11月3日よりシアタークリエにて上演されている『ビロクシー・ブルース』。喜劇作家ニール・サイモンの自伝的戯曲だ。本作は1985年ブロードウェイにて初演され、トニー賞最優秀作品賞受賞や1988年マシュー・ブロデリックを主人公において映画化など、長い間多くの人々から愛された青春グラフィティである。
演出を小山ゆうな、主演に濱田龍臣におき、宮崎秋人、松田凌、鳥越裕貴、新納慎也といった、人気も実力も兼ね備えたキャストを揃えて開幕した。
今回は主要キャスト5名がゲネプロ囲み取材へ登壇した模様とゲネプロ写真をお届けする。
自己紹介と役柄の紹介をお願いいたします。
濱田
主人公ユージン・モーリス・ジェローム役を演じさせていただきます。濱田龍臣です。
ユージンは、自分の事を回顧録に記しているというところで、彼がノートを開く、そして振り返っていくところから始まっていきます。そんな中で作品全体がユージンの主観で広がっていくような凄く知的な、でもどこか可愛らしいようなキャラクターになります。よろしくお願いします。
宮崎 アーノルド・エプスタイン役の宮崎秋人です。エプスタインは訓練兵の一人なんですけど、みんなのワイルドから外れているような青年で、ユージンの理解者なのか、何なのか、ユージン側からどう見えているのかよく分からない男の子だなと思いながら未だにやっておりますけども、人のために動いているのか、自分のために動いているのか、それも見る側からしたらどうなのかはっきりしない青年でつかみどころのない男の子だなと思います。
松田 ドナルド・カーニーという役を演じさせていただきます。松田凌と申します。僕が演じるカーニーという役は優柔不断な男です。皆様のお近くにもいると思います。「なんでそんなことで悩むんだ、食べ物1つとってもどこまで悩むんだ」と。そういう男の子なんですけど、ほんとにこの作中でも恋に悩み、自分の将来に悩み、でもこの戦時中に生きている男の子して、とてもビビットに生きている。この群像の中でどのようにカーニーが生きているのかは1つ成長過程も見れたりするのかな、と思いますので優柔不断な男がこの仲間たちと、この出会いによって何か決断出来ているのではないかと思う、今日この頃です…(笑)
一同(笑)
松田 こんなところで僕の役紹介は締めさせていただきたいなって思うんですけど…
鳥越 はよ終われよ(笑)
松田(笑) ちょっと優柔不断なとこと出したいなって(笑)
鳥越 ロイス・セルリッジ役、鳥越裕貴です。セルリッジは年代にふさわしい、素直なアホの子です。クラスで一人いればいいなと僕は思っています。そんな役どころです。ありがとうございます。
松田 まんまやん。
鳥越 まんまやん?…いいキャスティングですね。ありがとうございます。(笑)
新納 僕はトゥーミー軍曹です。長いバージョンはマーウィン・J・トゥーミー軍曹、をやります新納です。トゥーミー軍曹は、いわゆる「鬼軍曹」です。本編を観ていただくと分かると思うのですが、このコンプライアンスが叫ばれているこの世の中で、コンプライアンス無視のことをやっていますが、僕としてはちゃんとそこに、礼儀、作法を持ってパワハラをしています。お楽しみに。
ニール・サイモン戯曲ですが長台詞なども相当にあると思うのですが、会話の応酬などをするにあたり感じたことはありますか?
新納 ニール・サイモンを本当にしばきたくなるぐらい、長台詞のオンパレードで…(笑)
だけど通しで見ると意外と出番少ないんだなって思ったんですけど、出てくるととにかく喋る。ただね、これは役者のエゴなのですが、長台詞が多い役で、知り合いとかが観に来て「よく覚えたね~」って感想を言われるのが1番恥ずかしいんですね。だからそれを言われないように一生懸命稽古していたんですけど、通し稽古を何回か重ねていくうちに、色んな方々から「そんなにいっぱい喋っているように見えないよ」って言っていただいたんですけど、僕としては「え、こんなに一生懸命覚えたのに?」っていう…(笑)
一同 (笑)
新納 でも役者としてはそれを願っていたんですけど、でも一生懸命頑張って覚えたんです。というジレンマの今日を迎えております。よろしくお願いします。
濱田 テンポ感とかは凄い探ったな、とは思います。最初は読み合わせのところから稽古が始まってて、その頃から比べると、動きがあるにしてもすごく会話のテンポが上がったなっていうのは感じてて。それはやっぱり、この言葉の持っているパワーや表現力がすごくあるからこそ、このテンポ感になったんだなと通し稽古を始めて感じられます。「あぁここか」みたいなものをところどころ見つけられたなとは思いました。
松田 …そうですね、やってみて…どうですか
鳥越 なんや、ないんかい!これで終わってたやろ(笑)
新納 この俺の目線から僕は軍曹で、みんなは若い役なんです。でも実際実はそんなにみんな若くないんです。実年齢はね?(笑)
実際そんなに若くないな、という稽古スタートだったんですけど、通し稽古を重ねるにつれて、会話のテンポで若さが何とか出てきて、上手いことごまかせていると思います。
宮崎 実年齢近いのたっつん(濱田)ぐらいだもんね
濱田 そうですね、でも僕も18~20っていう設定の中で、ユージンが一番若いだろう18歳とすると、5歳違うので。ギリギリ小学校被るぐらいなんですよね、と思うと凄いなって思いますね
鳥越 俺ら‥どんだけよ(笑)
濱田 確かに(笑)
鳥越 確かにって言わないで(笑)ありがと(笑)
松田 役割ははっきりしているかもしれないですね。各々が魅力を出すことよって、ニール・サイモンさんが生んでくれた作品が立体化してくという事を稽古の中で感じていました。より初日が楽しみだなと僕個人として思っています。
宮崎 冒頭のシーンで新納さんが出てきてばぁーっと喋るシーンとか、稽古中に印象的だったのが、トゥーミーが喋っている時の僕らのリアクションをお客さんが観ているから「(トゥーミーは)なんてコスパが悪い役なんだ」と…
新納 そうなんだよ、こっち(濱田ら)のが面白いんだもんね、お客さんはこっちに目がいって(自分は)BGMでしょ?すごく悲しいです。
宮崎 お客さんは僕らを観ているんで…
新納 全部かっさらってやる!
一同 (笑)
今回小山ゆうなさん演出という事で、稽古場でかけられた言葉や印象的なエピソードがあれば教えてください
新納 小山さんは同級生で同じ歳なんですけど、僕の目から見ると「あぁ、こういう演劇少女いたな」っていう、そのまま大人になられたような方で。
きっと本当に演劇を愛していて、ニール・サイモンも何本かやっていらっしゃるのでとても台本の読みも深く、演出なのか、感想なのか分からないときがある。「これってこういう意味よね」ってそれは採用した方がいいのか、感想を言われただけなのか…そんなチャーミングな一面を持った方です。
濱田 僕、稽古場あんまり覚えていないんですよね。もう遠い昔のような気がします。1か月ぐらいの稽古だったんだと思うと、1か月やった気もするしやってない気もするみたいな、不思議な感覚で。
劇場入ってからも小山さんとは細かいところまで結構いろいろお話はさせていただいて、その時その時で吸収はしているんですけど、今までになく必死もがいている自分なので、何を言われたかまでは覚えてないです。
でも今日とかも「ここ、こうだったね」とかお話はさせていただいているので、ありがたい限りだなと思います。
ゲネプロ写真をお届け!
「ビロクシー・ブルース」は11月19日(日)まで東京・シアタークリエにて上演される。
第2次世界大戦下の少年たちの様子がユーモアと少しの苦さを交えてありありと表現される本作品は要チェックだ。