日中平和友好条約締結40周年記念公演『風をおこした男 -田漢伝』合同取材会レポート

2018.09.06

左:金成佳(田漢役) 右:田沁きん(演出家)

10/6(土)・10/7(日)に世田谷パブリックシアターで上演される日中平和友好条約締結40周年記念公演『風をおこした男 -田漢伝』の合同取材会が行われた。

 

日中平和条約締結40周年を記念して上演となる本作は、中国国歌の作詞や、映画や戯曲などを数多く残し、中国文化に多大な功績を遺した田漢(でんかん)の生涯を描く作品である。

作・演出は“中国演劇界の国宝”ともいわれている田沁きん(でん しんきん ※きんは金が三つの漢字)が手掛け、映画やドラマで主演を重ねる人気俳優、金成佳が本作の主役を務める。

取材会では作品にかける思いや田漢の生涯について、そして舞台上で実際に8台ものカメラを回し、舞台上に投影していくという新しい表現の手法について語られた。

▼日中平和友好条約締結40周年記念公演『風をおこした男 -田漢伝』トレーラー

【コメント】

―黄昌勇(上海戯劇学院学長)

この作品は、5つもの劇中劇を含めている、大変新しい手法をとっている演劇です。上海など中国での上演時には若い観客に特に大きな支持を受けましたが、この新しさがその理由ではないかと思います。芸術と科学(技術)の融合の面で挑戦をし、成功している作品であり、舞台の上で映像を作るという新しい試みにおいて大変美しい構成となっております。日本の観客の皆さんにも歓迎されて、評価をいただければ嬉しく思います。―田沁きん(演出家)

この作品に、金成佳さんという優れた俳優さんに出演していただいて、さらに田漢さんの留学していたこの日本で上演されるということを大変光栄に思っております。
日本の演劇の美しさに心奪われて、演劇について「東京の雨の夜に花が咲いています。」という言葉を残している田漢さん。彼は常に文化の風を起こそうと努めていた人でした。
日中の平和条約締結40周年の今年にこの作品を上演できることは大変嬉しく思います。
また、本公演では、舞台美術で挑戦をしています。現場で即時に撮影をして、編集をして、即時に投影して上映している。これにより、観客は役者の美しい表情などを見ることができます。最新科学で実現した、半映画化された演劇なのです。観客は舞台の上において、同時に複数のスクリーンを見ることができ、さらに舞台全体も見ることができます。とても新しい挑戦です。―金成佳(田漢役)

田漢を演じることができて嬉しく思っています。この作品は、中国での上演時には、特に若い世代から共感を得ることができました。
この演劇は田漢さんの生涯を描いたものです。田漢さんの生涯というと、中国の歴史の中ではすごく大変だった時期。すごく激しい時期で、その激しさを表していると思います。
田漢を演じるにあたり、色々と学んで感じることが多かったですが、特に学んだのは誠実さ。彼は「誠実がすべての悪を消せる」という言葉を残しています。
今の中国はすごく発展が早いですが、そうはいっても若い人にとっても先人にとっても、人間としての道理は同じだと思います。この作品を通じて、若い人たちが田漢さんを通して誠実さなどといった精神力を学び取ると思いますし、今の中国の若い人にはまさにこの精神力が必要だと思います。
本公演では、舞台だけでなく、カメラの前で演じることにも専念する必要があり、私にとっても大きな挑戦になりました。このような演劇は日本の観客にとっても新しいものであろうと思います。私自身も10月の公演をすごく楽しみにしております。現在、出演する役者は日本語を勉強しており、舞台の4分の1ぐらいを日本語で表現できるよう演出を行っているという。

最新の技術を取り入れながら、激しく誠実な田漢の生涯を描いた本作。

10/6(土)・10/7(日)に世田谷パブリックシアターにて、中国語上演・日本語字幕で上演される。

取材・文・写真/ローチケ演劇部員