堤真一と瀬戸康史が濃密な2人芝居に挑む!
英国の劇作家キャリル・チャーチルの『A Number―数』『What If If Only―もしも もしせめて』の2作品が、ジョナサン・マンビィの演出で連続上演される。2人芝居となる『A Number―数』に出演するのは、堤真一と瀬戸康史だ。
堤 ジョナサンとまた一緒に組めるのは嬉しいけど、大人数芝居を好むイメージだったので、まさか2人芝居とは思わなかった。難しい本ですし、驚きはありましたが、嬉しかったです。
瀬戸 7年前にジョナサンのワークショップに参加していたので、すごく嬉しかったです。それに堤さん出演のドラマをたくさん観ていましたから、そんな堤さんと2人芝居ということにも興奮しています。
2人が挑むのは、秘密を抱え葛藤する父が、息子の遺伝子を持つクローンの青年らと対峙していくという物語。役者は2人だけの濃密な会話劇となる。
堤 父親は本当のことを言っているのか、嘘をついているのかよくわからない役。息子に対する想いは間違いなくあるけど、全部が本気だとしたらめちゃくちゃな天然な気がするんですよね。稽古でどうなっていくのか次第ですが、むしろ裏があってほしいとすら思っています。2人芝居は何度か経験があって、観客から見えていない部分で、2人だけの楽しみのような感覚があるんです。今、これを味わっているのは僕たち2人だけという。それを瀬戸くんと味わえるのが楽しみです。
瀬戸 心を作っていけば3役の演じ分けはできてくるとは思っています。それを自分がやりきれるのか、不安もありますがしっかりと稽古していきたいです。2人芝居は昨年に初めて経験して、舞台に立つ前は不安もあったのですが、立ってみるとすごくワクワクしている自分がいました。2人だけであることを客観視している自分もいて、興奮しましたし、だから、また2人芝居はやってみたかったんです
命の禁忌に触れるような物語に挑む2人。台本を読んでなお未知数な部分も多い本作だからこそ、稽古への楽しみも大きい。
瀬戸 重かったり、悲しかったりするテーマかと思ったんですけど、読み終わった後には希望が持てる話でした。特に3役のうちの最後に登場する役はすごくポジティブで、自分もそうありたいと思えるような共感がありました。観てくださる方がどう受け止めるかはまだ分からないですが、しっかりと稽古をして臨みたいです。
堤 きっとお客さんも最初は何の会話をしているかわからないし、ジョナサンのことだから、きっと敢えて分かりやすくしようとせずに進めると思うんです。徐々にわかってくると思うんですけど、それがどう見えるのか、僕にもわからないことばかり。早く稽古したいし、ゼロから作っていくつもりで頑張ります。
インタビュー&文/宮崎新之
Photo/山本倫子
【堤真一】ヘアメイク/奥山信次(B.SUN)、スタイリスト/中川原寛(CaNN)
【瀬戸康史】ヘアメイク/小林純子、スタイリスト/田村和之
※構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載
※写真は誌面と異なります
掲載誌面:月刊ローチケは毎月15日発行(無料)
ローソン・ミニストップ・HMVにて配布
【プロフィール】
堤真一
■ツツミ シンイチ
幅広いジャンルの舞台に数多く出演し、テレビドラマ、映画、CMなどでも活躍する実力派俳優。
瀬戸康史
■セト コウジ
舞台「関数ドミノ」にて、第72回文化庁芸術祭演劇部門新人賞 受賞。数多くのドラマ、映画、舞台などで活躍。