iaku『モモンバのくくり罠』|舞台写真&開幕コメント到着!

2023.11.25

舞台写真 撮影:木村洋一

11月24日(金)、東京・シアタートラムでiaku『モモンバのくくり罠』が開幕した。
iakuとして2年ぶりの新作公演は、親が形成した「家族価値」と、そこに縛られた子の生き方を見つめる物語。

山中に住居を構えたある夫婦。猟期には、くくり罠で鹿や猪を捕獲、小さな畑で野菜もつくり、出来るかぎりの自給自足生活を目指した。娘は、幼い頃から当たり前に山で暮らしてきたが、徐々にこの生活に違和感をもち、また、周囲から「モモンバ」と呼ばれる母のことも嫌で、ついには山を降りて一人で生きていくことを選んだ。

親子間のすれ違いをテーマに、ユーモアのある関西弁の会話と、謎を追いかける構成、視覚的にも楽しめる山の暮らしを描写しながら、「家族価値」と子の生き方の関係に迫る。東京公演は12月3日(日)まで。その後、大阪公演を12月8日(金)~10日(日)までABCホールで上演する。

このたび、東京公演での初日を迎えた本作より舞台写真とiaku主宰の横山拓也から初日コメントが到着した。

 

作・演出 横山拓也 コメント

新作を発表するときはいつも不安ばかりがチラつくものですが、今回、久しぶりに稽古場の段階で自分が心から愛せる作品になりました。そして初日を迎え、自分が「観たい!」と思える演劇作品に仕上がりました。
自給自足の山暮らしという、ときどきテレビのドキュメンタリーなどで見かける家族の未来を想像して書きました。「くくり罠」という狩猟、命をいただくこと、家族の価値観、大人になるとは、普通の暮らしとは…様々な要素がいろんな角度から語られます。自分自身が育ってきた環境に抗ってみても、それはどうしようもなく人生につきまとい、逃げても逃げても追いかけてきて、包み込んできたり、しがみついてきたり、もうどうしたらいいかわからなくなるときがあると思います。家族によって培われた価値観について葛藤する登場人物たちの議論に、客席から一緒に参加するような体験をしてもらえたらと思います。

 

舞台写真 撮影:木村洋一

舞台写真 撮影:木村洋一

【あらすじ(イントロダクション)】

いわゆるネイチャリストの女性(枝元萌)は、罠猟や農作などを行う自給自足の生活を望み、結婚を機に山中に住居を構えることを夫(永滝元太郎)に提案。夫は妻に同意するも、妻の望む生活を成り立たせるために一般企業での勤務を続けて経済的な支えとなる。そのうち、夫婦の間に娘(祷キララ)が産まれた。
娘は幼い頃は母と一緒に山での暮らしを当たり前に過ごしていたが、小学校に通いだしてから、同級生の生活との違いに疑問を感じ始め、徐々に原始的な生活を貫こうとする母に反発していく。また、山暮らしがすっかり馴染んだ母が周囲から「モモンバ」という愛称で呼ばれていることにも嫌悪感を持つ。
そんな折、仕事を理由に別宅で暮らしていた父が、いつしか別の女性(橋爪未萠里)と暮らすことになり、完全に帰ってこなくなる。同じ頃、ずっと猟の手伝いをしてくれていた地元のおじさん(緒方晋)が母と一緒にいることが多くなった。娘は両親に呆れ、山を降り、憧れの都会へ出て一人で生きていくことを選んだ。
アルバイトで生計を立てる日々だが、社会に馴染めず、生活は限界となる。また、山での鹿肉や猪肉を中心とした食生活を体が欲していることを感じ、あんなに抵抗した山での暮らしに回帰したくなる自分が悔しい。
山を降りてから3年。父が大病を患ったとの連絡が入り、一緒に母の元へ向かうことになる。一方、山では、自給自足の暮らしに憧れる男性(八頭司悠友)が訪ねてきて、母と地元のおじさん二人の生活に入り込んで居候がはじまった。他人同士で山に暮らしている3人の元へ、娘、父、父の浮気相手が現れる。