2024年4月から7月の約3カ月にわたって東京・新国立劇場で、計10篇のストーリーを3部作に分けて上演するという前代未聞の舞台『デカローグ1~10』。巨匠クシシュトフ・キェシロフスキが手がけた同名映画を舞台化したもので、旧約聖書の十戒をモチーフに 1980 年代のポーランド、ワルシャワのとある団地に住む人々を描いた十篇の連作集だ。作中では人間を裁き断罪するのではなく、人間を不完全な存在として認め、その迷いや弱さを含めて向き合うことが描かれている。
本プロジェクトで完全舞台化するにあたり、スペシャル座談会が実施された。座談会に参加したのは、各5編ずつ演出を担当する上村聡史と小川絵梨子、そして映画監督の石川慶の3名。
「世界の名だたる監督が『デカローグ』特別な作品だと評しているが、これは『デカローグ』のどんなところがそう言わせているのだと思うか」という話では
石川 映画の全てが詰まっている作品です。もっと言うと人間すべてが詰まった作品。
映画ってよく「キャラクターが大事」とか「テーマが大事」とか言いますけど、それよりもっと大きなものを扱っているのが『デカローグ』です。団地という小さい社会で描かれる作品ですが、見ている視点は地球全体からのような、とても大きなところから首根っこ掴まれて「ここから見てみなさい」とされるような気分を見る度に味わいます。
映画や舞台を作る人にとって『デカローグ』は憧れで理想の作品です。
また「舞台化したい」という想いはあったかという質問について演出の上村、小川は
小川 見た時は素晴らしい映像作品だと思っていましたが、10数年たって日本で作品を作る際にどこかで『デカローグ』が頭の片隅にありました。
『デカローグ』は1つずつ独立した話ではありますが、10話で1つの神話です。ですのでもし舞台化するなら10話全てやらないと意味がないと思っていました。
ただ10話を連続で上演するのは、プロデューサーも役者さんもスタッフのみなさんも凄く大変なので、普通出来ないのですが…なんと今回ここでやってくださるという事で演出をさせていただくことになりました。
上村 二つ返事で「やります」と答えました。
もちろん『デカローグ』を舞台化するにあたって、映像で非常に評価高い作品ですので、舞台芸術ならではの表現方法には苦労するのだと思います。
ですが、演出のお話をいただいた時に、脚本も見させていただいたのですが“この人物関係でこのセリフならいけるな“という確信があったので、そこで引き受けさせていただきました。
とこの壮大なプロジェクトの演出を引き受ける時の想いなどを口にした。
この巨匠キェシロフスキが遺した、20世紀の傑作『デカローグ』。全10話を大きく3つのブロックに分け、4~5月は『デカローグ1~4』を、5~6月は『デカローグ5・6』を、そして6~7月は『デカローグ7~10』を上演する。
そして全10篇の物語は、オムニバス形式のそれぞれが独立した1時間前後の作品で、別々の作品でありながら、緩やかにリンクし、実はひそかなつながりを持っているという隠された楽しみも見つけられるのだという。
この前代未聞のプロジェクト、『デカローグ1~10』のチケット情報を要チェックだ。