PARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』|牧島 輝 インタビュー

『ハムレット』の原型とも言われる
“Q1”版で、牧島 輝が初のシェイクスピアに挑戦!

誰もが知るシェイクスピアの名作『ハムレット』に“Q1”と呼ばれるバージョンがあること、それが現行の戯曲“F1”の約半分のボリュームであること(1623年刊行のF1は約3550行、1603年刊行のQ1は2150行)を知っていた人は、そう多くないはずだ。

その“Q1”版の『ハムレット』に挑むことになったのは、2021年に同じくシェイクスピア作の『ジュリアス・シーザー』で初タッグを果たした吉田 羊と演出家の森 新太郎。今回は主人公のハムレットを吉田が演じるほか、飯豊まりえ、大鶴佐助、広岡由里子、吉田栄作ら新鮮味溢れる面々が顔を揃えるが、その中でハムレットの親友のホレイショー役に抜擢されたのが牧島 輝だ。
「シェイクスピア作品に取り組むのはこれが初めて」と目を輝かせ、この新たなチャレンジに早くもワクワクしている様子。

「以前、ワークショップでテキストを読んだことはあったのですが、当時は正直あまり深いところまで理解が至らなくて。何百年も前の海外の戯曲ですし翻訳された台詞も詩的だったから、なんとなく自分の中で勝手に難しく考えてしまっていたんです。シェイクスピアはお客様にとって馴染み深い作品が多いですし、その中でも特に『ハムレット』は有名な作品ですからハードルは自然と高くなりそう。だけど今回は“Q1”版だということで、ある意味助けられることも多いんじゃないかと感じていて。というのも“Q1”は、ふだん上演されているものと比較するとかなり上演時間が短く、凝縮されたものになりますから、それだけで同じ演目でも違った印象になると思うんです。それに短く表現されることで、きっと大事な部分はどこなのかが明確になるはずですから。より、伝わりやすくなるのではないでしょうか」

また吉田 羊をはじめキャスト陣とは初共演、森 新太郎ともこれが初顔合わせとなり、牧島にとっては初めて尽くし、挑戦だらけの舞台となる。

「吉田 羊さんは映像で一方的に拝見させていただく限りでは、とてもカッコイイ大人の女性だなというイメージです。通常はホレイショーやレアティーズは、ハムレットと同年代の方が扮することが多そうですが、でも今回は吉田さんがどういうハムレットを演じられるかまだわかりませんし、稽古で実際に皆さんの声を聞いてみないことには想像しきれない部分もたくさんあります。そもそも僕自身、まだ人間としても俳優としても未熟ですから。ちゃんと、吉田さん演じるハムレットの親友としての立ち居振る舞いができるようにならなければいけないなと覚悟しているところです。森さんとは面識はあるものの、この作品に関して話したことはまだなくて。稽古がとても厳しいという噂は聞いていますが、それと同時に誰よりも作品にかける想いが強い方だということも伝わっていますので、僕もなんとか負けないようにしっかり向き合っていきたいなと思っています」

ファンからも「いつか、ぜひシェイクスピア作品に出てほしい」と手紙をもらっていたという牧島。まさに今回は千載一遇のチャンスをつかんだとも言えそうだ。

「この素敵なキャストの方々、素晴らしい演出家とご一緒できることは自分にとって絶対にいい経験になりますし、何度も観客として通っていたPARCO劇場に初めて立てることも本当に嬉しいです。必ずいい形でホレイショーを演じられるよう、精一杯頑張ります!」

インタビュー&文/田中里津子

※構成/月刊ローチケ編集部 3月15日号より転載

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【プロフィール】

牧島 輝
■マキシマ ヒカル
舞台、映画、ドラマと幅広く活躍。近作は舞台「キングダム」、舞台「セトウツミ」、舞台「ドクター皆川~手術成功5秒前」など。