ナイロン100℃ 結成30周年記念公演第二弾
初の時代劇『江戸時代の思い出』下北沢 本多劇場開幕!
いよいよその全貌が明らかに!
劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチが率いる劇団ナイロン100℃の結成30周年記念公演第二弾にあたる、ナイロン100℃ 49th SESSION『江戸時代の思い出』が、東京・下北沢 本多劇場にて6月22日(土)に初日を迎えた。劇団公演では初となる時代劇に挑んだ本作。それだけに、この日の開幕に向けて多くのナイロン100℃ファン、演劇ファンから熱い期待が寄せられていた。
江戸時代のとある日。武士之介(三宅弘城)と名乗る男が、偶然通りかかった徳川家家来の桂川人良(大倉孝二)を呼び止め、話しかけるところから物語は始まる。「拙者の思い出話を聞いてはくれぬか」と人良に頼み込む武士之介。その話とは《思い出》を超えた、想像もつかないものだった──。
第一幕の序盤から絶え間なく押し寄せるナンセンスな笑いの応酬。みのすけ、犬山イヌコ、峯村リエをはじめとする劇団員たちの心地良い掛け合いが続く中、その一方で、物語はあらぬ方向へと展開し、気がつけば観客は不思議な《思い出》の中へといざなわれていく……。
作品を彩るゲストには4人の豪華俳優陣が参加。物語のキーマンとして随所で存在感を放つ池田成志。坂井真紀は劇団本公演への出演が4作目ながら、初めてのナンセンスコメディで新たな一面をのぞかせた。一方、奥菜恵は“いじわる”な性格の茶屋娘役でかわいい毒っ気を物語全体にもたらし、そしてKERA作品には欠かせない俳優の一人である山西惇はいくつもの異なる役を演じ、変幻自在な表現力の高さで観客を魅了した。
“時代劇”という概念を打ち破り、時間や空間をも超えた予測不能な展開は、まさしくケラリーノ・サンドロヴィッチの真骨頂。また、不条理さがありながらも、登場人物たちの滑稽さや少し哀愁を帯びた言動には愛おしさも感じてしまう。終始、大きな笑いに包まれながらも、そこに描かれる人間模様に思わず感情移入してしまう舞台となっていた。
公演は、7月21日(日)まで下北沢 本多劇場で上演。その後、7月27日(土)~28日(日)に新潟、8月3日(土)~4日(日)に兵庫、8月10日(土)~11日(日)に北九州にて上演を予定している。
東京公演では毎公演劇場窓口にて開演1時間前より当日券を販売。最新情報はナイロンX(旧Twitter)をチェックしてほしい。
公演開幕に際し、作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチと、劇団員の三宅弘城からコメントが届いた。
コメント
ケラリーノ・サンドロヴィッチ コメント
初心にかえって「笑いのための笑い」を皆でやっています。がむしゃらなエネルギーは当時より落ちていますが、総体的にはこっちの勝ちだと思います。還暦を過ぎてなお、こうした芝居を書き、上演できるというのは、本当に幸せなことだと感じています。
スタッフ、キャストのお陰で無事初日が開きました。ホッとしています。笑い以外のものが何も無い芝居で、なおかつ、その笑いもかなり偏った種類の笑いなので、観る人を選ぶかもしれませんが、私はこういうのが大好きなので仕方がないのです。
三宅弘城 コメント
無事に初日の幕を開けることができ、ホッとした気持ちでいっぱいです。また、お客様もこの初日をとても楽しみに待ってくださっていたのか、本番では終始、劇場が温かい空気に包まれ、終演後の今はなんだか感動してちょっと泣きそうです(笑)
作品をご覧いただくとわかると思いますが、いい意味でのアナーキーさがあり、カオティックな物語でもあり、「ナイロン100℃なりの時代劇を作るとこうなりますよ」といった舞台になっています。我々劇団員も、いかにもな時代劇らしい勧善懲悪な物語になるとは、最初から思っていませんでしたしね。30周年記念公演と謳いつつ、正確にはすでに31年目に突入しているナイロン100℃ですが、周年に関係なくハチャメチャな舞台になっていますので、いつも通り安心して観に来ていただき、楽しんでもらえれば幸いです。
舞台写真
撮影/引地信彦