佐藤二朗12年ぶりの書き下ろし新作戯曲『そのいのち』│宮沢りえ&佐藤二朗のコメントが到着!

2024.09.03

©「そのいのち」実行委員会

佐藤二朗がミュージシャンの中村佳穂の楽曲「そのいのち」(2018)にインスパイアされ執筆した新作戯曲『そのいのち』。宮沢りえ主演、佐藤二朗12年ぶりの新作書き下ろしとなる今作が、11月9日(土)より東京・世田谷パブリックシアター公演を皮切りに、兵庫・宮城と巡演される。相馬花役(Wキャスト)には佳山明と上甲にか。また、その他出演者に鈴木福の弟で、ドラマやバラエティなど益々活躍の場を広げる鈴木楽や今藤洋子、本間剛と佐藤二朗が信頼を置く実力派が揃った。

8月某日、その公演に先駆けて製作発表会見が開かれ、佐藤二朗と彼とは舞台初共演となる宮沢りえが登壇し、以下のとおり本作の見どころや本作に懸ける意気込みを語った。

宮沢りえ コメント

脚本をいただいて、最初はわくわくして読み始めましたが、あるシーンで鳥肌が立つほど心を動かされました。その瞬間にこの作品に参加したいという気持ちが湧き上がりました。難しいテーマではありますが、二朗さんが書いたメッセージを伝えたいという情熱と信頼さえあれば問題ないと思っています。佐藤二朗さんは、人間としてのユーモアと情熱にあふれた人です。
今回は身体の不自由なお二人が出演されますが、彼女たちが自由な気持ちで、肉体的にも負荷のないよう、一緒に良いお芝居を作っていけたらと思います。「健常者」と「障がい者」とはなんなのか、今疑問が湧いていて。健常者として、身体が自由でも心が不自由な事もあるかもしれない。お二人と作品をつくることで少しでもその疑問が明確になって、沢山の気付きもあると思います。
観に来ていただいた方には、私が衝撃を受けたシーンを劇場で味わっていただきたいです。自分にとって愛する人、愛した人のことを考えると、心に問いかけるテーマになっています。誠実に取り組んで、観に来てくださった方に忘れられない時間だと思っていただけるようがんばります!

佐藤二朗 コメント

鍼がなぜ腰痛や肩凝りに効くかというと、あえて付けた傷を補おうとして血の流れが良くなるからなんです。それが「生きる」ことなんじゃないかと思います。負を力に変えることこそが、生きること。それを祈るように信じています。(脚本を書く時)パブリックイメージと真逆のものを書くのはなぜ?とよく聞かれるけれど(笑)、僕にとっての生きることを、心血を注いで書きたいと思うんです。
障がいがあるお二人をオファーしたのも、負が力に変わることをこの目で見たかったから。ハンディキャップを持つ方が舞台に立つハードルの高さは承知の上で、乗り超える価値のある山だと考えています。座組一丸となってこの山に立ち向かいたいです。
りえちゃんに思い切って脚本を渡してみたら、「楽しみです」と言ってくれて、これはあるかもしれない!と思って。酔っ払って長文のメールも送りました(笑)。最後に「そそられます」と、同業者としてとても嬉しいことを言ってくれたので、この俳優は信用できるなと思いました。宮沢りえという大きな存在と一緒にやれるのが楽しみです。

あらすじ

マンションのキッチンで煙草を吹かす至って平凡な女性、山田里見(56歳)。彼女は介護ヘルパーである。新たな雇い主である相馬花(24歳)は障がいを持っている。花は動物ライターの夫・和清(45歳)とペットのウサギ「スケキヨ」と一緒に暮らしていた。

要介助の妻と歳の差夫の関係はどこか奇妙ながらも幸せそうに見えた。

ある日、花の母・瑠依(44歳)とその再婚相手の悟(42歳)、息子の圭祐(10歳)が訪ねてくる。上辺は取り繕っていても実の親からも、世間からも見放されている花にシンパシーを感じていく里見。優しい時間の中で、花も徐々に里見や和清に自分の気持ちを吐露していく。しかしある出来事をきっかけに、穏やかだった3人の関係が徐々に狂い始めていく。そしてその先にあった驚愕の秘密…。浮かび上がる「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」。それを前にした時に、3人が選んだ衝撃の結末とは…。