新国立劇場2023/2024シーズン『デカローグ 1~10』出演者&公演詳細発表!

2023.12.05

「トリコロール三部作」『ふたりのベロニカ』で知られるポーランド出身の世界的映画監督クシシュトフ・キェシロフスキ。彼が遺した、20世紀の傑作『デカローグ』が、東京・新国立劇場にて完全舞台化。その作品の詳細と出演者が発表された!

ポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキが発表した『デカローグ』。本作は、旧約聖書の十戒をモチーフに1980年代のポーランド、ワルシャワのとある団地を舞台にした、そこに住む人々の普遍的な愛と人間の弱さを描いた、十篇の連作集だ。もともとテレビ放映用ミニ・シリーズとして1987-1988年にかけて撮影されたこの作品は、テレビ放映前に「デカローグ5」と「デカローグ6」を劇場公開バージョンに編集し『殺人に関する短いフィルム』『愛に関する短いフィルム』として1988年に発表、カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞するなど国際的に高い評価を受けた。その後、テレビシリーズも1989年ヴェネチア国際映画祭で上映、後に世界で劇場公開された。
そして2024年、スタンリー・キューブリック、エドワード・ヤン、侯孝賢など世界中の映画作家が賞賛の声を贈った、この十篇の物語が完全舞台化される。

十篇の物語は、オムニバス形式のそれぞれが独立した1時間前後の作品。別々の作品でありながら、緩やかにリンクし、実はひそかなつながりを持っているという隠された楽しみも見つけることができる。

上演台本を、ロイヤルコート劇場との共同プロジェクト、劇作家ワークショップ発の作品『私の一ケ月』(2022年)の作家、須貝英が担当。演出には、新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子、そして上演時間計7時間半の『エンジェルス・イン・アメリカ』二部作(2023年)の演出を手掛けたことも記憶に新しい、上村聡史の二人があたる。

新国立劇場の2023/2024シーズンラインアップ発表で、公演期間約4か月というこの大規模プロジェクトが発表されてから、大きな注目を集めてきた本作だが、ついに出演者をはじめとする公演詳細が発表となった。

全10話を大きく3つのタームに分け、4~5月は「デカローグ1~4」を、5~6月は「デカローグ5~6」を、そして6~7月は「デカローグ7~10」を上演。原作同様に、観る順序は自由。総勢40名以上のキャストと共に、前例のない大きな挑戦となる本公演に期待が高まる。

チケットに関する詳細は、決まり次第ローチケ(webサイト)内でお知らせいたします。

公演概要

【日程・会場】2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝) 東京・新国立劇場 小劇場

【各プログラム公演期間】
・デカローグ1~4(プログラムA&B 交互上演):2024年4月13日(土)~5月6日(月・休)
・デカローグ5~6(プログラムC):2024年5月18日(土)~6月2日(日)
・デカローグ7~10(プログラムD&E 交互上演):2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)

プログラム詳細

デカローグ1~4(プログラムA&B交互上演) 
公演日程:2024年4月13日(土)~5月6日(月・休)

【プログラムA(デカローグ1、デカローグ3)】

<デカローグ1>「ある運命に関する物語」
大学教授の父と、世の中で起きることを数学で解いていく息子。彼らを待ち受ける過酷な運命。
大学の言語学の教授で無神論者の父クシシュトフは、12歳になる息子パヴェウと二人暮らしをしており、信心深い叔母イレナが父子を気にかけていた。パヴェウは父からの手ほどきでPCを使った数々のプログラム実験を重ねていたが……。

演出:小川絵梨子
出演:ノゾエ征爾 高橋惠子
チョウヨンホ 森川由樹 鈴木勝大 浅野令子
亀田佳明

<デカローグ3>「あるクリスマス・イヴに関する物語」
クリスマス・イヴを家族と祝う男の家を突然訪ねてくる元恋人の頼みとは?
クリスマス・イヴ。妻子とともにイヴを過ごすべく、タクシー運転手のヤヌシュが帰宅する。子供たちの為にサンタクロース役を演じたりと仲睦まじい家族の時間を過ごすが、その夜遅くヤヌシュの自宅に元恋人の女性エヴァが現れ、ヤヌシュに失踪した夫を一緒に探してほしいと訴える……。

演出:小川絵梨子
出演:千葉哲也 小島 聖
浅野令子 鈴木勝大 チョウヨンホ 森川由樹
亀田佳明

【プログラムB(デカローグ2、デカローグ4)】

<デカローグ2>「ある選択に関する物語」

一人暮らしの医師と、愛人の子供を身籠った女性バイオリニストの対話と選択。
交響楽団のバイオリニストである30代の女性ドロタと彼女と同じアパートに住む老医師の二人。ドロタは重い病を患って入院している夫アンジェイの余命を至急知りたいと医師を訪ねる。ドロタは愛人との間にできた子を妊娠していた……。

演出:上村聡史
出演:前田亜季 益岡 徹
坂本慶介 近藤 隼 松田佳央理
亀田佳明

<デカローグ4>「ある父と娘に関する物語」

父と幸せに暮らす娘。ある日、娘は父が自分に宛てた手紙を見つける。
快活で魅力的な演劇学校の生徒アンカは、父ミハウと二人暮らし。母はアンカが生まれた時に亡くなった。父娘は友達同士の様に仲睦まじく生活していたが、ある日アンカは「死後開封のこと」と父の筆跡で書かれた封筒を見つける。その中身を見たアンカがとった行動とは…..。

演出:上村聡史
出演:近藤芳正 夏子
松田佳央理 坂本慶介 近藤 隼
亀田佳明

■デカローグ5~6(プログラムC)
公演日程:2024年5月18日(土)~6月2日(日)

【プログラムC(デカローグ5、デカローグ6)】

<デカローグ5>「ある殺人に関する物語」

タクシー運転手を殺害した青年と、若い弁護士。死刑判決を受けた青年を救えなかった弁護士の悲嘆。
街中でたまたま、傲慢で好色な中年の運転手のタクシーに乗り込んだ20歳の青年ヤツェクは、人気のない野原で運転手の首を絞め、命乞いする彼を撲殺する。殺人により法廷で有罪判決を受けたヤツェクの弁護を担当したのは、新米弁護士のピョトルだった……。

演出:小川絵梨子
出演:福崎那由他 渋谷謙人 寺十 吾
斉藤直樹 内田健介 名越志保 田中 亨 
亀田佳明

<デカローグ6>「ある愛に関する物語」

向かいのアパートに住む魅力的な女性の部屋を望遠鏡で覗く青年の何も求めない愛とは?
友人の母親と暮らす19歳の孤児トメクは、地元の郵便局に勤めている。彼は向かいに住む30代の魅力的な女性マグダの生活を日々望遠鏡で覗き見ていた。マグダと鉢合わせしたトメクは、彼女に愛を告白するが、自分に何を求めているのかとマグダに問われてもトメクは答えられない。その後デートをした二人、マグダはトメクを部屋に招き入れるが……。

演出:上村聡史
出演:仙名彩世 田中 亨
寺十 吾 名越志保 斉藤直樹 内田健介
亀田佳明

■デカローグ7~10(プログラムD&E交互上演)
公演日程:2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)

【プログラムD(デカローグ7、デカローグ8)】

<デカローグ7>「ある告白に関する物語」
国語教師と女子高生の娘の間に生まれた子供を密かに自分の子供として育ててきた母親の真実。
両親と同居している22歳のマイカは、最終学期中に大学を退学。彼女は6歳の妹アニヤを連れてカナダに逃れたいと考えていた。実はアニヤはマイカが16歳の時に生んだ子供で父親はマイカが通っていた学校の国語教師ヴォイテクであった……。

演出:上村聡史
出演:吉田美月喜 章平 津田真澄
大滝 寛 田中穂先 堀元宗一朗 笹野美由紀 伊海実紗
亀田佳明

<デカローグ8>「ある過去に関する物語」

倫理学を教える大学教授とその聴講生。聴講生の質問は教授の隠された過去を暴いていく。
スポーツ好きの女性大学教授ゾフィアの勤務先の大学に、ゾフィアの著作の英訳者である女性大学教員エルジュピタが来訪する。ゾフィアの倫理学講義を聴講した彼女は、議論する為の倫理的問題提起の題材として第二次大戦中にユダヤ人の少女に起こった実話を語り始めるが、その内容は二人の過去に言及したものであった……。

演出:上村聡史
出演:高田聖子 岡本 玲 大滝 寛
田中穂先 章平 堀元宗一朗 笹野美由紀 伊海実紗
亀田佳明

【プログラムE(デカローグ9、デカローグ10)】

<デカローグ9>「ある孤独に関する物語」

性的不能と宣告された夫は妻に事実を告げる。夫を励ます妻だが実は妻には既に若い恋人がいた。
40歳の外科医ロマンは、同業の友人から性的不能になったと診断され、若い妻であるハンカと別れるべきではないかとほのめかされる。夫婦は診断結果を話し合い、お互いに別れる気はないことを確認するが、実はハンカは若い大学生マリウシュと浮気をしていた……。

演出:小川絵梨子
出演:伊達 暁 万里紗 宮崎秋人
笠井日向 鈴木将一朗 松本 亮 石母田史朗
亀田佳明

<デカローグ10>「ある希望に関する物語」

父の死により久しぶりに再会した兄弟は、父の遺品によって予期せぬ事件に巻き込まれていく。
パンクロックグループのリーダーである弟のアルトゥルは、コンサート会場にやってきた兄イェジーから、疎遠になっていた父親が亡くなったことを告げられる。父のフラットを訪れた兄弟は、彼が膨大な切手コレクションを残していたことを知る。父親のコレクションに計り知れない価値があることを知った兄弟は次第にコレクションへの執着を募らせ、偏執的になっていく……。

演出:小川絵梨子
出演:竪山隼太 石母田史朗
鈴木将一朗 松本 亮 伊達 暁 宮崎秋人 笠井日向
亀田佳明