前田美波里と生駒里奈が初共演!リーディングドラマ「西の魔女が死んだ」メインビジュアル解禁!

2024.03.27

1994年の単行本の発売から永遠のベストセラーとして読み継がれている梨木香歩の小説『西の魔女が死んだ』が、リーディングドラマとして生まれ変わる。台本・演出は、笹部博司。出演は、芸歴60年のミュージカル女優前田美波里と乃木坂46出身で活躍の場を広げつつある生駒里奈。6月の舞台を前に、初共演となる二人が都内で舞台のビジュアル撮影を行い、取材に応じた。

この日が初対面となった二人。緊張する生駒里奈に前田美波里は、「朗読は里奈ちゃんのほうが先輩。いろいろ教えてね」「これまで自分の魅力は踊って歌うことだと思い込んでいた。朗読の誘いがあっても断ってきた」という前田。今回初挑戦する気になったのは「この作品が自分と重なるところがたくさんあったから」前田の息子である真木蔵人の娘、つまり孫の教科書にも載っていたという『西の魔女が死んだ』は、イギリス人の祖母を持つ「まい」という少女が、中学生になったとたん学校に行けなくなったことで、祖母の元で一か月余りを過ごす時間を通して、祖母と孫の交流を描いた物語。前田は「自分がおばあちゃん子だったことを思い出しました」

前田が生まれたのは昭和23年。アメリカ人の父と日本人の母との間でミックスとして生まれた。母方の祖父母のもとで鎌倉で育ち、箸の上げ下ろしから礼儀作法を厳しく仕込まれたという。「祖父はとても厳しかったのですが、祖母はつねに一歩下がって祖父を立てる人で、楚々としたやさしい女性でした」三井財閥の令嬢のために作られたと言われる聖ミカエル学園小学校に入学し、祖父母のはからいもありミックスであるということでいじめにあうこともなく、バレリーナを目指して自由闊達に育っていった。「むしろ芸能界に入ってから、なかなか自分の居場所を探せなくなった。ミュージカル女優としてやっていこうと決めたのは、離婚を経験した後でした」と語る。

一方、乃木坂46でセンターを務めていた生駒里奈は、秋田で幼少期を過ごしていたが、小学5年のときに壮絶ないじめを経験した。「ある日突然、昨日まで仲良くしていた友だちから無視されるようになって…」ロッカーの荷物が床に散乱するなどいじめはエスカレート。生駒の居場所は図書館となり、ファンタジーを読んで自分の世界に没頭する日々が続いたという。「今にして思えば、ダンスを習っていたり、少し目立っていた私が目障りだったのかな」
その経験が今回の「まい」を演じるにあたって、感情移入に役立っている。「学校に行けないまいちゃんの気持ちはわかります。私は母親を悲しませたくなくて、学校へは毎日行ったけれど、自分の感情を消して過ごしていましたから…」

白いシャツとスカートにベージュのエプロン、麦わら帽子という衣装を身に着けた前田と、白いシャツとジーンズ姿の生駒。ともにナチュラルな笑顔で撮影に応じた二人は、さながら本当の祖母と孫のよう。二人でポーズをとりながら、その距離はぐんと縮まったように見えた。

公演のビジュアルを彩るのは、葉っぱ切り絵作家リトの作品。発達障害を公表しているリトも生きにくさを抱えた日々を経験、ようやく「葉っぱ切り絵」に自身の居場所を見つけたという。葉っぱが伝える小さくて大きなストーリーを目の当たりにした二人は、初めて見る葉っぱ切り絵に、「細か~い!」と興奮状態。「触るのが怖いほど繊細な作品ですが、『西の魔女が死んだ』の世界観を伝えている気がする」と話す。

舞台で流れる音楽を演奏するのは、ヴァイオリニスト髙木凜々子。両親ともにヴァイオリニストという家庭で育ち、幼少期からその実力を認められていた彼女は、愛くるしい素顔で世界のファンを魅了している。彼女の奏でる曲とともに、この作品がどのような世界を紡いでいくのか、興味は尽きない。

台本・演出の笹部も「70代半ばにしてまだまだ発展途上の前田さんと、女優という居場所を探り当てつつある生駒さん。お二人のチャレンジにぜひ立ち会っていただきたい」と話している。