舞台『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』|花總まり インタビュー

奇妙な事件に遭遇し、花總まりが縮んでいく!?
人気傑作小説の世界初の舞台化に挑戦!

ある日、銀行強盗に遭遇した被害者13人は「最も思い入れのある物を差し出せ」と言われ、それぞれ思い出の品を奪われる。すると強盗は「あなたたちの魂の51%をいただいた。今から奇妙な出来事が起きる。自ら魂を回復させなければ命を落とすことになるだろう」と宣言し消えてしまう。被害者の一人であるステイシーは夫と幼い我が子のもとに帰るが数日後、自分の身長が縮み始めたことに気づく……。カナダの作家であるアンドリュー・カウフマンの同名小説を、脚本家・演出家のG2が演出し世界初の舞台化に挑戦する。この舞台で“縮んでいく妻”を演じるのは、花總まり。稽古開始はまだ先とはいえ、まずは原作小説を読んだとのこと。

「読んでみると本当にとても不思議なお話で、最初に思ったのは一体これを舞台でどうやるんだろう?ということでした。まだ稽古前の今の段階では、頭の中は謎でいっぱいのままです(笑)。だけど私としてはこれまでミュージカル作品への出演が多く、今後はストレートプレイにもどんどんチャレンジしたいと思っていたところでしたので、とにかくものすごく面白そう、ぜひやってみたい!という気持ちになりました」

G2とのタッグは『NO WORDS,NO TIME~空に落ちた涙~』(2012年)以来となる。

「久しぶりにG2さんとご一緒できることも嬉しくて。前回はまったくセリフのない作品でしたから、お芝居のお稽古という意味ではこれが初めての感覚に近いんです。果たしてどういう感じで演出されるのかということも、私にとって楽しみのひとつです」

さらに夫役を演じる谷原章介とは、これが初共演となる。

「つい先程、一緒にスチール撮影をさせていただいたところなんですが。もともとすごく優しそうだと思っていましたけど、イメージ通りの方でした。あと、声がとっても素敵でした!私たちが演じる二人はいろいろと紆余曲折があった夫婦なので、もちろんすれ違うところもあれば、心が通い合う瞬間もあるはず。きっと谷原さんとなら、この二人の間に流れる空気感の中に温度も深さも出せるお芝居を作っていけそうな気がします」

物語で登場人物たちは各自大切な物を強盗に奪われてしまうが、では花總にとっての“大切な品物”とは……?

「私が長いこと大事に使い続けているものといえば、赤い小さなキーボード。音程を確認するためにいつも使っているのですが、宝塚歌劇団時代に上級生からいただいたものなので、もう20年以上使っています。まさに愛着も思い出もある、汗と涙が染み込んだ貴重な品です(笑)」

次々と起こる不可思議な出来事の数々、どんどん縮む妻の姿に夫はどう反応するのか、果たして被害者たちの運命は……?それぞれ何を比喩しているのか、何に置き換えられるかを想像するのも楽しそうだ。

「これは知る人ぞ知る傑作ファンタジー小説ではありますけど、おそらく演劇の可能性をものすごく広げてくれる作品になると思うんですよ。きっとその分、演じる側は大変なことになりそうですが(笑)。なんとかお客様を唸らせて『はあー、素晴らしかった!』と言ってもらえるように、頑張りたいと思っています。ぜひとも劇場で、ナマで舞台の面白さを体感してみてください!」

インタビュー&文/田中里津子

※構成/月刊ローチケ編集部 1月15日号より転載

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【プロフィール】

花總まり
■ハナフサ マリ
宝塚歌劇団雪組トップ娘役、宙組トップ娘役として活躍。退団後はミュージカルを中心にテレビドラマ、CMなどにも出演。