2021 年イギリスでの初演から瞬く間に世界の演劇界を席巻した エンダ・ウォルシュの最新作を待望の日本初演!

2023.12.26

(撮影:阪野貴也)

 

病院らしき施設のなかの部屋。
パジャマ姿のジョン・ケインが入ってくる。
そしてまもなく、ドラム奏者、
メアリーという名前のふたりの女性、
老人と巨大ロブスターがやって来る…

 

2021 年イギリスでの初演から瞬く間に演劇界を席巻した
エンダ・ウォルシュの最新作を待望の日本初演!

これまでも舞台『バリーターク』や『アーリントン』の作劇、映画「ONCE ダブリンの街角で」舞台版でのトニー賞ミュージカル脚本賞受賞や、デヴィッド・ボウイの遺作のミュージカル『ラザルス』の脚本執筆などで、日本でも注目されてきたアイルランド生まれの劇作家・脚本家のエンダ・ウォルシュ。
そのエンダ・ウォルシュによる最新作『メディスン』は、2021 年 8 月にエディンバラ国際フェスティバルで初演、9 月にはゴルウェイ国際アーツフェスティバルで上演されると、11 月にはニューヨークでも上演。イギリスの新聞各紙に絶賛のレビューが掲載され、瞬く間に演劇界を席巻した。
そして 2024 年、『Medicine メディスン』がついに日本初演を迎えます。演出はこれまでも『バリーターク』『アーリントン』〔ラブ・ストーリー〕を手掛けた白井晃。出演には、田中圭 奈緒 富山えり子 と魅力的なキャストが揃った。出演者は3人の俳優と、1 人のドラム演奏者のみ。シアタートラムで繰り広げられるユーモアと不安が混在する世界に期待が高まる。

 

演出家・出演者よりコメント

【演出】 白井晃 コメント
エンダ・ウォルシュの作品と出会うのは 3 回目になる。いつもその戯曲は謎に満ちていて、ひと筋縄ではこちらの理解を許してくれない。一見普通に見える部屋は、実は人々の記憶を呼び起こし、内面を照らし出す装置でもある。登場人物は常に、社会からの疎外にさらされていて孤独だ。でもそれは特殊なことではなくて、私たちみんなが抱え持っている孤独だ。だから我々はいつもその登場人物に共振してしまう。人の人生はどう生きたかではなく、自らどう物語るかだ、そんな作者の声が聞こえてくる。この少々捻じ曲がったエンダの世界をじっくり味わってもらえるよう、出演者の皆さんと創作に励みたいと思っている。

 

田中圭 コメント
時代と共に変わりゆく世の中で、変わらない普遍的なものもありますよね。
その普遍的なものを肌で感じ、体感できるひとつが舞台だと思います。
今回久々に白井さんと、そして俳優 3 人、ドラム演奏者 1 人での舞台。
この作品にどっぷりとつかってみたいと思います。
メディスン。不思議な作品で、難しいです。
ただ、今のこの複雑な時代を生きている僕らに何か救いとなるような、刺激となるようなお薬があったらいいな。という思いで挑戦します!!
小さな空間で、激しい作品にしたいと思いますので是非楽しみにしていてください!

 

奈緒 コメント
部屋には男が 1 人、同じ名前の女が 2 人とドラマーが 1 人。難解な本に静かな興奮をおぼえました。そして、あの日 KAAT 神奈川芸術劇場で『バリーターク』を観た時の感動を思い出していました。エンダ・ウォルシュの世界に白井晃さんと、心から信頼する先輩方と共に没頭できることにとても幸せを感じています。ポスター撮りの日「白井さんの稽古は大変だよ」と笑う圭さんがとても楽しそうだったので、どんな大変で楽しいお稽古が始まるのか…今から待ち遠しいです。

 

富山えり子 コメント
大変なことになりました。いつかは…と思っていたシアタートラムで、いつかは…と思っていた白井晃さんと、いつかまた…と思っていた田中圭さんと奈緒さんと、そして打楽器をかじった私にとって気になりすぎる荒井康太さんと、作品創りができるなんて夢のようです。稽古はそれはもう濃密なものとなるでしょう。今から喜びと畏れで震えています。興味深いエンダ・ウォルシュさんの戯曲のもと、スタッフ、共演者の皆さんと、そしてお客さまと、どんなエネルギー、空気、空間、時間が創り出せるのか、今から緊張しながらも、とても楽しみです。よろしくお願い致します。

 

エンダ・ウォルシュ について

「僕の戯曲はどれも、愛されなかったり、ちゃんと見守られなかった人たちを書いてきた。」― エンダ・ウォルシュ

1967年アイルランド・ダブリン生まれの劇作家、脚本家のエンダ・ウォルシュ。『Disco Pigs』をきっかけに注目され、現在エンダ・ウォルシュの作品はアイルランドやイギリスはもとより、20を越える言語に翻訳されるなど世界的に上演されている。近年ではニューヨークでも活躍し、映画「ONCE ダブリンの街角で」のミュージカル版の脚本でトニー賞最優秀脚本賞を受賞。またデヴィッド・ボウイの音楽によるミュージカル『ラザルス』の脚本も執筆し、さらにその名を広めた。2018年3月には、イギリスの作家マックス・ポーターのデビュー小説「Grief is the Thing with Feathers」の舞台版で脚本と演出を手がけ、コンプリシテの制作により、アイルランドのダブリンで初演。翌2019年3月にはイギリスのバービカン・センター、同年4~5月にはニューヨークのセント・アンズ・ウェアハウスで再演。また、オペラの脚本・演出家としても活躍している。

 

『Medicine メディスン』 について

エンダ・ウォルシュによる最新作『メディスン』は、2021 年 8 月にエディンバラ国際フェスティバルで初演、9月には ゴルウェイ国際アーツフェスティバルで上演されると、11 月にはニューヨークでも上演。イギリスの新聞各紙に絶賛のレビューが掲載され、瞬く間に演劇界を席巻した。
演出はエンダ・ウォルシュ。ジョン・ケイン役をアイルランドの俳優、ドーナル・グリーソン(「ハリー・ポッター」「エクス・マキナ」「スター・ウォーズ」)が演じた。
エンダ・ウォルシュは『メディスン』を書くにあたって、アイルランドの精神病院で患者とみなされた人たちがどう扱われて来たかを読んだこと、そして老人ホームへ移った自身の母親とアルツハイマー病を見て、大きな影響を受けたという。
「僕の戯曲はどれも、愛されなかったり、ちゃんと見守られなかった人たちを書いてきた。この劇は、施設やホームにいたり中毒者だったり、見守られることが必要な人たちについての物語、そして私たちが彼らを見放したらどうなるかを描いている」とエンダ・ウォルシュは初演時のインタビューで語っている。