「乙組はビジュアルが一番の魅力です(笑)」劇団4ドル50セント 福島雪菜インタビュー

6月30日(土)より、甲組、乙組、丙組の3チームに分かれて、週末定期公演を実施する劇団4ドル50セント。ヒットメーカー・秋元 康プロデュースのもと、衝撃のデビューを飾った劇団員たちにとって試金石となる公演だ。そこで今回は、乙組を代表して福島雪菜にインタビュー。情熱が武器の同劇団の中では変わり種とも言える、ちょっぴり不思議な彼女の魅力に迫る。

 

オーディションに合格したときは、周りが可愛い子ばかりで圧倒されました(笑)

――福島さんのこれまでの歩みを教えてください。

福島「この世界に入ったのは小学6年のとき。エイベックス主催のモデルオーディションでグランプリをいただいて、それがきっかけで雑誌の専属モデルのお仕事をいただいたんです。それからずっとモデルを続けていたんですけど、高校3年生のときに劇団4ドル50セントのオーディションの話を聞いて。ちょう進路についていろいろ考えていた時期で。このままモデルを続けていくには身長が足りないし、どうしようと迷っていたんですね。それで、とにかく何かチャレンジしたいなと思って応募したのがきっかけでした」

 

――それまでお芝居の経験は?

福島「ちょっとだけお仕事でやらせていただいたこともあったんですけど、そこまで本格的にっていうわけじゃなかったので、オーディションのときは大変でした。私、歌もダンスも苦手で……。最終オーディションの歌唱審査は、直前まで歌詞が飛んじゃうくらいドキドキしていました(笑)」

 

――それが見事に合格されて。

福島「もう周りが可愛い子しかいなくて。それを見て完全に圧倒されていました(笑)」

 

――旗揚げ公演の『新しき国』では劇団内のオーディションを勝ち抜き、準主役の女子高生役を射止めました。当時の印象的なエピソードを聞かせてください。

福島「どんなお話でも主役はいて、台本上はその主役の子のストーリーがメインで描かれているじゃないですか。でも勘違いしちゃいけないのは、たとえ台本に数ページしか登場しないような小さな役でも一人ひとりにストーリーがあって、そのいくつものストーリーが重なり合って、ひとつの大きなストーリーができるんだよって、演出の丸尾(丸一郎)さんから言ってて。それがすごく印象的でした」

 

――いい言葉ですね。

福島「じゃあそのために演じる私たちはどうすればいいのか考えて。丸尾さんからはそれぞれの登場人物の起承転結をつけようってアドバイスをもらいました。私の役は地元を捨てて東京に行きたいと願う女の子で、最初はちょっと性格的にもやさぐれているところがあるんですけど、それが商店街の人たちと関わることで、少しずつ変化していく……という感じなんですね。頭で理解はしたんですけど、それを実際にお芝居で表現するとなると難しくて、本番直前の1週間はひたすら悩んでいました」

 

――その中で手応えを感じた瞬間は?

福島「演技の経験がほとんどなかったから、最初は役づくりというよりキャラクターをつくるみたいになっていたんですけど。丸尾さんからいろいろ教えていただく中で、約半分、自分半分みたいな感覚でいいんだと思えるようになってからは、役のことを身近に感じらるようになりました。確かに気の強い女の子だけど、単にそれだけじゃない。泣くこともあるし、笑うこともある。いろんな表情があっていいんじゃないかと気づけるようになったおかげで、気持ちが入りやすくなったし、自分と重なる部分も増えた気がします」

 

――ちなみに、本番に臨む前にルーティーンでやっていることはありますか?

福島「あります!私たちのキャッチコピーに「夢を見たけりゃ目を開けろ」というのがあるんですけど、みんなで円陣を組んだときに最年長のうえきやサトシくんがそれを叫んで、その後にキャプテンの岡田帆乃佳ちゃんが「私たちは!」って言ったら全員で「劇団4ドル50セントだ!」って続くのが、私たちの本番前の儀式。これをやると自然とみんなテンションが上がります(笑)」

福島「好きな漫画は『ろくでなしBLUES』です(笑)」

――では、ここからは福島さんのことをいろいろ教えてほしいのですが、自分の長所を挙げるとしたらどこですか?

福島「わりと自由なところ……かな(笑)。私、一人でも全然平気なんです。今、ひとり暮らしなんですけど、全然寂しいと思ったこともないし、お休みの日はふらっと一人旅とかも行けますし」

 

――一人旅はどこに?

福島「よく行くのは箱根とか日光とか鎌倉とか。私、御朱印集めが趣味なんです。だから、神社やお寺があるところはよく行きますね」

 

――趣味が渋い。糸原(美波)さんから事前に漫画好きという話も聞いています。

福島「大好きです! 好きな漫画はいっぱいあるんですけど、ひとつ挙げるとしたら『ろくでなしBLUES』とか」

 

――え?世代じゃないですよね? 『ろくでなしBLUES』の何が好きなんですか?

福島「熱いじゃないですか。それにすごい憧れて。私、小6から芸能のお仕事をしていたこともあって、あんまり友達と遊んだり部活に入ったりというのができなかったんです。だから、私自身は熱い青春の想い出というのがあんまりなくて。そういうのもあって青春ものとかヤンキーものとか読むとハマっちゃうんです。みんなただのヤンキーじゃなくて、肝が据わっているというか、筋が通っている。そこがカッコいいなって。他にも『SLAM DUNK』とか大好き! この間、新装版が出たんですけど、迷わず買いました(笑)」

 

――では、福島さんの短所も教えてください。

福島「それも自由なところかな(笑)。旅行に行くときも計画性ゼロ。急に思い立ってその日の始発に乗って出発して、天気とか何も調べないで行き先を決めるから、現地に着いたら台風直撃なんてこともありました(笑)。劇団員のみんなと買い物に行ったときも、気になるものがあるとふらっと行っちゃうので、よくはぐれます」

 

――いますね、そういう困った人(笑)。

福島「もうみんなも慣れたみたいで、「またいなくなった」くらいにしか思っていないみたいです(笑)」

 

――お話を聞いていると、劇団4ドル50セントの持つ熱とか泥臭さとはかけ離れたタイプのように見えます。

福島「よく言われます、劇団っぽくないって(笑)。でもみんなといるのは楽しいです。さっきも言った通り私は部活をしてこなかったので、こうやってみんなで集まって、何日も稽古をして、本番までにひとつのものを完成させなきゃいけないっていう経験自体がすごく新鮮で。タイムリミットがどんどん近づいているのに何一つ上手くできなくて、怒られて辛い想いをすることもあるけれど、そんなときも仲間がいるから頑張ろうって思える。すごく楽しい時間を過ごさせてもらっているなって感じています」

福島「「これが私です」っていうものをみんなに見せたい」

――ぜひそんな仲間のことを教えてください。まずは糸原さんから。

福島「明るくて優しいんですけど、芯にあるものはすごくストイック。2月の旗揚げ公演も主役だったので、きっとプレッシャーは半端なかったと思うんですけど、絶対にそれを表に出さない。そこがすごいなって思いました。あとはよく食べる(笑)。めっちゃ細いのにめっちゃ食べるので、一体どうやってあの体型を維持しているのか知りたいです(笑)」

 

――前田(悠雅)さんはいかがですか。

福島「悠雅ちゃんはしっかり者。同い年ということもあって、劇団に入った当初から何かと悠雅ちゃんに相談することが多くて。歌もすごく上手いから、レコーディングのときも「悠雅ちゃ~ん」って頼りっぱなしです(笑)」

 

――福島さん自身は引っ張るタイプではない?

福島「ないです(笑)。できないです」

 

――乙組では福島さんがみんなを引っ張るポジションなのかなと思いましたが。

福島「そんなことはないです。もし仮にそういう立場を任されたとしても、私は引っ張るというよりも、みんなに頼って、みんなに支えられることで成り立つタイプの人間だと思います」

 

――では、乙組の魅力をアピールするとしたら何を挙げたいですか?

福島「うーん。私たちもメンバー同士でその話はよくするんですけど、なかなか思いつかなくて。そしたら甲組とか丙組の子たちから「乙組はビジュアルでしょ!」と言ってもらえたので、ビジュアルを推しにしようと思います(笑)」

 

――なるほど(笑)。可愛い女の子やカッコいい男の子が好きな人は乙組に来て、と。

福島「そうですね。みんなおいで~っていう感じです(笑)」

 

――では劇団4ドル50セントとしての目標を聞かせてください。

福島「目標はもっともっとたくさんの方々に劇団を知ってもらうこと。以前、秋元さんから「日本一熱い劇団を目指すなら一人一人が味をもっと出さなきゃいけない」って言われて。役者としての表現力を上げるには、一人ひとりがいろんな経験をして、自分の味をはっきりさせていくことが必要。今はそこをひとつの目標にしてみんな頑張っているので、そうやって成長していく私たちの姿をぜひいろんな人に見てもらいたいです」

 

――福島さん自身の目標は?

福島「型にはまらず、自由に、だけど芯を持って活動していきたいなと思っています。私の憧れは、小嶋陽菜さん。今、グラビアのお仕事をさせていただいているんですけど、そこでよく小嶋さんのお話を聞くんですね。小嶋さんってすごく自己プロデュース能力が高くて、私が言うのもおこがましいんですけど、見せ方が上手。私もそんなふうに自分の長所は長所としてしっかり活かしながら、歌もダンスもお芝居も磨いて、みなさんに「これが私です」っていうものを楽しんでいただける人になりたいです」

 

取材・文/横川良明
写真/村上宗一郎

 

【プロフィール】
福島 雪菜(ふくしま・ゆきな)
1998年11月11日生まれ。大阪府出身。10年、avexキラットエンタメチャレンジコンテストでグランプリを獲得し、同年12月から雑誌『ニコ☆プチ』の専属モデルとして活動を開始。その後、オーディションを経て、劇団4ドル50セントに入団。劇団員として活動する他、18年1月、『週刊ヤングマガジン』で初グラビア&初表紙を飾る。以降、数々の雑誌でグラビアモデルとしても活躍中。