リーディングドラマ「西の魔女が死んだ」稽古場レポート

2024.06.21

6月25日(火)に草月ホールで幕を開けるリーディングドラマ「西の魔女が死んだ」の稽古場レポートが到着した。西の魔女に前田美波里、孫のまいに生駒里奈、髙木凜々子のヴァイオリンの音色にのせて、稽古は進む。
演出の笹部博司自らのレポート。

梨木香歩原作の『西の魔女が死んだ』はたくさんの人を励し、慰め、勇気づけた名作だ。稽古場で前田美波里さんを見ていると、まさにそのおばあさんがいると感じる。

「美波里さん自身でいい、美波里さんが今、思っていることとして、おばさんの言葉をしゃべってください」
そう言うと、美波里さんから即座に返事があった。「そのつもりよ」
美波里さんと西の魔女は似ている。彼女はエンターテイメントという分野でたくさんの人を喜ばせ、楽しませてきた。その結果彼女は若く、美しく、元気で輝いている。彼女の人生の体験を通して語られる西の魔女の言葉は、強い力を発することだろう。

 

生駒里奈さんを見ていて、この人の強さは何だろうと思う。随分いろんな女優さんを見てきたけれど、生駒さんに似た人は思い浮かばない。

劇中でまいが学校でみんなにのけ者にされた話をする。
彼女はあれは自分が体験したことだからという。
彼女がまいの出来事をしゃべると、さっぱりとしていてカッコいい。
そして生駒さんはまいの悲しさ、くやしさ、辛さといった、ありとあらゆる負の感情を見事に自分の体で吸い取っていく。
彼女にとって少女まいは、自分の現実なのだ。

今稽古場でこの名作を二人の素晴らしい女優で上演できる幸せを噛みしめている。

 

文/笹部博司
撮影/中山静子