“今月の”優先順位高めです【2024年4月号】

2024.04.01

4月です。桜前線は関東を通過し北上しています。4月といえば年度の区切りですね。新しい環境になる方もいらっしゃるかと思います。そして新しい出会いですね。
劇場でも新たな出会いができますように、「優先順位高めです」ご参考にしていただければ幸いです。よろしくどうぞ。

俳優・片桐美穂の優先順位高め!

最近、春の匂いがして、心がツンとしました。4月だ!
伝えたい気持ちがはやるので、早速参ります!

ニッポン放送開局70周年記念公演『鴨川ホルモー、ワンスモア』
初っ端から自分の出演作で恐れ入ります!でも、関わってなかったとしても、私だったら1番観に行きたい公演だと思うので、書かせていただきます。
直木賞受賞が記憶に新しい万城目学さんが、17年前に書かれたデビュー作「鴨川ホルモー」を、ヨーロッパ企画の上田誠さん脚本・演出で、ワンスモアします!
京都大学「青竜会」という謎のサークルで、「ホルモー」なる謎の競技をやることになった主人公達…。恋に喧嘩にホルモーに。青春は、何でこんなにも恥ずかしいんだ。
18人の圧倒的大人数で送る、青春群像コメディです。
私は、京大3回生の先輩、「大江」役にて出演いたします!小説には登場していないオリジナルキャラクターです!
劇場でお待ちしております!

シス・カンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』
キャスト陣えぐくないですか?大好きな藤井隆さんが別役実の紡ぐ言葉達を話してるとか、想像しただけで最高です。そして、活躍目覚ましい加藤拓也さん演出。これは観たいですよ。

ミュージカル『王様と私』
北村一輝さん初のミュージカル出演。あの鋭い眼光、客席まで飛んできそう!観たい。

少しずつ暖かくなってきて、劇場での上着の処理とか楽になってくる季節ですね。
身軽に日常に「観劇」という彩りを。4月も楽しい観劇ライフを送りましょう!

片桐美穂
役者。ブルーノ・マーズ、藤井風、バレエ、猫をこよなく愛する29歳。
次回出演▶ニッポン放送開局70周年記念公演『鴨川ホルモー、ワンスモア』(原作:万城目学 脚本・演出:上田誠(ヨーロッパ企画))
東京公演:4/12(金)~4/29(月・祝)・大阪公演:5/3(金・祝)~5/4(土・祝)
X:@____obese
Instagram:@katagiri_miho

俳優・田代明の優先順位高め!

こんにちは、たしろあかりです。
すっかりあったかくなってきましたね!
…と、書いている3月後半の今は気温8度なのですが、すっかりあったかくなってきてますでしょうか。
あったかくなってきて、ますよね!
あったかくなってきて、観たくなる作品、いきましょう!

ミュージカル『VIOLET』
2024年版の最初のチラシは、演出の藤田俊太郎さんがこの公演の為にアメリカ南部へ1人旅をした際に撮影した“川”の写真なんだそう。「川の対岸側や先に行くことで、新たな価値観を手に入れる。旅や人生を続けていくという通過儀礼が、一つのメタファーとしてこの作品の中に随所に入っている」、とインタビュー記事にて語られています。
幼い頃に顔に傷を負い、25歳まで人目を避けて暮らしてきたヴァイオレットは、あらゆる傷を癒す奇跡のテレビ伝道師に会う為、長距離バスの旅に出る事を決意します。旅の途中で出会う人々の多様な価値観に触れながら、成長していくヴァイオレットは、旅の最後に何を視るのか。彼女の成長と、人生という名の旅を描くの物語。

ミュージカル『王様と私』
2015年に渡辺謙さんが王様役でトニー賞リバイバル作品賞なども受賞し、クラシカルな良さだけではなく、新たな風も吹き込まれている今作。王様役には北村一輝さん、家庭教師として異国の地に来たアンナを明日海りおさんが演じます。
また、私は小林香さんの演出作品を観る時、いつも心から「綺麗だ」と感じます。そして、優しさも感じます。特に柔らかい作品でなくとも。そんな小林香さんの演出が、私はとっても大好きです。
リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン二世の長年愛される代表作が、2024年の日本でどのように上演されるのかとても楽しみです。

Bunkamura Production 2024『ハザカイキ』
演出家、劇作家、映画監督の三浦大輔さんの3年ぶりの新作舞台。芸能界を舞台に、マスコミとタレントという特殊な関係の中、時代の価値観の変容に踊らされる人々を描きます。
私がお芝居を始めて2年目くらいの頃に、三浦大輔さんのワークショップに参加したのですが、役者と役者の間で生まれるその場の空気をとにかく崩さず、リアルに、繊細に、大切にする事を学びました。と書くと、そんな平たく表現するなと各所から言われそうですが…お芝居始めたての私にとってあのワークショップはとても貴重な経験で、自分の芝居に対する価値観が変わったのは確実にあのワークショップだったなとよく思い出します。
主演は、アーティストとしてはもちろん、俳優としても多方面で活躍する丸山隆平さん。他にも魅力的なキャストの皆様が名を連ねる今作から目が離せません。

今月も観に行きたい作品がいっぱいです!
劇場に咲き誇る演劇の花を、新年度の爽やかな気分を胸に観にいきましょう。

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。5/3(金・祝)〜5/5(日・祝)ミュージカルユニットWAO「かえるのロッキンチェア」7/24(水)〜8/31(土)ミュージカル「ピーター・パン」出演予定。
X(旧:Twitter):@akkarindays

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

春分を過ぎて、暖かい麗らかな日も多くなってきて、勢いよくぐんっっと、いろいろなものことの芽吹きを肌で感じています。新年度のスタートに、すでにとってもわくわくしている私なのですが、みなさんの日々もわくわく満載でありますようにと願っております…。
それでは、麗らか4月の高め作品を、つづらせていただきます。

▶︎シス・カンパニー公演「カラカラ天気と五人の紳士」
ーーある日、ある所に、「棺桶」を担いでやって来た五人の紳士たち。どうやら、五人のうちのひとりが懸賞のハズレくじでもらった景品らしい。せっかくの景品を役立てるためには、仲間の一人が死んで棺桶の中に入らねば、と、五人の議論が始まった。
さらりととんでもないことを述べるあらすじの冒頭で、すでに私の心は掴まれ、別役実さんの戯曲を劇団た組の加藤拓也さんが演出、そして錚々たる出演者の方が揃い踏み…。楽しみじゃないわけがないです!東京はすでにチケットが…、当日券に期待もしつつ、思い切って春の旅行気分で遠征もたのしそうです!

▶︎ニッポン放送開局70周年記念公演『鴨川ホルモー、ワンスモア』
京都で生まれ、大学時代も京都で過ごされていたヨーロッパ企画の上田誠さんが、鴨川ホルモーを原作に、脚本・演出されるというだけでワクワクいたします!魅力的な俳優さんたちももちろんのこと、大好きな男性ブランコさんとかもめんたるさんが出演されるとあって、優先順位はばくあがりです!角田さんと浦井さんが双子役!?もうどうなっちゃうんでしょう……

▶︎M&Oplays プロデュース『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』
昨年2023年に、音楽劇「浅草キッド」で拝見した林遣都さんが素晴らしすぎて、今も心に焼きついています。今回のお役は「招かれた屋敷にて、帰り方を忘れて滞在し続ける男」と…。お似合いすぎます…。そして、藤間爽子さんはじめ、他の出演者の方々が魅力的すぎますこと。非日常の世界にどっぷり没入できそう…と、勝手に想像を膨らませながら、楽しみにしています!

▶︎テアトロコントspecial 惚てってるズ「惚てはじめ」
金子大地さん、前原瑞樹さん、三村和敬さんによる旗揚げ公演です!ユニット名「惚てってるズ」も大好きですし、タイトルの「惚てはじめ」も大変好みで、宣伝ビジュアルもかわいいです!脚本・演出には、画餅/テニスコートの神谷さん、桃尻犬の野田さん、映画監督の近藤さん、、と、にやにやが止まらんです。

▶︎劇団papercraft第10回公演『空夢』
papercraftの主宰であり、作・演出の海路さんはお人柄が柔和ですてきで、勝手ながら陰ながら恐縮ながら、いつも応援しています。久しぶりに都合がつきそうで、新作観られること、とっても楽しみです!
さてさて、新生活をはじめる方もたくさんでしょうか。はじめて演劇を観るぞ!なんて方もいますかね…。
心身ご自愛しつつ、それぞれ好みの作品に出逢えますように…

佐久間麻由
俳優・企画制作者。 劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。 次回出演作品:スリーピルバーグス第2回〝今度も野外〟公演『タイトル未定』作・演出:福原充則 2024年晩夏
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
後程も書きますが、最近は劇団の新作公演の稽古に励んでおりまして、うぉーってなったり、ぐぁーってなったり、楽しい日々を過ごしております。
てなてなことで、4月の優先順位高めな作品はこちら!!

こまばアゴラ劇場サヨナラ公演 青年団第99回公演『S高原から』
何度もアゴラで上演されてきた、平田オリザさんの傑作が、サヨナラ公演として上演されるこちらの公演。高原のサナトリウムで行き交う人々の会話を通して、ゆったり流れる時間と会話と共に生き死にもすーっと流れていく、そんな作品です。個人的に終盤のとある好きな場面があって、最後のアゴラであの一生続くんじゃないか、って思うゆったりとした時間と空間を楽しみたいな、って思います。

動物自殺倶楽部第三回公演『夜会行』
鵺的で2021年に上演したものを、今回演出に小崎愛美理さんを迎えての、実質再演である本作。初演時にフライヤーを拝見していて、それがすっごく素敵で、その時は観に行けなかったけど、ずっと気になっていた作品でして、コメントをみるとダイレクトに影響を受けたコロナ渦を経て、どう今描くのかが見所のひとつとのことです。久々の舞台出演の木下愛華さんもいらっしゃるので、ぜひぜひ!

劇団papercraft第10回公演『空夢』
ということで改めてまして、こちら自分が主宰、作・演出を務める劇団papercraftの新作公演になります。「同級生が一人多かったから一人減らさないといけない街の男女の話」となってまして、劇団papercraftらしい作品になってるかと思います。小栗基裕さん、坂ノ上茜さんをはじめ、猫のホテルの村上航さんや入手杏奈さんなど魅力的なメンバーが揃っていますので、ぜひぜひ!

あとは、美術を松井るみさんが務め、別役戯曲に加藤拓也さんが挑むシス・カンパニー公演「カラカラ天気と五人の紳士」も、要チェックです!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

2024年もあっという間に3ヶ月が経ち新年度がはじまりますね。
今年度はこちらの記事を任せていただいたこともあり、たくさん演劇をみてたくさん勉強しようという気持ちです。
観たいものはたくさんありますが、まずは私がやってる「エトエ」の公演に向けて頑張ります!
ベスト盤みたいな公演を4月早々にやりますので是非よろしくお願いいたします!

エトエ第8回公演「もうグレイテスト・ヒッツ!」
自分のことで大変恐縮ですがこの場を借りておすすめさせていただきます。
短めのコント8本少し長めの1本やります。ベタもあればだいぶナンセンスもあって、きっとどれかは楽しんでもらえるのではと思ってます。是非是非よろしくお願い致します。過去いち大きな劇場でやります。

ウンゲツィーファ演劇集 ふたりぼっちの星「動く物」「旅の支度」
随分前に一度観劇したっきりなかなか観れていないけどすごく気になっている劇団さん。いい評判がいつも入ってくるのでこちらもとても観たい。『動く物』は平成29年度北海道戯曲賞の大賞作品だそうです。公演場所が神保町のPARAというのもなんだか興味をそそります。

テアトロコントspecial 惚てってるズ「惚てはじめ」
また一つ楽しそうな団体が誕生したようで、ユーロライブで旗揚げ公演をやるとのこと。テニスコートの神谷さん、桃尻犬の野田さんや前原瑞樹さんなどの名前がワクワクさせます。旗揚げからユーロライブで6回も公演するなんて素敵です。とても優先順位高めです。

CHAiroiPLIN おどる落語「らくだ」
まだ観たことない団体さんですが、一方的に私が好きなオクイシュージさんが出るとのことで優先順位高めになりました。落語の「らくだ」をダンスで表現するらしいですがどんな表現になるのか。最近めっきりダンス公演は観に行ってないですが、たまに観ると身体表現は生で観るに限りるなといつも思います。

MCR「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪には触るな)」
こちらも最近ご無沙汰だったMCR。この優先順位高めの記事を任せてもらったことをきっかけに過去に観劇して面白かった劇団を改めて今見直す機会にもしていきたいと思ってるので、観にいきます。変わらず今でも面白いんだろうな。

フム「健脚」
こちらも旗揚げ公演。中野坂上デーモンズの松森モヘーさん作演出で気になっています。「死を覚悟とした二人のぎゃるの超精神的珍道中」だそうです。時々とても変なものが観たくなります。変なものを観せてくれそうだなと勝手に期待しています。
他にも観たいものはたくさんあるのですがまずは自分の公演を成功させるべく頑張ります。

エトエ第8回公演「もうグレイテスト・ヒッツ!」をどうぞ皆様よろしくお願いいたします。

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
自称武蔵野市代表コントユニット「エトエ」主宰。
次回公演:「もうグレイテスト・ヒッツ!」@武蔵野芸能小劇場
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/

脚本家/演出家・ 萩田頌豊与の優先順位高め!

あっという間に4月でございます。
4月は1日から始まりますが、4月1日はエイプリルフールですが、良く出演していただいてるナカゴー高畑遊様の誕生日でもございます。
誕生日は生まれた日と書いて誕生日ですが、生まれた日ほど物珍しい日もございません。大切な1日皆様にもありますか?
そして4月といえば新学期、ついに4年生だった子供たちが、5年生になります。次に進みます。5年生だった子が4年生になることはないですからね。
でもたまには、後戻りしたって良いじゃない?そう思います。
以下、お勧めお芝居です。ローソンチケット演劇部、東京にこにこちゃん萩田頌豊与が4月のお勧め芝居を紹介します。

劇団武蔵野ハンバーグ『その心笑ってるね』
ナンセンスギャグ満載のコメディで、疾走するコメディ劇団。
今回のフライヤーも良い。めちゃくちゃハイペースで公演を重ねてて凄い!良いことです!
今気づいたんですが、主宰の高橋さんって脚本の時の名義が高橋一八で役者の時は高橋左右両打席なんですね。
どうしてなのだろう?

コンプソンズ大宮企画#2「映画のパロディ」
コンプソンズ所属、大宮二郎のユニット大宮企画の新作公演です。
大宮二郎は面白い男です。コンプソンズを褒めたくはないのですが、役者様が皆、個々が強いのが良いですね。
出る役者も皆さん最高です。最高だな。会うと、最高だなって声かける人ばかりです。皆、舞台の上でここぞとばかりに輝いてます。
これは観に行った方がいいです。お勧め!

エリィジャパン『音楽劇『大正元禄ロックンロールジャパン』』
パワフルでいてとてもキュートな作風の劇団の新作が駅前劇場で大暴れ。
一昨年のミュージカル映画『オジキタザワ』が最高でした。
フライヤーもスタイリッシュで最高に面白そう。

B子『アフターヒメコ』
毎月活動する演劇ソロユニット。
最早狂気すらうっすら感じますが、絶対に良いことです。
毎回その覚悟の重さを感じてます。今回も1日限定公演なのでお見逃しなく。

最終公演 = PeachBOOWYs LAST GIGS =『ピーチボーイズ~新性器エヴァンと下痢男~』
最終公演ということで13年の幕が閉じます。
パロディ下ネタオンパレードでの劇団いなくて最高だったので残念です。
あの感覚は他では味わえません。絶対見届けてください。お勧めです!

神威少女パンク。下北沢襲来公演『サーカスではない何か、だがサーカスに似たそれ』
ごめんなさい。毎度のことですが、観たことないのですが、面白そうだなと思ったので書いちゃいました。
タイトルとパッケージで面白そう!っと判断しました。これ以上は書けないです。
観に行ってみてください。

アガリスクエンターテイメント第31回公演『なかなか失われない30年』
タイトル激エモです。アガリスクさんって言うか、冨坂さんって毎回脚本ぶれなくて凄いですよね。
絶対コメディ好きだし紳士的に向き合う姿勢好きです。今回も最高だと思います。

ろりえ『ろりえの復讐』
今作は青春復讐劇ということで、映画に恨みを持つ女の子の復讐劇だそうです。面白そう。
青春と復讐がどう絡み合うのか、でも確かに青春って復讐するために存在してますもんね。
とても楽しみにしております。

以上!
次は5月!もう今年も折り返し!皆さんが次見る夢が幸せな夢でありますように!
そしたら!じゃあ!終わり!
ローソン演劇部部員 東京にこにこちゃん萩田頌豊与でした!

※高畑遊の「高」は「はしごだか」が正式表記

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

早くも4月!今月も見逃せない舞台がありますよ。おススメの2.5次元作品から紹介します。

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇
2.5次元という言葉が生まれる前から続く草分け的作品のミュージカル『薄桜鬼』シリーズ12作目。「真改」としての初めての土方歳三 篇で土方を演じるのは久保田秀敏さん。2021年からの土方役は久保田さん自身思い入れの深い役。作品を重ねるごとに存在感を増し磨きがかかっていて、今作のために昨年から体も鍛えているそうなので、さらに強靭な副長が観られそうです。殺陣×ダンス×歌で新選組を表現する「薄ミュ」はキュンキュンして泣ける感動作で、2.5次元初心者にも見やすいと思います。

MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~WINTER 2024~
イケメン役者育成ゲーム『A3!』を原作とした舞台、MANKAI STAGE『A3!』シリーズの新作です。今作の主人公は冬組の6人のキャラクター。この舞台の魅力はなんといっても役者役を演じるキャストが演じる劇中劇で、一回で3作品を観られたようなお得感があるんですよね。冬組の御影 蜜 役の植田圭輔さんの卒業公演でもあるので、ぜひ観たいと思っています。

演出家で期待が高まる2作品もあります。

Bunkamura Production 2024『ハザカイキ』
多くの俳優が仕事をしたいと熱望する演出家であり、映画監督であり、劇作家である鬼才・三浦大輔氏の3年ぶりの新作舞台。芸能界を舞台にどんな衝撃作を観せてくれるのかワクワクします。2016年の松坂桃李さん主演舞台『娼年』は衝撃的でしたが引き込まれました。それ以来、観たいと思いつつ見逃してきたので、今作こそはと思っています。主演は三浦氏と初タッグの丸山隆平さん。

ミュージカル『VIOLET』
国内外で活躍する演出家・藤田俊太郎氏の渾身作の再演。2019年に英国キャスト版を英国で上演。2020年の日本キャスト版はコロナ禍で3日間の限定上演となって、私も観ることができなかったので、うれしい再演です。1964年のアメリカ南部を舞台に、幼少の頃に不慮の事故で顔に大きな傷を負った女性が、大人になってその傷を癒してもらうために長距離バスの旅に出る物語。ヒロインのヴァイオレット役は三浦透子さんと屋比久知奈さんの魅力的なWキャストで、両方観てみたいです。

井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。

ライター・河野桃子の優先順位高め!

それぞれ独立した家族3部作のうち、『La Mère 母』と『Le Fils 息子』といううしろ2部を上演。2019年に橋爪功さんが第1部の『Le Père 父』がとても良くて、その演技と演出はその年のナンバーワン舞台だと思いました!2021年には『Le Fils 息子』を岡本圭人さんと岡本健一さんという実の親子が、親子役を演じたことでも話題になりました。今回、同じキャストでの再演と、待望の…と言っていいでしょう、3作目の『La Mère 母』も日本版が製作されます。残念ながら父は上演されませんが、映画版(『ファーザー』アンソニー・ホプキンス主演)も大好評でしたのでそちらをご覧になってからでも!

現代的な新作に力を入れるOrchardシリーズ K-BALLET Opto『シンデレラの家』In association with PwC Japanグループは、今回は詩人の最果タヒさん原案。ヤングケアラーをテーマに今の時代のシンデレラを描きます。すでに詩はネットで読めます(これがもう良い…!でもこれをどうやってバレエに…?!)し、青柳いづみさんによる朗読も期間限定配信されていますのでぜひ。

月末には静岡で「ふじのくに⇄せかい演劇祭2024」も始まります。今月は、石神夏希さん演出の、間食付きツアーパフォーマンス『かちかち山の台所』で歩いてみるのはいかがでしょう。

小劇場からは、一色洋平×小沢道成『漸近線、重なれ』presented by EPOCH MAN
。一色洋平さんと小沢道成さんという緻密でパワフルなふたりの俳優によるひさびさのタッグが楽しみです。

そして、動物自殺倶楽部第三回公演『夜会行』。レズビアン4人を中心としたある一夜。2021年のコロナ禍初演では、マスク着用やレズビアンの描写について「いま、この時の、丁寧で優しい描かれ方だ」という感想を持ちましたが、3年経ってどう改訂されるのか、いま2024年に観てどうなのか気になります。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

ダウ90000のコントライブ『30000』に行ってきました。とんでもないな!と思うコントがありました。ある家族の人生が描き出されているような一篇。こうした出会いこそがライブを観る楽しみです。

メンバー単独ライブ「Member’s Recital〜メンバーがキーボードで漫才をやるライブ〜」 
広島を拠点に、歌ネタに特化した漫才をやっているコンビ、メンバー。「しりとり」「Ah!」「テレビ」など、どのネタも一度聞いたらしばらく頭を離れなくなる中毒性の高いものです。昨年はオーケストラを従え生演奏によるライブを行ったことでも話題を呼びました(このライブは公式YouTubeにアップされているのでぜひ観てみていただきたいです。バカバカしいことを壮大にやる面白さが詰まっています)。4月に開催される単独ライブ、今度は本人たちがキーボードで演奏をして漫才をやるのだそう。独自の道を歩み続ける彼らの公演、注目したいと思います。
 
溜口スーパーSPRINGショー 
ラブレターズの溜口佑太朗さんが歌や踊り、コントなどを繰り広げる「溜口スーパーディナーショー」シリーズ。初期に「溜口さんがディナーを食べるところを観る」時間があったことがディナーショーと銘打たれていた由来。2017年にスタートしたこのシリーズ、私は毎回駆けつけるほどのファンです。作・演出・主演を溜口さんが担うお芝居の時間がたまらなく好きなのです。ふだんコンビでは「ネタを書かないほう」である溜口さんが描き出す、笑いと人情溢れる大衆演劇。巧拙を超えたところにある、ここにしかない魅力が確実にあります。
 
ニッポン放送開局70周年記念公演 『鴨川ホルモー、ワンスモア』
先日、『八月の御所グラウンド』で直木賞を受賞した万城目学さん。その受賞の報せを一緒に待つほど仲のいい上田誠さんが、万城目さんの代表作『鴨川ホルモー』とその外伝的続編『ホルモー六景』を舞台化。ニッポン放送主催✕上田誠演出シリーズ、今回で第4弾なのですが、私はどれもかなり好きで、とくに昨年の『たぶんこれ銀河鉄道の夜』でのかもめんたる・岩崎う大さんがすばらしかったんですよね。上田さんは、もしかしたらいまもっとも芸人さんを演出するのが上手な演出家かもしれません。今回も男性ブランコとかもめんたるの2組がキャストに並びますが、ヨーロッパ企画の角田貴志さん&男性ブランコ浦井のりひろさんの、そっくりな二人が双子役をやるという1点だけでも。もう楽しみでなりません。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

新たな出会いの4月。私も新しい仕事をはじめました。新しい舞台とも出会っていきたいものです。

今月の優先順位高め!1本目は東京芸術劇場で上演する『La Mère 母』。フランスの劇作家フロリアン・ゼレールによる家族三部作の一作目にして唯一日本で上演されていなかった作品がいよいよ登場となれば見逃すわけにはいかない。ちなみに、家族三部作のうち今回同時上演される『Le Fils 息子』は『The Son/息子』のタイトルで、今回は上演のない『Le Père 父』は『ファーザー』のタイトルで映画化され配信もされている。合わせてチェックするとより楽しめそう(ただしどちらもなかなかしんどい内容ではある)。

2本目はオータムプロダクションズ『processing and tuning』。ダンサーの仁田晶凱が振付を、いぬのせなか座の山本浩貴がテキストを担当し、ジャグラーの目黒陽介が仁田とともに出演する本作ではものと言葉、相手と自分のあいだでの身体の調整と動きの処理が探求されていくようだ。言葉とそれを書き/読む人との関係を考えるサブテクスト(と呼ぶにはあまりに大著だが)として出たばかりの山本浩貴『新たな距離——言語表現を酷使する(ための)レイアウト』も読んでおきたい(果たして公演までに読みきれるのか……)。

3本目はプロジェクト・ユングラ《Living Room / Living Sound》@水性。こちらはFMラジオの音声をイヤホンで聴きながら観賞する音楽/ダンス作品。記録・記憶した音と行為の重なりとずれから「現在」を揺るがすような作品とのことで『processing and tuning』と合わせて観ると1ヶ月のうちに自分の身体への感覚が大きく書き換わる予感。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

4月はキリがよくって、気持ちの切り替えがしやすいですね。今月から本気出すって方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
さてそんな4月のわたしの優先順位高めです、です。
 
一色洋平×小沢道成『漸近線、重なれ』Presented by EPOCH MAN。前作「我ら宇宙の塵」の評価も高かった小沢さんのEPOCH MANですが、今回は、別の方の脚本で一色さんとの二人芝居。前作でシアターTOPSのステージをLEDで埋め尽くした小沢さんが今度はどんな形で驚かせてくれるのか楽しみです。
 
続きまして、エトエ第8回公演「もうグレイテスト・ヒッツ!」。ついにね、ローチケでもチケットを販売させていただいております。個人的には、滑川さんの創る作品は、大爆笑というよりかは、クスクスニヤニヤが止まらないって感じなんです。大きな劇場での公演ですし、とても楽しみです。
 
これも外せないってのが、コンプソンズ大宮企画#2「映画のパロディ」。コンプソンズ大宮さんの作品は、オムニバスでやった「イン・ザ・ナイトプール」のやつと、オルギア視聴覚でみたくらいなんですが、どちらも私好みで、とても面白かったんですよね。そしてタイトルが「映画のパロディ」でしょ。絶対おもしろいやつやんか。楽しみです。
 
最後に、テアトロコントspecial THE ROB CARLTON’S「LOW-KEYED PLAY」。関西の劇団で、4月22日(月)平日1回のみの公演ですが、絶対観たい。前回『Meilleure Soiréeメイユール・ソワレ』公演時、「観れるなら観た方がいい!」って勧められたんですが、その時別現場に入っていてどうしても観れなかったのを悔いてまして。そのリベンジを果たそうと思います。
 
ダウ90000『30000』は売りそびれ公演(失礼!)の争奪戦にも敗れ、日々リセールをチェックして無理そうだなと思っていたのですが、なんとか1枚ゲットできましたので行ってまいります。