“今月の”優先順位高めです【2024年7月号】

2024.07.01

気づいたら今年半分終わりました。今日から下半期へ突入です。暑いし蒸すしでストレスフルな状況ではありますが、劇場いってスカッとしましょう。というわけで今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。

俳優・田代明の優先順位高め!

みなさまこんにちは、田代明です!
あっっっついですね!!
これを書いてる日の気温は32℃!暑い…!
体は十分アツアツなので、お次は心を震わせていきましょう、今月のホットな作品達!

COCOON PRODUCTION 2024『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』
松尾スズキさんの作・演出により1991年に初演され、この度4度目の上演となる本作。20代の頃に松尾さんが書かれた作品ですが、この度サブタイトルを「歌舞伎町黙示録」と題し、台本をリニューアル。薬剤被害によって障がいを持った少年フクスケが入院する病院の警備員コオロギと、盲目のその妻サカエ夫婦を軸に、物語は展開されていきます。
「自分が客ならこの程度にはわかりやすい芝居が見たい。歳をとったがゆえに優しくもなった。ただ、わかりやすさばかり求める今の風潮は大嫌いである。まだ、攻められる。」松尾さんがこのコメントを語った姿を想像すると、どんなものが観られるんだろうとわっくわくになります。また、歌舞伎町の話を歌舞伎町のど真ん中で観るという、終わった後も作品が続いているかのような空間体験を楽しみに、今作を観に行こうと思います。

belle waves #1 ミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』
韓国ミュージカルアワードで作品賞、脚本賞、音楽賞の主要3部門を総なめにした作品の日本初演。ミュージカルファンには「SMOKE」で馴染みのある詩人イ・サン、韓国抽象美術の先駆者キム・ファンギ、そしてこの天才芸術家と称された実在する2人の男性を夫に持つという稀有な人生を辿るキム・ヒャンアンの人生を史実に基づいて描いた作品。少人数韓国ミュージカル作品は個人的にすごく好きなのですが、今作は韓国発の作品には珍しく感情の起伏の激しさや強さでは無く、静けさや繊細さの中に可愛らしさやあたたかさのある作風なんだそう。
失ったものは大きくても、思い出や記憶は何かを頼りに一生自分の中に宝物として存在させられる。そんな事をきっと思わせてくれる作品。

『ヒストリーボーイズ』
先日たまたま友人とこの作品の話しになり、そしたら来月やるではないか!とびっくり。
イギリスの進学校で歴史について学ぶ8人の高校生のお話。本国イギリスではローレンス・オリヴィエ賞受賞、ブロードウェイで上演されトニー賞6部門を制覇しています。日本初演の2014年の際には、中村倫也さんや松坂桃李さん仲野太賀さんなど錚々たるメンバーが演じられています。今回は、様々なジャンルで活躍する役者の皆様がご出演。
現代日本にも通じる、真の教育とはなにか、そして豊かな人間とは…を鋭く浮き彫りにした会話劇。

そしてそして!
7月24日(水)からは私も出演致します、青山メインランド ファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』が東京国際フォーラムCにて開幕します!
今年で日本初演から44年という長い歴史のある今作。音楽、ダンス、そして大迫力のアクションと共に、大人から子供まで楽しめる見どころ満載のミュージカルです!
ぜびぜひ、夏休みの思い出にネバーランドに遊びにきて下さい!

田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。7月24日(水)~8月31日(土)ミュージカル「ピーター・パン」出演予定。
X(旧:Twitter):@akkarindays
Instagram:@akkarindays

俳優・片桐美穂の優先順位高め!

2月にこちらに帰って来てから早半年、今月でお別れでございます!あっという間でした〜!毎月「観たい!書きたい!」と思える舞台が沢山あることに喜びと感謝の日々でしたねぇ。
皆様、7月は特に忙しいですよ!面白そう過ぎて大変だ!

COCOON PRODUCTION 2024『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』
もう、これ、言葉いらないですよね。
私が演劇を始めた約10年前にはすでに「伝説」と言われていて、「1番面白かった舞台なんですか?」と聞くと「ふくすけ」と返ってくる率の高さよ。
松尾スズキさんは、29歳でこの「伝説」を書いたらしい。私と同い年じゃないか。29歳で伝説とか言われんの大谷翔平と松尾スズキくらいじゃないですか?
やっとその「伝説」を目の当たりに出来るのかと思うと、震えるレベルで楽しみですが、東京公演チケット完売!そりゃそーだ!

ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
こちらは、観たら言葉を失うやつ。
1984年、イギリスの炭坑町が舞台。ボクシングを習っていた少年がひょんなことからバレエに出会い、夢に向かって行くお話。
ビリー役始め、彼らのあの小さな身体が爆発しちゃうんじゃないかってくらいのエネルギーに、圧倒されて、されすぎて、座りながら腰抜かします。
そして、何と言ってもストーリーが良い。「自分らしく生きること」の難しさと、喜びを描いた今作は、どの時代に観ても色褪せないけれど、早く「自分らしく生きることが当たり前になってほしい」と願いも込められてると思います。(朝ドラ『虎に翼』ですね!)
これは是非一度は観ていただきたい!私は何回も観たい!

大長編 男肉 du Soleil『僕らの小宇宙選挙』
これまで幾度とダンスの公演は観てきましたが、彼らほど心から踊っている人は観たことないです。上手いがすべてじゃないんです。心なんです。私は、世界一のダンスカンパニーだと思ってます。(あくまで個人の見解です!)
前回観た時は、積立NISAとか投資の話を聞いてたら(?)、なんかみんな踊りだして(?)、私は手拍子しながら泣いてました(?)。
もはや、何観に行ってるかわからないですが、海を見た時くらい色々どうでもよくなると言うか、洗浄されると言うか…。多分何も伝わらないと思うし、想像も出来ないと思いますが、一回観てみてください!

あとは、もう完売回も出て来てるらしい!
パショナリーアパショナリーア(通称パショパショ)第6回公演『おもちゃワーカーズ』

面白いという噂を聞いて以来、まだ観られていないTHE ROB CARLTON出演の
『テアトロコント vol.69』

前回が面白かったので、また観たい、
かわいいコンビニ店員飯田さん本公演『空腹』

音楽劇『海王星』で共演し、活躍眩い伊原六花ちゃん出演の
PARCO&CUBE produce 2024 ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』

いつだって気になります、
iaku「流れんな」

…あたりもお財布が許してくれるなら観たいところ!

あっという間に片桐的最終回が来てしまいました…。年末あたり舞台上でお目にかかれるんじゃないかな〜なんて、匂わせたりしておきます!
短い間でしたが、また参加できて嬉しかったです!ローチケさんありがとうございました!そして、お読みいただいた皆様ありがとうございました!また劇場で会いましょ〜!

片桐美穂
役者。ブルーノ・マーズ、藤井風、バレエ、猫をこよなく愛する29歳。
テレビ東京ドラマプレミア23「夫の家庭を壊すまで」(7月8日(月)23:06スタート)に、竹財輝之助さん演じる勇大の会社の人、三河役としてちょくちょく出演いたします!
X:@____obese
Instagram:@katagiri_miho

俳優・佐久間麻由の優先順位高め!

蒸しますねぇ…。暑さよりも湿気にやられてしまってるんだなぁと気づいたお年頃からは、夏のエアコンは専ら除湿派。こんにちは、佐久間です。7月はどんな演劇がやるのかなぁと情報をかき集めましたところ、あらまあらま、きっともう皆さんご存知の、きっと楽しみにしてらっしゃるであろう作品ばかりが沢山でした。なので、口数少なめにテンポ良く参りたいと思います!それでは、7月の優先順位高め、スタ〜ト〜。
▶︎COCOON PRODUCTION 2024『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』
私が観た『ふくすけ』から、もう12年前経っているということに驚きました。今作は、フクスケが入院する病院の警備員コオロギと、盲目のその妻サカエの夫婦が中心の物語になるとのこと。これでもかと最強布陣が揃い踏んで挑む改編劇の幕開きをチケット片手に客席で待つ自分を想像して、すでにわくわくします。

▶︎KAATキッズ・プログラム2024『らんぼうものめ』
た組の加藤拓也さんがKAATのキッズ・プログラムに初登場。主人公は、らんぼうもの。らんぼうものが神様たちに出逢うお話し。加藤さんが初めて子どもたちに捧ぐ物語、最高だろうなと思います。

▶︎音楽劇『死んだかいぞく』
ノゾエ征爾さんが送る、こどもと観れる音楽劇にまちがいなし!原作者の下田昌克さんが舞台美術と衣裳と小道具デザインを担当される贅沢な企画!そして、ノゾエさん×田中馨さんのコラボ、たまらんです。あと、大好きな家納ジュンコさんが出るのも楽しみです!

▶︎少年王者舘 第40回本公演『それいゆ』
天野天街さんの創る世界が大好きです。『それいゆ』とてもとてもたのしみにしてます。当たり前にだいすきで観続けていらっしゃるみなさんも、まだ観たことないみなさんも、行きましょう、『それいゆ』。

▶︎範宙遊泳『心の声など聞こえるか』
山本卓卓さんが演出を手がける劇団公演は本作が最後とのこと。とっても寂しいですが、きっとこの作品が範宙遊泳にとっての分岐点となって、また新たなフェーズに入るのかなと勝手に想像して、とっても楽しみにしてます。しっかり目に焼きつけたいです。

▶︎TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II- 『死の笛』
安田顕さんが企画・プロデュースするこの公演。安田さんがこの公演に寄せたコメントには、「19歳でお芝居を始めて、約30年。私には、奇跡です。思い描いた夢が、もうすぐ始まります。産み落とされた脚本は、自分の棺桶に入れます。」と想いが綴られていました。この言葉だけで、足を運びたいと心が動かされますが、林遣都さんとの2人芝居、そして、坂元裕二さん×水田伸生さんのダック。痺れます!

▶︎NODA・MAP第27回公演『正三角関係』
大好きな池谷のぶえさんが出演されるNODA・MAP。楽しみすぎます!!

▶︎椿組2024年夏・花園神社野外劇「かなかぬち」〜ちちのみの父はいまさず〜
まだ信じていないです、今回が最後となる椿組のテント芝居。惜しみながら噛み締めるように観に行きたいと思ってます。

最後にひっそり小声で失礼します。7月ラストの優先順位高めは、FUJI ROCK FESTIVAL’24!
2024年の下半期も、皆さんにとってお守りみたいな作品に出逢えますように!!

佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。次回出演作品→スリーピルバーグス第2回野外公演inスタジアム『リバーサイド名球会』作・演出:福原充則 @兵庫豊岡市 こうのとりスタジアム 9月20日(金)〜9月22日(日)
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/

脚本家/演出家・海路の優先順位高め!

海路です。みろって読みます。
今電車に揺られながらこの文章を練っているのですが、個人的にこの夏の車窓から見える景色が好きです。何なんでしょう。春とかとまたちょっと違う、この感じ。分かる方います?笑
てなてなことで、7月の優先順位高めな作品はこちら!!

範宙遊泳『心の声など聞こえるか』
2021年に脚本を主宰の山本卓卓さん、演出を川口智子さんで同じく劇団で上演した作品の再演。今回は演出も山本さんとのことなのですが、これを最後に劇団公演では作家に専念し以降演出はされないとのことで、山本さんが演出する範宙遊泳を観れるのは最後の機会です。自分は始めて山本さんの作品に触れたのは最近なので、もっと早くから見とけば、なんて後悔もありますが、それでも今回がこれからあるので、噛み締めようと思ってます。観たことがない方、まだ、間に合いますよ。

NODA・MAP 第27回公演『正三角関係』
先に言っておきます。チケット取れませんでした。激戦過ぎました。ここで、完敗宣言をしたのは昨年の東葛スポーツ以来ですが、今年の野田地図は逆に誰が取れてるんだくらい、激戦の気がしてます。まずキャストが、松本潤さん、長澤まさみさん、永山瑛大さんなどなどと、なんじゃそらっていう方々のお名前が並んでいて、観たい。とても観たい。観に行ける方々は、そんな我々の想いも背負って楽しんできて下さい。

ももちの世界#10『日曜日のクジラ』
『鎖骨に天使が眠ってる』が昨年韓国で話題を呼び、今現在現地で再演中でもある、主宰のピンク地底人3号さんが作・演出を努める劇団本公演。架空の日本を舞台に、「願いを叶えるクジラ」の噂を元にそれを探す女性の話とのこと。劇場は雑遊で、実はまだ行ったことがなかったので、それも含めて楽しみです!

他にも、つい先日イギリスで公演を行うことが発表された加藤拓也さんの、親子向けにつくる新作、KAATキッズ・プログラム2024『らんぼうものめ』や、毎公演幕が開くと話題を呼ぶ、かわいいコンビニ店員飯田さん本公演『空腹』など、注目公演目白押しです!

海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro

脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!

夏前なのにもう汗が止まりません。滑川です。
なかないで、毒きのこちゃん」面白かったなあとか、「劇団普通」観に行けなかったなあとか思う6月でした。ひと月ってほんとあっという間ですね。7月の優先順位高めはこちらになります。

少年王者舘 第40回本公演『それいゆ』
ぼくの演劇の原体験が少年王者舘でした。どこか懐かしく不思議な世界観は他では見れないと思います。役者の佐伯ピン子さんが入ってから観れていませんでしたがここでやっと観れます。天野天街さんの世界は一度は体験しておいて損はないと思います。楽しみ。

『ダダルズのサル』
こちらもやっと生で観れます。ただただ楽しみです。

かわいいコンビニ店員飯田さん本公演『空腹』
方々から素晴らしいとの噂が入ってきていて、観に行かないとって思ってまだ観に行けてない劇団さんの一つです。今回は貧困がテーマとのこと。ぼくもお金がなくて「選択出来なかったこと」がたびたびありました。誰にでもあると思うけど。ともて興味があります。観たいなと思ってます。

高木珠里ひとり芝居 「伝説の女」
タイトルから公演への覚悟が伝わってきてそれだけで観る価値があるのではと思わせてくれます。かっこいいです。そしてとても面白い役者さんだなあっていろんなタイミングで勝手に思ってます。優先順位高めです。

あたらしい劇場プロジェクト 野外劇『パレード』
広場×不条理演劇。元 しあわせ学級崩壊主宰の小西竜矢さんが脚本・演出を務めるとのこと。20分間の無料野外劇なのでサクッと観れそう。お祭り気分で観に行くのもいいかも。

他にも岡本セキユさんのシングル芝居『ワイルド蛍をつかまえろ』『寿司の女』や、白昼夢2024『サザレヰシヨン』などもとっても面白そうなのでおすすめです。なんか最近一人芝居される方多いですね。一人芝居って本当すごい。
これから本格的な夏到来。みなさまも熱中症にお気をつけて夏を乗り切ってください。

滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
自称武蔵野市代表コントユニット「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP: https://etoe.amebaownd.com/

脚本家/演出家・ 萩田頌豊与の優先順位高め!

7月になりました。萩田頌豊与です。
最近暑くて、眠れないので冷房をつけてます。
でも暑いからと言って、冷房をつけて寝てしまって風邪をひいたら元も子もありませんね?僕はそうはならないように気をつけたいと思います。
ほぼ、さあて来週のサザエさんは?になってしまいましたが、僕とサザエさんの違いは3本の単話を紹介するか、7月のお勧め演劇を紹介するかの違いです。
以下7月のお勧め芝居です。

iaku「流れんな」
もう絶対面白いので、何行けばいいか困ったら、iakuさん観に行けば間違いはない。そう思える劇団になりたいですね。楽しみです。そして皆様も楽しみでしょう。

ぼちぼちやる派 第2回公演『脱法プードル・KAWAIIエクスプロージョン』
思い切ったタイトルですね。
素晴らしい。可愛いを赤ちゃんだけにしたく、可愛いキャラとかを禁止にした世界の話とあらすじに書いてありました。良いプロット。それを脱法プードルというタイトルに込めたのが格好いいです。楽しみ。

ゴキブリコンビナート第38回公演「あばれヤーコン」
凄いものを摂取したい時は絶対ゴキコンですよね。
アトラクションみたいで本当に楽しいです。
どうか皆様、怪我のないよう。

劇団四季ミュージカル『ゴースト&レディ』
藤田和日郎先生の名作を劇団四季で。滾りますよね。
行きたい。観に行きたい。ゴースト&レディですよ?絶対良いに決まってる。

サスペンダーズ単独公演『春』
絶対面白いので、もう売り切れ間近なんですぐ買って行って下さい。損するわけがない。

いいですね!素敵な7月になりそう!
7月が素敵ならもう今年は間違い無いですね。
次は8月、夏真っ盛りに向けて皆様も準備準備。
そしたら、ジャンケン!ポン!
次からちゃんとします。

萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト

ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!

早くも夏ですね~。涼しい劇場で熱い舞台を堪能しましょう!
 
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』
バズ・ラーマン監督の映画も大好きで、ぜひ観たいと思っていた『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』。やっと観られるので、すごくワクワクしています。望海風斗さん演じるナイトクラブ ムーラン・ルージュの花形スター、サティーン。井上芳雄さん演じるアメリカ人作曲家クリスチャン。二人の生デュエットが楽しみ。絢爛豪華なステージで繰り広げられるドラマチックなラブストーリーは、ミュージカル初心者も虜にするはずです。
 
COCOON PRODUCTION 2024『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』
12年ぶりに上演される松尾スズキ伝説の代表作。薬物被害によって障がいを持った少年“フクスケ”をめぐり、様々な境遇の登場人物たちが、底なき悪意と情愛に突き動かされながら、必死にもがき生きる姿を毒々しくも力強く描いた壮大な人間ドラマです。主演の阿部サダヲさんをはじめ、黒木華さん、岸井ゆきのさん、秋山菜津子さん、大人計画の面々とキャストも魅力的で期待しかありません。
 
belle waves #1 ミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』
今年1月に韓国ミュージカルアワードで作品賞、脚本賞、音楽賞を受賞した作品が日本初演。韓国を代表する天才芸術家と称された実在の二人の男性、詩人イ・サンと韓国抽象美術の先駆者キム・ファンギを夫に持ったキム・ヒャガンの人生を史実に基づいて描いたオリジナル・ミュージカルです。主演のソニンが、エッセイストで評論家で西洋画家でもあり、パートナーたちの才能も開花させた稀有な女性ヒャガンをどう表現するのか注目しています。
 
そして、今月のおススメ2.5次元作品は…。
 
ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』6~ハッピーレール大作戦~
 鉄道路線を擬人化した鉄道トリビア×コメディ漫画が原作の「鉄ミュ」第6弾。何も予備知識がなくても、とにかく笑えて楽しめます。それで、「へ~」って感じでちょっとためになる(笑)。
 
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage-Renegades of Female-
 2.5次元作品の大人気シリーズ「ヒプステ」初の〈中王区〉公演です。女性党首率いる“言の葉党”が拠点を構える中王区の女性キャラクター12人が登場。女性キャストだけの「ヒプステ」がどんなステージになるのか楽しみです。
 
ステージ『エロイカより愛をこめて』Revival+
 連載開始48年、今も愛され続ける青池保子の名作漫画『エロイカより愛をこめて』。男色の美術品窃盗犯「怪盗エロイカ」ことドリアン・レッド・グローリア伯爵が主人公の怪盗&スパイ活劇の舞台化作品です。昨年の初演では十数年来の原作ファンも美しすぎるビジュアル完成度に歓喜したとか。今回は前作の物語に新しいシーンを追加しての再演+αとして上演。コメディ色もあるストーリーで萌え&笑いで楽しめると思います。

井ノ口裕子
ライター。観劇の入口は中学生のときの宝塚。それから観劇は一番の趣味です。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも見ます。

ライター・釣木文恵の優先順位高め!

世はお笑い賞レース全盛時代。このページが更新されている頃には『ツギクル芸人グランプリ2024』の勝者が決まっていますし、7月7日には『第45回ABCお笑いグランプリ2024』が開催されます。M-1グランプリほど知名度が高くはないですが、いずれも今後活躍が期待される若手が決勝に名を連ねています。昨年「ツギクル」で優勝を果たしたナイチンゲールダンスはM-1敗者復活戦で注目を集め、今年から地上波レギュラー番組がスタート。「ABC」は実に45年の歴史を誇る若手(デビュー10年以内)の登竜門的コンクール。M-1チャンピオンである令和ロマンが3度目の決勝にしてとうとう優勝を果たすのかが注目されます。そんな中、キングオブコント2024の予選がスタート、M-1グランプリ2024やR-1グランプリ2025の開催も発表され、暑い夏がやってきます。
 
人間横丁第1回単独ライブ「懐柔」
2020年結成、まだ4年目ながら独自の空気感で人気を集めているコンビ、内田紅多と山田蒼士朗からなる人間横丁による初の単独ライブ。「人間横丁です」のあと、一瞬間をとって目を合わせてからの「よろしくお願いしまーす」という挨拶でもう虜になってしまう二人。ファンタジックな設定の中に妙なリアリティやブラックな面が織り交ぜられた漫才は、いつも行く先が想像できなくてわくわくします。昼夜2公演はすでに完売だそうですが、配信で見ておきたい!
 
 Aマッソ単独ライブ『縦』
地上波で冠番組をもつ一方、YouTubeで次々新しい企画をやってみたり。手掛ける作品が毎回話題を呼ぶテレビ東京のプロデューサー、大森時生氏と組んで番組やライブをやったり。加納さんは脚本や小説も手掛けたり。もしかしたら今いちばん自由にお笑い界を泳いでいるのでは? とも思えるAマッソ。そんな彼女たちの単独ライブ『縦』が開催されます。1か月という短いスパンで東京、名古屋、大阪、福岡、もう一度東京と各地をまわるハードなスケジュール。先ごろ行なわれた「ワタナベお笑いNo.1決定戦」で優勝を果たし、とうとうチャンピオンの称号まで手に入れ、まさに今、脂が乗っている二人はどんなネタを見せてくれるのでしょう。
 
『加藤啓アワーフェス』
個人的な話になりますが、上京して初めて観た芝居に出演していたのが加藤啓さんでした。東京にはこんな面白いものがあるのか! と衝撃を受けたあの頃からしばらく経ちますが、今なおいろんなものがごった煮になったような面白さを体現し続けている加藤啓さん。彼が主催する「加藤啓アワー」がフェスを! 日替わりプログラムも、そこに参加する明星真由美さん、佐藤貴史さん、辻本耕志さん、小林顕作さん、ラブレターズといった面々も、いったいいつ行けばいいの? と迷ってしまうぎっしり感。これはまさに演劇のフェスです!
 
 ほかにも、お笑いではニューヨーク単独ライブ「そろそろ、」空気階段 第7回単独公演「ひかり」ラブレターズ単独ライブ2024「39」もありますし、演劇・ダンスでは観ると元気が出てくる男肉 du Soleilの大長編男肉 du Soleil『僕らの小宇宙選挙』、初めて観たときから「明日からPARCO劇場に立つべき!」と信じてやまないTHE ROB CARLTONの『テアトロコント vol.69』出演も。7月も、羽織りもの1枚持って(夏は外と劇場内との温度差でより寒くなったりする)劇場へ通うことになりそうです。

釣木文恵
演劇を中心にインタビュー記事などを執筆。最近はお笑い関連の仕事も増えてきました。
X(旧:Twitter):@troookie

ライター・岩村美佳の優先順位高め!

今月一番に楽しみにしているのは、宝塚雪組公演『ベルサイユのばら』-フェルゼン編-です。1974年の初演から50周年を迎える今年、10年ぶりに上演されます。宝塚といえば『ベルサイユのばら』というくらい、宝塚を見たことがない方々でも知っているのではないかと思われる、宝塚歌劇最大のヒット作であり代表作です。私が最初に観たのは1991年で、それ以来ほぼ観劇していると思うのですが、特別に大好きな作品だったというわけではありませんでした。でも、今年開催された、宝塚OG達による『ベルサイユのばら50』を観劇して、改めてすごい作品だと思いました。歌舞伎のように「型」があり、その「型」は色褪せない。今作は雪組トップスター・彩風咲奈さんの退団公演でもありますが、彩風さんはベルばらを観て宝塚を志し入団され、トップスターとなって同じベルばらで退団されます。ベルばらを観て宝塚を志した方々は、お話に聞くだけでも沢山いらっしゃいますが、宝塚歌劇団の110年の歴史を作ってきた中核の作品なのだと再認識しました。令和に上演される新たなベルばらがどんな歴史を残すのか期待しています。
 
その他、今年の韓国ミュージカルアワード主要部門3冠に輝いた、belle waves #1 ミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』の日本初演、演劇集団キャラメルボックスの名作が初ミュージカルとなる『無伴奏ソナタ-The Musical』、2022年に上演されたミュージカル『モダン・ミリー』の再演などを楽しみにしています。

岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri

ライター・河野桃子の優先順位高め!

気づいたら1年の半分が終わっていて、今年最初に掲げた目標は……と振り返ると「断捨離」だったことを思い出しました。すっかり忘れてしまうくらい、モノで散らかった部屋のすみっこでこれを書いています。

7月は3本に絞りました。

belle waves #1 ミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』@東京芸術劇場 シアターイースト。
“静かな韓国ミュージカル”として大ヒットした、韓国芸術界の実在の人物をもとにするある女性と彼女が愛した人生をたどる物語。出演するソニンさんが訳詞にも挑戦し、演出は稲葉賀恵さん、日本語上演台本はオノマリコさん、と、丁寧な創作される同世代の女性たちがあつまっています。

ももちの世界#10『日曜日のクジラ』@雑遊
京都を拠点にするももちの世界が、東京で新作を上演。
架空の日本を舞台にした新作。作・演出のピンク地底人3号さんは納棺師だった経験からか、死を思ってしまう作品が多く、最近では手話をつかった演劇を何作も作られています。
その戯曲はさまざまな戯曲賞で話題になっており、わたしも初めて手にとり読み終えたとき、抉られながら泣きながら、すぐにもう一度読み返したことを鮮やかに覚えています(今年の目標はさっさと忘れていたのに)。情報保障として、台本データを公演前にお送りする試みをしています。

演劇ユニットせのび「夏に冬は思い出せない」@スタジオ「HIKARI」(横浜)
岩手県盛岡市を拠点に活動するせのびの横浜公演。横浜ではかながわ短編演劇アワード2021戯曲コンペティションで大賞を受賞されたこともあるので、ご存じの方もいるのでは。
今回の作品は地元盛岡では6月に上演済みなのですが、わたし、せのびの本公演はまだ見たことがないんです。でも、去年のもりおか周遊舞台芸術祭で発表されていた『ト(“)リップ』がとても良くて。丁寧に演劇とそこにいる人(観客や俳優)が居合わせることができたなと、ちょっとぐっときたんですね。
せのびのサイトには“「忘れられたものは初めからなかったことになってしまうのではないか」という問いに対して、様々なアプローチから創作を行っている”とのことですが、ああまさに、そこにいたかもしれない忘れられた存在に出会えた時間でした。

河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com

批評家・山﨑健太の優先順位高め!

早くも蒸し暑さにバテ気味の7月。
優先順位高め1本目は橋本ロマンス『饗宴/SYMPOSION』
橋本作品は未見なのだが、プラトン『饗宴』を原作に「現代における「マイノリティ・ポリティクス」に焦点を当て、社会で透明化された人々のための愛のメッセージを、身体表現で可視化」する作品とあっては見逃すわけにはいかない。出演者の多彩さにも期待が高まる。

2本目は範宙遊泳『心の声など聞こえるか』
2021年に川口智子演出で初演した作品を山本卓卓自らの演出で再演。山本は以降、劇団公演では劇作家に専念するそうで、今後の範宙遊泳の展開も楽しみなところ。しかしまずは山本卓卓の劇団での最後の演出作品を楽しみたい。

3本目はももちの世界#10『日曜日のクジラ』
2022年に第66回岸田國士戯曲賞の最終候補となった『華指1832』を読んでその筆致に圧倒されて以来、ピンク地底人3号の作品はずっと気になっていたのだった。関西拠点ということもあり、なかなか作品を観る機会を得られなかったのだが、ようやくその機会がめぐってきた。公開されているあらすじからわかることは少ないが、『華指1832』と同じく人間の業を抉るような作品になるのではないだろうかと勝手な期待を寄せている。

山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter): @yamakenta

ローチケ演劇部_白の優先順位高め!

7月。すっかりジメジメな梅雨ですね。梅雨が明けたら夏本番。湿気と暑さと戦う7月。体調に気を付けて今月も劇場に足しげく通いたいと思います。
というわけでわたしの今月、優先順位高めな公演はこちら!
 
まずはやっぱりこれですよね。COCOON PRODUCTION 2024『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』。12年ぶりの上演です。松尾さんと言えば?と質問すると「ふくすけ」を挙げる方も結構いらっしゃいますよね。4度目の上演。キャストも豪華。旧友の永二(菅原永二)も出るし、これは見逃せません。
 
そして!『テアトロコント vol.69』。注目は、演劇枠のTHE ROB CARLTON。いや、本当に面白いんですよ、THE ROB CARLTON。4月「LOW-KEYED PLAY」の公演も最高でしたし、DVDで観た「Meilleure Soirée」も最高でした。10月には東京公演もあるし、その前哨戦?としても見逃せません。
 
今回で山本卓卓さんの演出が最後となる、範宙遊泳『心の声など聞こえるか』も観ないと。いろんな新しい表現方法をわたしたちを楽しませてくれていた範宙遊泳ですが、今回も大いに楽しませてくれるはず。そしてさらなる進化をみせてくれることでしょう。見逃せません。
 
観たことない劇団を観る月間にもしようかなと思っています。注目はやっぱり、ももちの世界#10『日曜日のクジラ』。ピンク地底人3号という一度聞いたら忘れられないお名前、最近いろんなところで耳にするんですよね。なんだか気になってしまいますよね。慌てて予約しちゃいました。見逃せません。
 
他、加藤拓也さんがキッズプログラムに!KAATキッズ・プログラム2024『らんぼうものめ』。これは伝説になりますよきっと!高木珠里ひとり芝居『伝説の女』。OFF・OFFシアターが暑い!いや熱い!GORE GORE GIRLS vol.15『土曜の夜に出す手紙』かわいいコンビニ店員飯田さん本公演『空腹』などなどを。
 
あ、梅棒も結局今月観ることになりましたので改めて!梅棒 18th “RE”SHOW『シャッター・ガイ』も優先順位高めです!