2022年7月にコロナウイルスの影響で延期となっていた高羽彩主宰タカハ劇団の公演、『ヒトラーを画家にする話』が9月28日(木)~10月1日(日)東京芸術劇場 シアターイーストにて上演される。
今作は、1908年のドイツへタイムスリップした現代の日本の美大生が、芸術家を目指す若かりし頃のアドルフ・ヒトラーと出会うストーリー。ヒトラーを画家にして過去を変えるべきか否か葛藤する学生の姿を描き、世間における芸術の価値や、才能の有無の残酷さを抉り出す痛快な社会派劇となる。
キャストには、舞台『昼下がりの思春期たちは漂う狼のようだ』(作・演出:蓬莱竜太)での好演が記憶に新しい名村辰、映画『法廷遊戯』(監督:深川栄洋)や数々のドラマ、CMに出演中の芳村宗治郎、ミュージカル『ダーウィン・ヤング』(潤色・演出:末満健一)で主演を務めた渡邉蒼、NHK連続テレビ小説「らんまん」に出演中の犬飼直紀、「王様戦隊キングオージャー」や話題のドラマに多数出演中の川野快晴、舞台『ラビット・ホール』(演出:藤田俊太郎)出演の山崎光、TikTokで人気を博し、女優・インフルエンサーとして幅広く活動する重松文といった注目の若手俳優に加え、異儀田夏葉、砂田桃子、結城洋平、柿丸美智恵、金子清文、有馬自由と昨年出演予定だった実力派が全員続投する。
2021年『美談殺人』より取り組んでいる視覚・聴覚に対応する鑑賞サポートは今回も継続する。舞台上手話通訳のほか、字幕タブレットの貸し出し、事前舞台説明会などを予定している。
また、25歳以下、高校生以下向けの割引チケットを販売し若年層の観劇の機会を後押しする。
高羽彩 コメント
2022年の7月、『ヒトラーを画家にする話』は関係者にコロナ陽性者が確認されたことを理由に開幕直前に全公演中止となりました。整然と立つ空っぽの舞台美術。人類滅亡後の遺跡を見るような、不思議な美しさを感じたのを覚えています。
あれから一年。世界は変わらず激流の只中にあります。主人公たちがタイムスリップした時代はまさに第一次大戦前夜ともいえる時期なのですが、劇中の空気と現在に不気味な符合を感じることも。だからこそ、歴史を変えようと奮闘する主人公たちの物語に共感していただけるのではないでしょうか。
出演者たちにとっては実りある一年だったようで、表現者として大いに成長した姿に毎日目を見張っております。
一年前にはできなかったことを今でこそ。
贅沢な熟成期間を経た作品を、是非劇場でお楽しみください。
あらすじ
進路に悩む美大生、僚太、朝利、板垣。
三人はひょんなことから、1908年のウィーンにタイムスリップしてしまう。
そこで彼らが出会ったのは、ウィーン美術アカデミーの受験を控えた青年、アドルフ・ヒトラー。
彼らは未来を変えるため、ヒトラーの受験をサポートすることに。
けれどヒトラーにはまったく絵の才能がなくて――
果たして三人は、ヒトラーを独裁者でなく画家にすることができるのか?!
人類の未来をかけた絵画レッスンが始まる。
タカハ劇団とは
高羽彩が脚本・演出・主宰をつとめるプロデュースユニット。2005年、早稲田大学にて旗揚げし、大学内外より高い評価を得る。日常に普遍的に存在しているちいさな絶望や、どんな壮絶な状況でも変わることのない人間の些細なあり方、生き方を笑い飛ばしながらすくい取る、リリカルでクールな作風が特徴。
※山崎光の「崎」の字は、(タツサキ)が正式表記