ラフィングライブ第四回公演『パパ、アイ・ラブ・ユー!』 稽古場レポート

2018.11.22

声優の山寺宏一と水島裕、演出家の野坂実の3人によるユニット“ラフィングライブ”の第四回公演「パパ、アイ・ラブ・ユー!」。
イギリスを代表する作家レイ・クーニーの人気作で、2015年の旗揚げ公演として上演された本作は、客席を爆笑の渦に巻き込みファンの間で伝説となった公演。
今回、待望の再演にあたりさらにパワーアップして帰ってくる、ということで期待を胸に稽古場へお邪魔してきました。

舞台はクリスマスが近づくロンドン。セント・アンドルーズ病院内の医師談話室。
エリート医師・デーヴィッドは数時間後に近づいた記念講演のスピーチ練習で頭がいっぱい。
世界中の医師、そして愛妻・ローズマリーを前にする記念講演は出世のかかった一大チャンス。絶対に失敗はできない。
しかし、そんな彼の様子にも全く意を介さず次々と部屋にやってくる訪問者たち。
と、そこへ18年前愛人関係にあったジェーンが突然現れ「二人の間には息子がいて、しかも今まさに父を探しにここに向かっている」と告げる。
何だったよりによってこんな時に!まさに人生の大ピンチ!
ピンチを回避するためデーヴィッドのついた嘘は、やがて病院中を巻き込む一大事に…

デーヴィッドを演じるのは山寺宏一。
その声はもちろんですが、感情豊かな表情も素敵です。
同僚のヒューバートを演じるのは水島裕。
人柄が滲み出ていて、演技のコミカルさと合わせてこの役柄にぴったり!
デーヴィッドの愛妻・ローズマリーを演じるのは寿美菜子。
凛々しいたたずまいと、率直な物言いが役柄の雰囲気を醸し出しています。
警官を演じる大塚明夫。
大柄で見た目だけでも漂う威圧感。デーヴィッドやヒューバートにとって恐怖だろうなぁ。
婦長を演じる斉藤こず恵。
うん、いそうですね~、こういう人。そしてこの感じがまさしく本作における婦長さんのイメージ。
稽古は医師談話室に婦長への事情聴取のため警官がやってくるシーン。
婦長に会うのをデーヴィッドとヒューバートは何が何でも回避したい。そこで二人が取った行動は・・・
慌てふためきながら必死に取り繕う姿を見て思わず笑ってしまう、絶妙なコンビネーション。

1シーン通した後、演出の野坂実から言い回しや、仕草、立ち位置など細やかな指摘が入ります。
それを聞くにつけ、この作品におけるテンポの重要性に気づかされます。

入れ替わり立ち代わり登場する人物たちの言葉の応酬、その一つ一つにその後の展開につながる伏線があり、
スピード感溢れる進行と相まって笑いの連鎖を生み出す。

もちろん登場人物たちは笑いを取ろうとしているわけではなくて(その逆でピンチを乗り越えるために必死)、
それが一層の笑いを誘うところに、この作品の醍醐味があります。

その緻密に構成された物語の魅力を最大限に引き出すのが“ラフィングライブ”の実力派キャストたち。
その素敵な声はもちろんのこと、俳優としても一級品の演技に魅了されること請け合い。

客席を爆笑の渦に巻き込んだ第一回公演から、第二回、第三回を経て満を持しての再演。
全てにおいて一層磨き上げられた「パパ、アイ・ラブ・ユー!」にどうぞご期待ください!

 

文・写真/ローチケ演劇部員