【東映ムビ×ステ】 舞台『邪魚隊/ジャッコタイ』│佐藤流司&橋本祥平 インタビュー

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映画と舞台を連動させるプロジェクト【東映ムビ×ステ】の最新作『邪魚隊/ジャッコタイ』。5月には映画が公開され大好評を博したばかりの本作の舞台が東京、大阪、愛知、石川にて8月~9月にかけて上演される。人知れず江戸の世を守る死刑囚の捨て駒集団・邪魚隊の面々が、攫われた幕府の要人を救出するために謎めく絶海の孤島へと赴く中で、さまざまな脅威や隠された真実に触れていく――。映画に引き続き舞台へと挑む、佐藤流司と橋本祥平の2人に作品への想いなど話を聞いた。


――本作は、映画と舞台が完全連動している【東映ムビ×ステ】の最新作となりますが、作品の第一印象などをお聞かせください。

佐藤 企画の段階でご相談いただいた時に、座頭市っぽいものがやりたいとお話させていただいたのが最初でした。だから、時代劇っぽい要素の中で、仕込み刀使いが主人公という感じにしてくださいました。そこに、ミュージカル要素とかも加わって、当初の想像以上にたのしそうな企画になってきたな、と思いました。

橋本 ムビ×ステへの出演は2回目になるんですけど、面白い題材だな、と思わされる驚きが毎回あるんですよ。時代劇という大枠の決まりごとはあるんですが、映画の良さと舞台の良さの両方が味わえるので、役者としてはすごく嬉しい企画なんです。今回の『邪魚隊/ジャッコタイ』も、ダークヒーローっぽくて、第一印象からすごく楽しそうだと思いました。それに、真ん中に佐藤流司がいるのがピッタリな作品だと思いましたね。


――映画は5月に公開されましたが、印象に残っているシーンは?

佐藤 ワンカメの長回しシーンが何個かあって、その撮影は結構大変でしたね。序盤に邪魚隊4人の紹介シーンがあるんですけど、そこも結構長い時間をワンカットで撮影していて、前日にリハをやって翌日に本番、みたいなスケジュールだったんですけど割と時間がかかりました。やっぱり誰か1人でもミスるとやり直しですし、エキストラの方も100人近くいらっしゃったので、かなりの緊張感を持って全員で撮影に臨みました。

橋本 冒頭のそのシーンは大変だったけど、楽しかったですよ。個人的なところで言うと、僕は天才からくり師の役なので、江戸の町をローラーシューズで移動しているんですよ。だから久しぶりにローラーシューズで走れるかな、と思ったんですけど…。江戸時代なので、その時代に手に入るものでローラーシューズは作られていて、現代のものほどしっかりしていなかったんですよ。だから、アクション部の方がそのシーンはやってくださったんですけど…多分、行けると思うんです、僕(笑)。でも、万一のことがあったらその後のスケジュールにも影響が出てしまうので、泣く泣く諦めました。アクション部の方が楽しく滑っている姿を見てましたね…。結構、からくりの部分も注目してほしいです。


――邪魚隊のメンバーとは撮影でどんな話をしていましたか?

佐藤 結構、タイトなスケジュールだったので、あんまりプライベートな話というか、オフの時間も少なかったんですよ。少しファンタジー要素もあるし、ミュージカル要素をどう見せていくかが肝だったので、ひとつのシーンを撮り終わったら次のシーンをどうするか、ずっと監督やメンバーと相談していましたね。

橋本 1つだけ覚えているのが、邪魚隊メンバーで都市伝説の話をしたことかな(笑)

佐藤 そんな話してたっけ?

橋本 最初は(小柳)心さんと(廣瀬)智紀くんと3人で話してて、あとから流司が来たんだよね。都市伝説の話と、なんか雑学みたいな話をしてた。

佐藤 あ、雑学は話してた! サバを読むの由来とかね。

橋本 そうそう! 都市伝説は、心さんが何かすごく面白い話をしていたはずなんだけど…内容は思い出せないです(笑)

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――それくらい、スケジュールが詰まっていたんでしょうね。本作は時代劇×ミュージカルのかけ合わせも面白いところかと思いますが、それをどのようなところで実感されていますか。

佐藤 割と音楽がオルタナティブなんですよね。時代劇だから和の音で統一しようみたいな感じではないんですよ。歌詞に英語も割と入っていますし。この作品自体がそうなんですけど、型にはまっていない感じなので、俺らキャストはもちろん、スタッフさんや監督なども含めて、全員がやりたいことをぶち込みまくってるんですよね(笑)。型破りで、誰一人囚われていないのが魅力だと思います。

橋本 それが邪魚隊だよね。音楽があることで、江戸の町の雰囲気がより華やかになったような印象は受けましたけど、そこからさらに、どんどん垣根を越えていくような感じがして、とても面白いんです。


――佐藤さんは、邪魚隊のリーダーでスリ師の鱗蔵、橋本さんは邪魚隊メンバーで拷問仕掛けの天才・スルメを演じられます。それぞれの役を演じる際に、意識していることや大切にしていることはどんなことでしょうか。

佐藤 俺はとにかく所作をきれいにしないことを意識しています。やっぱり死刑囚なので、なるべくちゃんとした人に見えないようにしたくて。舞台からは平馬(演・阿久津仁愛)が仲間に増えるんですが、平馬は逆にちゃんとしている人なので、その対比が良く見えるように、ちゃんと汚い感じを出せるようにやっています。

橋本 映画から舞台をやるにあたって、役の掘り下げ方がすごく変わったように思います。スルメってこうだったのか、という発見がたくさんあるんですね。舞台でスルメは過去と向き合うような、重要な役どころを頂いているんです。その中で、すごくいい奴なのかな、と思ってしまいそうになるんですけど…やっぱり死刑囚なので。そこを失わないようにしていきたいですね。まだ舞台までには少し時間があるので、これまでのものを崩しながら、再構築していっているような感覚です。

佐藤 本当にスクラップ&ビルドの毎日です。役者だけじゃなく、脚本家の方やカンパニーのみんなが納得できる作品じゃないと。そんな失礼なものをお客様にお見せすることはできませんから。最後まで妥協なく、一丸となってやっている最中です。その上で、今回の舞台はスルメをどう着地させるかが物語のカギになっていて、スルメ次第で物語の満足度が大きく変わってしまうと思うんです。スルメで泣けないと、もう無理ですから(笑)。でもそれは、祥平くん1人がめちゃくちゃ頑張る、という話でもなくて、周りがどう引き立たせるかとか、我々もめちゃくちゃ頑張らなきゃいけない。

橋本 そういう役をいただけたことは、とてもありがたく感じていますし、すごく嬉しいです。ただ、本当に重要な役なので、地道な作業かも知れないですが、最初から最後まで、1本の筋を通せるように、自分の中で引っ掛かりが無いように作っていきたいと思います。


――映画も多くの方に楽しんでいただけたかともいますが、舞台ならではの楽しみはどのようなところにあると思いますか。

佐藤 やっぱり、音楽や歌唱の臨場感っていうものは、生が一番だと思うんですよ。みなさんがアーティストの音楽を聴く時もそうだと思うんですけど、CDやサブスクなどの音源で聴くことももちろん大好きなんですけど、ライブに行ったときの感動もすごいですよね。それと同じで、ミュージカルとして、生の舞台で歌唱する熱量、その魂を直で受け取っていただきたいです。

橋本 舞台は生ものですから。芝居を変えようと思っていなくても、その日のちょっとした体調や会場のみなさんの雰囲気などで、すごく微妙な変化があるものなんです。そこを楽しめるのも舞台だと思います。あと、日替わりになるパートもあるので、その日だけのステージがあると思っています。そういうお客様の呼吸を感じられるところも、舞台の魅力だと思いますね。


――稽古などまさに忙しい最中だと思いますが、長丁場を乗り切るために大切にしている習慣などはありますか?

橋本 自分のことじゃないんですけど、流司くんはめちゃくちゃ飯食ってますよね。

佐藤 夏だからね、こうエネルギーをね…ってめちゃくちゃ堕落してるみたいじゃん! いっぱい食べるのは舞台だからに限らず、いつもです(笑)

橋本 あと今回で流司くんがハムをめちゃくちゃ食べてるのを知りました。毎日食べてるよね。

佐藤 そう、そういう話しようよ(笑)

橋本 それも1枚ずつ食べるんじゃなくて、何枚か重なっているのを一気に食べてるんだよね。

佐藤 その大人食いが一番好き! 子どもの頃は1枚ずつだったから、一気に食べたかったんですよ。それに、ハムは糖質と脂質が低くて、タンパク質を摂れるんですよね。

橋本 それを聞いて、僕も最近は冷蔵庫にハムが入っています。

佐藤 自炊するときは鶏肉とかもよく食べるんですけど、それだけだと飽きてくるし、ハムはコンビニでも買えて気軽なんですよね。あとは、トマトジュースと豆乳を1日おきに、交互に飲んでます。なんとなく、体によさそうな気がしてるだけなんですけどね。食事も3食きちんと食べる方です。

橋本 僕はダメなんですよね。特に、稽古場に入ってしまうと、1日2食になっちゃうんです。別に痩せたいとか、絞ってるとかじゃないんですけど、稽古場では炭酸水でしのいでしまってて…。家の冷蔵庫だけじゃなく、稽古場にもハムを取り入れようかな。


――稽古や舞台本番は体力勝負かと思いますので、しっかりと栄養をとって頑張ってください。最後に、公演を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします!

橋本 まずは映画でたくさん舞台挨拶をさせていただいて、最後は大ヒット御礼でご挨拶もさせていただくことができました。それだけ、この作品への注目度があるということで、より引き締まった気持ちになりました。改めて、稽古に励みたいと思いますし、とにかく楽しい作品をお届けするために、初日に向けて頑張っていきたいと思います! ぜひ楽しみにしていてください!

佐藤 これまでも観に来てくださったお客様に、自分の身を削るような、命や魂を削るように死に物狂いでやっている姿が好きです、と言っていただくことがあったんですが、今回の作品はまさにそういう作品です。本当に死に物狂いな役柄になっていますし、全力でカンパニーの長をやるつもりでいます。ぜひ、劇場にお越しいただけると嬉しいです。

 

取材・文:宮崎新之

◆佐藤流司
ヘアメイク:橋本紗希
スタイリスト:吉田ナオキ

◆橋本祥平
ヘアメイク:遠田ひとみ
スタイリスト:ヨシダミホ