カミナリフラッシュバックス第6回公演『パンセク♡』 ニシオカ・ト・ニール&天乃舞衣子&PAKshin インタビュー

2018.10.25

左から 天乃舞衣子、ニシオカ・ト・ニール、PAKshin

劇作家で演出家のニシオカ・ト・ニールが主宰するお一人様演劇ユニット、カミナリフラッシュバックスの第6回公演『パンセク♡』が10月31日より千本桜ホールにて上演される。約3年ぶりの公演となる今作は、パンセクシュアル(全性愛)をテーマに新作を上演。公演に先駆け、主宰のニシオカ・ト・ニール、映画『花と蛇ZERO』で主演を務め、映像でも活躍中の女優、天乃舞衣子、今作で劇中音楽を担当する大阪発エンタメジャズバンドCalmeraのPAKshinの3人に話を聞いた。

 

――今回『パンセクシュアル(全性愛)』がテーマということですが、このテーマを選んだ理由を教えてください。

ニシオカ「まず、今回せっかく本公演をやるなら、今まではぐらかして逃げてきた“愛”というものをテーマに思い切って描いてみようと思いました。実は今まであまり恋バナみたいな話を書いたことがなくて。それで、以前からなんとなく『男と女の恋愛じゃないと共感できないなんてことはないのでは?』という思いがあって、たどり着いたのが女の子同士の恋の話でした。そこから、レズビアンの方に取材をする中で、たまたまパンセクシャル(全性愛)の方と出会ったんです。私もパンセクシャルって初めて知って、考えなどを色々聞いていくうちに、結果『人が好き』ということなんだなって。それってすごく平和で幸せな考え方じゃないですか。このパンセクシャルって、“LGBT”の方たちの中でも知らない人が多いみたいなんです。だったら、今回これをテーマにして、一つ知識をつけてもらえるようなお芝居にしようと思いました」――天乃さんはご自身が所属されている演劇ユニット「みそじん」で、何度かニシオカさんとお仕事されていますが、天乃さんが感じるト・ニール作品の魅力を教えてください。

天乃「ト・ニールさんの作品は、私の中でドストライク。とにかく大好きです!
いつもしっかりテーマがあって芯があるけど、ひっちゃかめっちゃか馬鹿な事をやって、くさくなりすぎない。とにかくどれも優しい作品ばかり。今回、この作品に出演しなければパンセクシャルのことを知らないままだったので、学ぶことがたくさんあります。楽しい中で知識が得られるって、素敵だなぁと」

ニシオカ「褒めてくれてありがとう。確かに社会派なお芝居は好きだけど、私にはできないし、そこは私の担当じゃない。その入口部分を紹介するような入門編程度でいいのかなと思っています」

天乃「あと、稽古もすごく楽しいです。お客さんが絶対みられない、本番にないネタを毎回稽古したり(笑) ト・ニールさんはとにかく引き出しが多いので、いろいろなアイデアがどんどん出てくるのも素敵です」

ニシオカ「本番に向けて練習するだけが稽古じゃないっていうのが私の持論だからね(笑)」――劇中音楽を担当されるPAKshinさんは普段ジャズバンドとしてアーティスト活動されていますが、普段の音楽活動との製作の違いや、意識している点を教えてください。

PAKshin「作り方はやっぱり全然違いますね。自分のアーティスト活動で音楽を製作するときは、尺の長さ・曲調・感情など、自由に自分の好きなものを好きなように作れる。でも、お芝居の音楽はシーンごとに必要な要素が決まっているので、それに合わせて作らなければならない。劇中音楽って、お客さんがシーンに感情移入するのを助けるのが役割だと思っているので、そもそもの出発点が違うなと。でも、ト・ニールとはもう7、8年ぐらいの付き合いで、お芝居も何度か観ているので、プロットや台本を観ればだいたいイメージができる。ノリが分かるというか。なので、劇中音楽を担当するのは今回が2回目なのですが、前回よりもだいぶ作りやすいですね。
ト・ニールの作品は、場面転換がはっきりしていて、観ていて飽きない。なので、その転換を助けて、さらに盛り上げることができたらと思っています。ちなみに今回ト・ニールからの要望で最初に言われたのは『メインテーマはおしゃれなレディガガ』でした(笑)」――最後に今作の見どころをお聞かせください。

PAKshin「劇中音楽はお芝居をよりよく観ていただく為の役割だと思っているので、思いっきり舞台に感情移入していただいて、素晴らしい役者さんたちのお芝居を楽しんでいただけたらうれしいです」

天乃「“愛”ですね。この作品には、いろいろな愛の形が入っているのですが、どの愛も大きな違いはなく、それぞれが抱えている悩みや感じていることを、観ている方にきちんと知ってもらえたらと思います」

ニシオカ「まず、絶対に舞台上で役者全員を輝かせる自信があるので、そういう輝いている人たちを観て、観に来ている人たちにも元気になってほしいです。難しそうなテーマですが、明るい気持ちで劇場を後にしてもらえる優しいお話なので、是非、そのつもりで来てください!」

 

取材・文/ローチケ演劇部(い)