PARCO PRODUCE 2024『オーランド』宮沢りえ オフィシャルインタビュー


宮沢りえ オフィシャルインタビュー解禁!!
初参加となる栗山演出作品について語る!!

2024年7月よりPARCO劇場にてPARCO PRODUCE 2024舞台『オーランド』を上演いたします。埼玉、東京を皮切りに、8月には愛知、兵庫、福岡と巡演いたします。この度、主演の宮沢りえの特別インタビューが実施されました!

20世紀モダニズム文学の重鎮で最も有名な女流作家のひとりであるヴァージニア・ウルフの代表作『オーランド』。主人公オーランドが、時代も国境もジェンダーも飛び越えて、数奇な運命に立ち向かい、真実の「私」を探求する物語は、世界中で愛される人気作です。映画「オルランド」(1992年)でも知られる本作『オーランド』を、演出家・栗山民也の原案、詩人・岩切正一郎の翻案で舞台化、現代に甦らせます。あらゆる女性を虜にする美貌の青年貴族・オーランド役には、宮沢りえ。2012年朗読『宮沢賢治が伝えること』以来、栗山と本格的に初タッグを組みます。オーランドが各時代で巡り合う共演者には、ウエンツ瑛士、河内大和、谷田歩、山崎一。個性豊かな実力派キャスト達が年代や性別の異なる複数の人物を演じ分けます。


16世紀のイングランドに生を受けた青年貴族オーランドは、
エリザベス女王をはじめ、あらゆる女性を虜にする美貌の持ち主。
しかし初めて恋に落ちたロシアの美しい姫には手ひどくフラれてしまい、
ルーマニアの皇女からは力づくの恋を仕掛けられ、傷心のオーランドはトルコに渡る。
その地で30歳を迎えた彼は、なんと一夜にして艶やかな女性 に変身する!

オーランドは18世紀、19世紀と、激動の時代を超えて生き続け、数々の運命の人々に出会い、自らを見つめ続けます。取材では今回初参加となる「栗山民也の演出について」や、「オーランドの役柄について」、そして「演劇とは何か」などボリュームたっぷりのインタビューとなりました。

 

宮沢りえ オフィシャルインタビュー

――栗山民也さんの演出作品には、初めてのご出演となります。

尊敬している栗山さんと初めてご一緒できること、そして、栗山さんから『オーランド』という作品をご提案いただいたことが嬉しくて、怖さもあったけれど、ここに飛び込んでみようと思いました。栗山さん演出の作品はいくつも拝見していますが、舞台の空間、光、人物のミザンス(配置)と動きなど、そのトータルによって芸術作品を立ち上げていらっしゃることに、いつも感動します。役者仲間で栗山さんの舞台に出演されている皆さんが「また一緒にやりたい」とよく仰っているので、栗山さんの演出は一度経験すると虜になるのでしょうね。ですから今回、この100年近く前に書かれた物語をどのように表現されるのか、また、私たち役者をどのように演出してくださるのかを、とても楽しみにしています。


――ヴァージニア・ウルフの小説を岩切正一郎さんが翻案された今回の台本はいかがでしたか。

16世紀から20世紀までの約350年を生き続ける人物を描くファンタジーではありますが、台本にはその時代時代が持つメッセージや文化、背景も反映されています。読みながら、それをいとも簡単にふわりふわりと飛躍していく〈オーランド〉を体現するには、どうすれば良いんだろう、きっと莫大な想像力が必要になるだろうなと。そういう想像力を搔き立てるような表現ができるのは舞台ならではですし、それを強く意識した戯曲だと思いました。それに、言葉が美しくて。読んでいると、心地の良い言葉の音とリズムが脳裏に響きました。〈オーランド〉は「《愛》とは、どういうものなのか」ということを深く長く追い求め続けるのですが、その大きなテーマを重々しくなく、身近に感じられるように描かれていることも魅力の一つだと思います。現代に生きる私たちにも響くシーンや台詞がたくさんありますので、楽しみにしていてください。


――〈オーランド〉という役の印象、魅力を教えてください。

男性と女性という二つのジェンダー(性)を演じることができるのは、役者冥利に尽きると思いました。舞台上で何役も演じ分けるという経験はあまりありませんので、〈オーランド〉という一人のパーソナリティではありますが、時代をどんどん超越し、そして性別が変わるという役は本当に楽しみで、台本を読みながらイメージを膨らませています。ただ、男性から女性へと変化するときの飛躍力をどのように表現できるか……。舞台で男性を演じるのも、一つの作品の中で役が変化するのも初体験ですので、私にとっては未知の世界。ただ古来、日本でも外国でもジェンダーレスな方は多く存在していましたから、そういう歴史上の人物についても振り返ってみようと思っています。


――共演者の皆さんの印象をお聞かせください。山崎一さんとは何度も共演を重ねられていますね。

一さんは、とてもチャーミングな演劇少年で、穏やかで平和の塊みたいな方。普段は「アホ」「まぬけ」と言い合っているのですが(笑)、本当に劇曲を読み解く力をお持ちで、ここぞというときにはヒントやアドバイスをくださるので頼りにしています!本当に芝居のことを考えて歯に衣着せぬ意見をくださるので、とても有難いですし、刺激になります。河内(大和)さんとはNODA・MAP『MIWA』(2013年)でご一緒していますが、4人芝居の『THE BEE』などにも出演されていて、野田秀樹さんが信頼されている方という印象なので、心強いです。谷田(歩)さんとは大河ドラマ(2011年『江〜姫たちの戦国〜』)でご一緒しましたが、舞台でご一緒するのは初めて。栗山さんが演出された『ロスメルスホルム』(2023年)を拝見しましたが、谷田さんの肉体のパワーと響く声は印象に残りました。KERA CROSS『骨と軽蔑』で共演していた鈴木杏ちゃんが、「野生児で楽しい方だよ!」と仰っていたので楽しみです。ウエンツ(瑛士)さんはバラエティ番組でご一緒した際に、朗らかに明るくトークを引っ張ってくださる聡明な方という印象を持ちました。カメラが回っていないときにもいろいろと気を配ってくださる方ですから心強いですね。皆さんから、心の底からお芝居を大切にされているのが伝わってきて、一緒に創り上げたいという気持ちがより一層強くなりました。もちろん〈オーランド〉を演じる私が飛躍しないと作品としては成立しないのですが。皆さんもいろいろな役柄を担わなきゃいけなくて大変だと思いますが、真摯に挑戦される方ばかりなので安心感があります。


―― 『オーランド』のお稽古に入られる前の意気込みをお聞かせください。

時代を超え、そして性別をも超えていくという飛躍力が必要な役を演じることに大きなプレッシャーを感じていますが、栗山さんを信じていますし、不安や怖さはありません。その日その時間その一瞬のお芝居に対して熱意を持っている演劇オタクのような方たちと一緒に創り上げることができるので本当に心強いです。

 

[あらすじ]

16世紀イングランドに生まれたオーランドは、エリザベス女王やあらゆる女性を魅了する美貌の持ち主。貴族でありながら、樫の木の下で気ままに夢を見て、詩を書くことを好む青年である。
ある日、恋に落ちたロシア大使の姪・サーシャからは手ひどい裏切りにあい、傷心から詩の手ほどきを受けようと招いた詩人のニックには自信作を酷評される。ルーマニアの皇女・ハリエットからは激しいアプローチを受け、それに辟易したオーランドは逃げるように外交官としてトルコに渡る。
忙しい政務の中で、オーランドの心はバルコニーから見える、身分も肩書きもない自分自身として生きるジプシーの暮らしの中にあった。
ある晩、外交官としての功績をたたえられた祝いの宴の後、オーランドは昏睡状態に陥る。暴動の中も眠り続け、7日目に目を覚ますと、女性の身体になっていることに気付く。
今まで男性として生きてきた自分と、女性の身体を持ち女性として扱われる自分、そのギャップに戸惑いながらも、オーランドは今まで捉え損ねていた世界がよりはっきりと見えるようになったと感じていた。
16世紀から20世紀まで、時代を超えて、たくさんの人との出会い、別れを通じて、生き方を探し続け、詩に紡いできたオーランド。最後に見つけた真実の「わたし」の姿とは・・・。