
歌舞伎『刀剣乱舞』待望の第2弾上演決定!
人気ゲームを原作とする歌舞伎『刀剣乱舞』の新作が上演される。本作は2023年7月に上演し大きな反響を得た1作目『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』の第2弾。前作に引き続き主演と演出を勤める尾上松也は、シリーズとして継続できることへの喜びをこう語る。
「第1弾を上演しているときから、1回で終わらせずに継続していきたいという思いがありましたので、その気持ちが通じたことは本当に嬉しかったです。立ち上げの際にはいろいろなことをゼロから考えなければならなかったのですが、自分が好きなことをやらせていただいたので、大変だという感覚はなく、むしろ楽しかったです。ですが、それをお客様に受け入れていただけるのかと、観ていただくことへのプレッシャー、その気持ちの方が大変でしたが、初日からとても盛り上がり、あるシーンでは拍手が鳴りやまず…。そのときの思いはもう、何物にも代えがたいものでした」
歌舞伎らしい見た目にもギリギリまでこだわり抜いた、松也演じる三日月宗近。原作を大切にしながらも、歌舞伎ならではの表現を見せられたと自負する。
「まず演じる上で、刀剣男士は人ではなく付喪神なので、その雰囲気を醸し出すような空気感で居なければならないと思いました。性格はおっとりとしながらも冷静沈着に物事を見ている部分は守りながらも歌舞伎バージョンではとても情感に溢れています。非人間的な雰囲気を醸しながら、その感覚を見せるというのは難しいところですが、歌舞伎でしか見ることのできない三日月宗近になっていると思っています」
今回の物語の舞台は鎌倉時代。そして、松也は三日月宗近だけではなく、刀剣男士たちと敵対する歌舞伎オリジナルの悪役も演じるという。
「第1弾を上演しているときには第2弾の構想は浮かんでいまして、『髭切』『膝丸』をメインに扱えるようなミッションや出来事を物語にできたら、と考えていました。そして今回は、鎌倉時代の源実朝暗殺事件を舞台に、悪役が登場します。彼らが歴史を変えようとしてくるところを、刀剣男士が阻止する形になっています。作品の構成において、まずは善と悪が明確になるようにと、脚本の松岡亮さんとも相談をしています。早替りなど歌舞伎らしい演出も取り入れ、見どころをたくさん作っていく予定です」
『刀剣乱舞』としての魅力、歌舞伎としての魅力の両方を存分に表現するために演出面でも数々の進化を図った本作。特に今回は舞踊シーンを増やし、多くのファンの期待に応える作品に仕上げていく。
「イメージとしては『刀剣乱舞』としての物語やミッションを終えて、歌舞伎の本丸に戻ってきたところでそれぞれの生い立ちなのか、四季折々なのか、それぞれの表現で各チームやグループで踊って、最終的に全員で踊るようなメインテーマを作りたいと考えています。演出においても、作品にとって何が効果的なのかを見極めて、自分のこだわりは持ちつつも、新しいアイデアに対してベストな選択をできるように心がけています。そして歌舞伎の演出技法、技術、決まりごとをどう表現していくかはとても重要。定義はないものですので、難しい部分でもあるんです。歌舞伎としての強みでもありますし、歌舞伎で表現するとこうなるんだ、というものを押し出していかなければ、僕らがやらせていただく意味はないと思って作っています。ぜひ期待していただきたいです」
インタビュー・文/宮崎新之
Photo/篠塚ようこ
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※構成/月刊ローチケ編集部 5月15日号より転載
※写真は誌面と異なります

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【プロフィール】
尾上松也
■オノエ マツヤ
5歳で二代目尾上松也として初舞台。歌舞伎俳優、俳優として歌舞伎のみならず数多くの話題作に出演する。