iaku『モモンバのくくり罠』新ビジュアル、主宰・横山拓也のオフィシャルコメント到着!

2023.09.06

横山拓也が代表を務めるiakuの2年ぶりの新作公演『モモンバのくくり罠』を11月24日(金)~12月3日(日)東京・シアタートラム、12月8日(金)~10日(日)大阪・ABCホールにて上演いたします。
山中に住居を構えたある夫婦。猟期には、くくり罠で鹿や猪を捕獲、小さな畑で野菜もつくり、出来るかぎりの自給自足生活を目指した。娘は、幼い頃から当たり前に山で暮らしてきたが、徐々にこの生活に違和感をもち、また、周囲から「モモンバ」と呼ばれる母のことも嫌で、ついには山を降りて一人で生きていくことを選んだ。
iakuの最新作は、親が形成した「家族価値」と、そこに縛られた子の生き方を見つめる物語。

 

【ごあいさつ】

本作はiakuとして2年ぶりの新作公演です。親が選択した自給自足のライフスタイルの中に育ち、知らず知らずのうちに考え方や思想まで染められてしまった娘の、自立後の生活(人生、運命)を見つめ、寄り添う現代劇です。2022年は旧統一教会の「祝福二世」の問題が取り沙汰されました。しかし、ニュースにはならない、親からの締め付けによる苦悩を抱えている人はたくさんいます。親側にも正義があり、信念があって、立場が変われば見え方や感じ方は変わります。ですが、圧倒的に受け身の環境からスタートする子の側に、ハンディキャップはあります。そういう子どもたちは、自身の過去や、親をどのように見つめることができるのか、そして自立心や自尊心を獲得するためには何が必要なのか。逆に、親はどうやって子どもの人格を認めるのか。シビアな問題ですが、ユーモアのある関西弁の会話と、謎を追いかける構成、視覚的にも楽しめる山の暮らしを描写しながら、「家族価値」と子の生き方の関係に迫るドラマを創作します。
こうやって言語化してみて、ふと、親子間のすれ違いをテーマにした作品を何度もつくっていることに気づき、不思議に感じています。親であり、子でもあった私自身が、人生の折り返しを過ぎた今、一体何にこだわっているのか、作劇を通して探し出すことが出来たらとも思っています。

横山拓也

 

【あらすじ(イントロダクション)】
いわゆるネイチャリストの女性(枝元萌)は、罠猟や農作などを行う自給自足の生活を望み、結婚を機に山中に住居を構えることを夫(永滝元太郎)に提案。夫は妻に同意するも、妻の望む生活を成り立たせるために一般企業での勤務を続けて経済的な支えとなる。そのうち、夫婦の間に娘(祷キララ)が産まれた。
娘は幼い頃は母と一緒に山での暮らしを当たり前に過ごしていたが、小学校に通いだしてから、同級生の生活との違いに疑問を感じ始め、徐々に原始的な生活を貫こうとする母に反発していく。また、山暮らしがすっかり馴染んだ母が周囲から「モモンバ」という愛称で呼ばれていることにも嫌悪感を持つ。
そんな折、仕事を理由に別宅で暮らしていた父が、いつしか別の女性(橋爪未萠里)と暮らすことになり、完全に帰ってこなくなる。同じ頃、ずっと猟の手伝いをしてくれていた地元のおじさん(緒方晋)が母と一緒にいることが多くなった。娘は両親に呆れ、山を降り、憧れの都会へ出て一人で生きていくことを選んだ。
アルバイトで生計を立てる日々だが、社会に馴染めず、生活は限界となる。また、山での鹿肉や猪肉を中心とした食生活を体が欲していることを感じ、あんなに抵抗した山での暮らしに回帰したくなる自分が悔しい。
山を降りてから3年。父が大病を患ったとの連絡が入り、一緒に母の元へ向かうことになる。一方、山では、自給自足の暮らしに憧れる男性(八頭司悠友)が訪ねてきて、母と地元のおじさん二人の生活に入り込んで居候がはじまった。他人同士で山に暮らしている3人の元へ、娘、父、父の浮気相手が現れる。