威により多くの公演回数を残して中止となってしまった今作。満を持しての再演となります。2021年に宝塚版を観劇した時に、その音楽の素晴らしさ、そして冬のロシアを舞台にしている世界観がとても好きだったのを鮮明に覚えています。最初のロマノフ家の舞踏会シーンなんかは、お衣装が全員真っ白なんですよね!乙女心くすぐられました、ずっと舞台がキラキラしてて!数々の名曲が散りばめられている今作ですが、個人的にはlearn to do itでアーニャが王女としての振る舞いを学んでいくシーンが、テンポが良くて、3人がわちゃわちゃしていて大好きです。アニメ版を観ていなくてももちろん楽しめます、是非。

ミュージカル『ラグタイム』
1998年のトニー賞で4部門を受賞したミュージカル。日本初演となる今回は、演出を藤田俊太郎さんが行います。ユダヤ人、黒人、白人…それぞれのルーツをもつ3つの家族が固い絆で結ばれ、差別や偏見に満ちた世界を変えていこうとするお話。音楽が、聴き手に与える情報が多いのがこの作品の特徴。歌い手の心情や情景が表現されているのはもちろんのこと、人種やお国柄により、使われているリズム、メロディ、そしてキャストの歌い方や体の動きにキャラクターごとの個性が表現されています。役者の肌の色を変える以外の方法で、その民族らしさを表現する今作。ミュージカル界の強強キャストの皆様が華やかな初演を飾って下さります。

unrato#10『三人姉妹』
先日、PARCOで「桜の園」を観たばかりでチェーホフ熱が冷めやらぬ今日この頃。桜の園と同じく、チェーホフの4大戯曲のうちの一つである今作。《人は何のために生きているのか、未来をどう見据えるか、演劇で問いかけていきたい。》インタビューにて、舞台の主催者の方が語っていたそうです。桜の園の時もそうでしたが、チェーホフの作品は、ハッピーエンドと言い切れる最後ではないかもしれませんが、ラストにはある種の強さを私たちに感じさせてくれます。コロナ禍でまだまだ明るいとは言えない演劇界に、パワーを与えてくれる一作となる事でしょう。

まだまだ暑い日が続きますが、皆様お身体には気をつけて、元気に劇場へれっつごーしましょう。

田代明
女優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。演劇、ミュージカル等、舞台を中心に幅広く活動中。
X(旧:Twitter):@akkarindays

ライター・河野桃子の優先順位高め!

秋も近づき、いろんな演劇祭が幕を開けます。
「東京芸術祭2023」(9月1日(金)~10月29日(日))、「池袋演劇祭2023」(9月1日(金)~9月30日(土))、「豊岡演劇祭2023」(9月14日(木)~9月24日(日))、「京都国際舞台芸術祭」(9月30日(土)~10月22日(日))などなど。

なかでもお気に入りなのが香川の「マエカブ演劇フェスティバル」(9月16日(土)~9月17日(日))で、2日間に20劇団以上が国重要文化財指定の「披雲閣(旧松平家高松別邸)」で上演されます。高松城跡の三の丸にある大正時代の住居建築で、ふすまや廊下や中庭で仕切られたいくつもの和室で同時に芝居が上演されるため、いろんな音が聞こえてきます。シリアスなシーンでどこかの部屋からお客さんの爆笑、休憩スペースで遊ぶ子どもの声、青空の向こうの鳥の鳴き声……空間としては、学校の文化祭みたいな感じでしょうか。開放的な会場と、「いろんな芝居が同時に集まっているんだ」ということを肌で感じるワクワク感がたまらないです。

ほか、PARCO劇場開場50周年記念シリーズ ひげよ、さらば(脚本・演出:蓬莱竜太)は、中島裕翔さんや柄本時生さんら舞台での佇まいが魅力的な俳優たちが集い40年ほど前の児童文学を舞台化。

ウンゲツィーファ『リビング・ダイニング・キッチン』は、赤ちゃんを挟んで三角関係となる夫婦の話。子ども赤ちゃんシャウト回も気になります。

中村蓉単独公演『fマクベス』は、シェイクスピアの『マクベス』の戯曲に登場するいくつもの「f」をキーワードに読み解き、身体表現に落とし込んでいく。さまざまな人が上演してきた『マクベス』のまたほかの姿が見えるかも…。いつも丁寧に芯の通った作品づくりをするルサンチカ『更地』も期待大です。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

『キングオブコント2023』準決勝
コントの日本一を決める賞レース『キングオブコント2023』。毎秋決勝がテレビで放送されるこのレースの、準決勝が9月にめぐろパーシモンホールで行われます。激戦を勝ち抜いた34組が2日間で2本ずつ、人生を変える勝負ネタで競い合う。準決勝はまさに極上のコントライブです。かが屋、ザ・ギース、男性ブランコやロングコートダディなどの決勝経験者はもちろんのこと、演劇界からの注目も熱いダウ90000や現役大学生のトリオ・伝書鳩など、新しい風も。5分間という時間制限の中で、さまざまな笑いの形が見られます。

渋谷漫才大学〜教授・NON STYLE石田編〜
数年前からこの時期になると開催されはじめるライブシリーズ。M-1グランプリに挑む漫才師たちによる「公開ネタ見せ」ライブです。講師は歴代M-1チャンピオン。漫才を披露するのは昨年準決勝まで勝ち残ったケビンスやダンビラムーチョ、テレビ番組でも活躍を見せる9番街レトロ、「ツギクル芸人グランプリ」決勝に進出した素敵じゃないかが発表されています。今回の講師はNON STYLE石田さん。芸人の中でも有数の、「漫才を言葉で語れる人」です。導入のセリフ、マイムのつけ方、マイクとの距離、視線、動き……。彼が放つ一つひとつの指摘に、「面白い」とはどういうことか、わたしたちは漫才の何に笑わせられているのかに気づく、知的好奇心が満たされるライブです。

都トムが製作費100円1万円10万円のネタをつくるライブ
昨年ユニット結成、正式なコンビ結成は今年春。にも関わらず、早くも今年『キングオブコント』準決勝に進出を果たしたコンビ、都トム(ととむ)。『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』で『ブラタモリ』のタモリさんと案内する人、のマネを披露したりもしています。誰にも似ていない、どこから考えたのか想像もつかないコントを披露する2人。このライブでは、決まった製作費に合わせて作ったネタを披露し、その制作経緯も公開するという酔狂な試みが行われるようです。笑いが作り出される瞬間が見られそうで、期待しています。
他に、笑いが期待できる演劇も。ヨーロッパ企画「切り裂かないけど攫いはするジャック」劇団アンパサンド『地上の骨』も楽しみです。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

9月になっても暑さが続きますが、芸術の秋、観劇の秋です。

『最遊記歌劇伝-外伝-』
峰倉かずやの漫画が原作で、2008年の初演から鈴木拡樹さんが玄奘三蔵を演じている2.5次元を代表する名作『最遊記歌劇伝』シリーズの新作。今回は三蔵、孫悟空、沙悟浄、猪八戒の4人が西を目指す物語が描かれる本編から500年遡った時代が舞台で、鈴木さんがハマり役の三蔵ではなく金蝉童子をどう演じるのか注目しています。『最遊記歌劇伝』の魅力は独特な世界観。「西遊記」がモチーフなので、時代背景は昔の中国風だけど現代の流行や小物が登場したりするのも面白い。鈴木さんと悟空役の椎名鯛造さんの息の合った共演も楽しみです。

「Dr.STONE」THE STAGE~SCIENCE WORLD~
こちらも同名の人気漫画が原作。全人類が一斉に石化してしまった世界で、復活した主人公の科学少年・千空たちが科学の力でゼロから文明を作り出していくSF冒険物語。舞台上で実際に科学実験を行うなど、親子で楽しめる演劇というアプローチの作品ですが単なる子供向け舞台ではありません。千空役の木津つばささんなどキャストにインタビューをさせてもらい、稽古場で専門家に科学実験の指導を受ける様子など舞台裏の話を聞いて、どんな舞台になるのか観てみたいと思いました。

PARCO PRODUCE 2023 橋からの眺め A View from the Bridge
女優の坂井真紀さんが好きなので観たいと思ったのが『橋からの眺め』。20世紀を代表するアメリカの劇作家アーサー・ミラーの社会派ドラマで、違法移民の従兄弟家族を受け入れたことでイタリア系アメリカ人一家に巻き起こる悲劇が描かれます。近年、英国ウエストエンドでリバイバル上演されて、ローレンス・オリヴィエ賞、トニー賞などを受賞し再注目されている作品。映像のイメージが強い伊藤英明さんが13年ぶりに主演するほか、福地桃子さん、高橋克実さんなど実力派役者の座組で、演技合戦を期待しています。

井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。

ライター・古内かほの優先順位高め!

9月、ミュージカル好きにはまた忙しくなる月間が到来です!

ウィーンミュージカルを代表するミヒャエル・クンツェとシルヴェスター・リーヴァイの作品から、選りすぐりのナンバーをあつめた『M.クンツェ&S.リーヴァイの世界~3rd Season~』シアタークリエ・ミュージカルコンサートがシアタークリエで開催。第三弾となる今回も、作品にゆかりのある豪華な出演者が集結しました。『エリザベート』や『モーツァルト!』など、日本でもおなじみの人気作からどんなナンバーが聴けるのか、今から楽しみでなりません。クンツェ&リーヴァイの世界にどっぷり浸れる、贅沢な時間が過ごせそうです。

コロナ禍の始まりに初演を迎え、公演の大半が中止となり再演を望まれていたミュージカル『アナスタシア』。例にもれず私も初演を観れなかった勢なので、再演はぜひ目撃したいところ。2021年に宝塚の宙組で上演された同作を観て、楽曲の素晴らしさ、豪華な衣装や舞台装置、劇中の印象的なバレエのシーンなど、作品に魅了されて帰ったのを思い出します。葵わかなさんと木下晴香さんの瑞々しい“アーニャ”に期待!

日本初演となるミュージカル『ラグタイム』は、登場する異なる人種の人物たちが、藤田俊太郎さんの演出のもとどのように描かれるのか興味深い作品。また、“私”と“彼”が織り成す濃密な世界観に震撼させられる『スリル・ミー』は、新たなキャストによる作品の広がりに期待が高まります。オリジナルミュージカルで気になるのは、ミュージカル「アンドレ・デジール 最後の作品」。完全オリジナルなので物語についてはまだヴェールに包まれていますが、音楽を担う清塚信也さんの楽曲とともに、その全貌をぜひ劇場で見届けたいなと思います。

古内かほ
ライター。観劇の入り口は小劇場から。近年はミュージカルと宝塚歌劇団を中心に観劇しています。今年はミュージカルのZINEを制作してみたいと思っています。
X(旧:Twitter):@kahonfuu

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

芸術の秋到来!ということでイベントが目白押し。

そんな9月の私の優先順位高めは「豊岡演劇祭」です。
公募プログラムであるフリンジセレクションにy/n『カミングアウトレッスン』で参加したあとも会期の終わりまで滞在してフェスティバルを満喫してくる予定。『カミングアウトレッスン』は9月6日(水)に有楽町のYAU STUDIOで試演会もやりますので東京の方もぜひお運びください。

大注目なのは世界演劇祭で初演を終えたばかりのQ『弱法師』
豊岡公演は完売のようですが、日本初演となる高知県立美術館公演(9月9日(土)・9月10日(日))はまだチケット購入可能とのこと。
三島由紀夫の『近代能楽集』などで有名な演目を市原佐都子が過激な人形劇に翻案ということで楽しみなような怖いような。その市原が芸術監督を務める城崎国際アートセンターで滞在制作をしたアーティストたちによるKIACレジデンス・セレクション2022→23『SPA of Narratives/声と語りの浴場』も楽しみ。採択基準に【社会への応答】と【批評的創造性】を掲げるKIACのレジデンスには毎年世界中からアーティストが参加していて、今回のセレクションも現在形の舞台芸術の最先端が見られるものになるはず。参加アーティストは荒木優光、佐藤朋子、ユニ・ホン・シャープの3組。

フリンジセレクションでは演劇人コンクール2022の『マクベス』で演出家の三村聡が優秀演出家賞を受賞したバングラによる『習作・チェーホフのかもめ』に注目。今回は作家・トリゴーリンの視点から『かもめ』を再構築した作品とのことでどんな『かもめ』が見られるのか楽しみにしています。

演劇祭期間中、ホテルなどの滞在施設はすでに割と埋まってしまっているようですが、ウェブでは予約できなくてもホテルに直接電話をかけると予約できることもけっこうあるとか。城崎温泉の外湯も最高なので芸術の秋と温泉を堪能しに皆さまぜひ豊岡へ。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter): @yamakenta

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

残暑厳しき9月になりそうですが、今月はミュージカルが盛り沢山。スケジューリングに四苦八苦しつつ、新作もお待ちかねの再演も、あれやこれやと楽しみにしております。

まずは日本初演ミュージカル『ラグタイム』
ブロードウェイから四半世紀かけてようやく日本で上演されますが、石丸幹二さん×安蘭けいさん×井上芳雄さん×藤田俊太郎さん、というありそうでなかった豪華な座組み。期待が高まっております。

そして、新たなオリジナルミュージカル『アンドレ・デジール 最後の作品』
高橋亜子さん×清塚信也さん×鈴木裕美さんによる新作制作と、こちらも期待を裏切らない座組みだなと楽しみにしています。

再演作品はミュージカル『アナスタシア』Daiwa House presents ミュージカル『生きる』ミュージカル『スリル・ミー』ミュージカル『天翔ける風に』

色合いの異なる作品が並びました。 ミュージカル『アナスタシア』 は、2020年3月の不安な状況の中、奇跡的に全キャストを拝見できたのですが、気持ちが落ち着いた今観たらどんな思いになるのかなと。海宝直人さんがディミトリとグレブを役替り出演というのも楽しみ。Daiwa House presents ミュージカル『生きる』を初めで観た日のことは忘れません。日本発オリジナルミュージカルの最高峰だと思います。お待ちかねミュージカル『スリル・ミー』。3ペアの異なる沼へ覗きに行きたいと思います。ミュージカル『天翔ける風に』は、ドストエフスキーの小説『罪と罰』をもとに、野田秀樹さんが幕末の日本を舞台に描いた『贋作・罪と罰』を、謝珠栄さんがミュージカル化した名作。珠城りょうさん主演で再び出会える喜びを。

その他、アーサー・ミラー×長塚圭史 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『アメリカの時計』ZUKA IN JAZZ SONG & DANCE with NAOKO TERAI Quartet『ALL THAT ZZJA/ALL THAT ZZKA』など楽しみにしています。

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ライター・中川實穗の優先順位高め!

9月です!
まずは、ヨーロッパ企画25周年ツアー『切り裂かないけど攫いはするジャック』。公式サイトを見ると「ミステリ劇」と書かれていて、ヨーロッパ企画のミステリ劇とはどんなものなのかも含め、シンプルにとてもたのしみにしています。切り裂かないジャックがなにをどう攫うのかも、電車に乗ってるときとかにあれこれ想像していてたのしいです(笑)。25周年、おめでとうございます。

舞台『銀河鉄道の父』も期待してます。わたしは3年前の初演、今回とパンフをお手伝いさせてもらった関係で、前回のお稽古と今回のお稽古どちらも拝見したのですが、役者が違えばこんなに違うんだなととてもおもしろく、素直にワクワクしました。初演から引き続き出演される的場浩司さんによる賢治の父・政次郎がとても愛おしいです。人が叱られているシーンをこんなににこにこ見れること、なかなかないです。

昨年中止になってしまいずっと待っていたタカハ劇団『ヒトラーを画家にする話』、世界の変わり目の物語が今の自分に響きそうだし響かせたいミュージカル『ラグタイム』、3度目となる今回も市村正親さんと鹿賀丈史さんの渡辺勘治どちらも観たいDaiwa House presents ミュージカル『生きる』、30代の登場人物11人が2023年に空襲に遭う物語が生々しい劇団 東京夜光『fragment』も観に行く予定です。

そして先月も書いたシアタークリエ『SHINE SHOW!』がなにも考えずに笑えて本当に楽しかったのでオススメしたいです。9月4日(月)までシアタークリエで上演中ですよ!

中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

9月は結構忙しくなりそうです。

まずは、アンパサンドです。 劇団アンパサンド『地上の骨』 。今勢いに乗っているアンパサンドが三鷹に登場です。各方面から「面白いよね」と聞くアンパサンド。安藤さんの描く怒涛の展開は必見。みなさんもぜひぜひ。

こちらも外せないよね、なのが先月からもう始まっているシス・カンパニー公演「いつぞやは」。加藤さんの作品は内面をえぐられるような生々しさが実にいいんですよね。キャスト変更もありましたが、みなさんもぜひぜひ。

楽しみにしている未見劇団も観ます。『ダダルズ袋9月号』。こちらも各方面から面白いと聞くんです。前回観れなかったので、今回が初見。超楽しみ。みなさんもぜひぜひ。
そして、ここのところずっと観ているエトエ。『エトエのふれあい夏祭りvol.1』。ずっとクスクス笑ってしまう、エトエ滑川さんの世界を楽しみたい。みなさんもぜひぜひ。

ほか、切実に生で観たいと思っていた、”切実”が出演する『テアトロコントvo.64』、古田さん×早乙女兄弟が楽しみすぎる2023年劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星』、俳優2名とピアノ1台の珠玉のミュージカル『スリル・ミー』、初演も最高でした、東京芸術祭 2023 芸劇オータムセレクション 東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『勧進帳』、上演というかイベントだけど『画餅の市』などなどなどなど(書ききれない)。どれも優先順位高めです。

ローチケ演劇部_たの優先順位高め!

その一報を知って「むりょうはいしん!!!、????」と大きめの声が出たのが〈新国デジタルシアター〉演劇公演『骨と十字架』の無料配信。上演から4年の時を経て“ほねじゅう”が無料配信とあっては、落ち着けというほうが無理。どれだけ止めてもリピートしてもいい配信で、濃厚なお芝居をじっくり味わいたいと思います。

東京芸術祭 2023 芸劇オータムセレクション 東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『勧進帳』も、ミュージカル『スリル・ミー』も、2023年劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星』も、赤堀雅秋一人芝居『日本対俺』も楽しみ。

それからシネマ歌舞伎 野田版『桜の森の満開の下』もまた観に行きたい。
歌舞伎を観てみたいけどまずどうしたら…という方にも、各地の映画館で上映されるシネマ歌舞伎、おすすめです。

9月も楽しみな作品がたくさん。夏バテする暇なく行きたいと思います。