
8月です。夏本番。うだるような暑さですね。なんか今年セミあんまり鳴いてなくないです?外も暑いんですが、劇場の中も違った意味で熱いです。夏満喫!熱中症対策をしっかりしながら劇場にレッツゴーです。というわけで今月の「優先順位高めです」です。よろしくどうぞ。
俳優・尾倉ケントの優先順位高め!
はじめまして!今月からこのコーナーを担当します、役者の尾倉ケントです。
舞台(とくに小劇場)をホームにしながら、映画・ドラマ・CMなどにも出演しています。
毎月たくさん舞台を観ています!……というほどではないのですが、自分なりのおすすめポイントを伝えられたらと思っています~!どうぞよろしくお願いします!
さて8月は、夏休みど真ん中!
ということで今月は【子ども向け作品】を2本ご紹介します。
小学5年生と3年生の息子がいるので、かれこれ10年近く親子でいろんな公演を観てきました。親目線ならではのおすすめ、いってみましょう!
● 日生劇場ファミリーフェスティヴァル2025
舞台版『せかいいちのねこ』
日生劇場のファミリーフェスティヴァルは、クラシック・演劇・オペラ・ミュージカルと各ジャンルの一流がそろう夏の名物企画。どの作品もクオリティが高く、親のほうも初心者でも大丈夫。安心して楽しめます。ほんと、演劇の入り口として最高です。
舞台版『せかいいちのねこ』は、Co.山田うん+人形劇団ひとみ座という、ダンスと人形劇の夢の共演。
去年の人形劇『ムーミン谷の夏まつり』も素晴らしかったので、今年も楽しみにしています!
息子の幼稚園に、芸術鑑賞会としてひとみ座さんが来てくれたことがあります。トラック一台でやってきて、体育館をあっという間に劇場に変え、三人だけで何十という役を演じて、園児を一瞬で虜にしていきました。
ひとみ座さんの子供と触れ合う現場で身についた技術力、対応力、アドリブ力は、日生劇場でも光ってました。俳優として心からリスペクトです!パペットを使った操演者の顔が見える人形劇というスタイルも独特で、とても魅力的でした。
● ウルトラヒーローズEXPO 2025
サマーフェスティバル in 池袋・サンシャインシティ
夏はウルサマ!の合い言葉で毎年恒例のウルトラマンの祭典です。
サンシャインの展示ホールという広い会場を活かして、まず開場中は大迫力の展示を楽しみ、最後はステージでのショーという構成。
展示では、メトロン星人のちゃぶ台から、天井近くまで届く超大型怪獣まで、いろんな仕掛けが盛りだくさん。
ショーでは、劇場にはない広さと天井の高さを活かして、バルーン型の巨大な怪獣が登場したり、花道はもちろん、あらゆる通路をウルトラ兄弟たちが駆け回る殺陣が圧巻です。
劇場ではないので客席に段差はあまりないですが(子ども用の座布団はあります)、
両足に片方ずつ息子を乗せて観劇したのも、今ではいい思い出になっています。
● ろりえ 2025年新作本公演
『ろりえの暴力』@新宿シアタートップス
最後に、自分の出演舞台の紹介もさせてください!
常連で出演している劇団「ろりえ」の新作公演です。
ろりえは、ハチャメチャでハイパワーなコメディを基調に、ときどき切なさを交えた絶妙なバランスが特徴の劇団。
難しいことは何もありません。頭をカラッポにして楽しんでいただければ最高です!
今回は、「暴力に歌の力で対抗する」……マクロス7みたいな話です(笑)。
古今東西いろんなギャル、ギャル男が登場予定!
チケット代も“情熱価格”となので、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです!
尾倉ケント
俳優。ホエイ、ろりえ、小松台東、ポツドール、ブス会*、大河ドラマ「光る君へ」など。
★次回出演
・ろりえ「ろりえの暴力」2025年8月27日(水)〜9月7日(日) @新宿シアタートップス
・NHK 特集オーディオドラマ「おやすみ、サマークエスト」(2025年8月16日(土)22:00〜NHK-FM)
X(旧:Twitter):@0gura_kento
俳優・田代明の優先順位高め!
「最近ほんと暑いね~」以外の会話の出だしを探しに行きませんか。
どうもこんにちは田代明です。
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』
まだ観たことない方、いらっしゃれば、もう、今年こそは絶対見に行きましょう!!
かくいう私も初演ぶりの観劇予定ではありますが…今年は初演の劇場、シアタークリエでの”凱旋公演”とも言えるような年。お芝居にも注目して観劇したいこちらの作品にとって、シアタークリエのキャパで観るのはぴったりなんじゃないかなと、個人的には思っております。
今年は、キャストの組み合わせが4チームある特徴的な形態での上演。
日本人にも馴染み深い「君の瞳に恋してる」等、あ!どこかで聞いた事ある!となるような曲も沢山出てくる今作は、フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの、音楽に魅せられ翻弄させられ、そして音楽と共に生きた人々の実話に基づいた物語です。
ミュージカル『えんとつ町のプペル』
製作総指揮の西野亮廣さんのラジオを聴いていて、全公演3万席が公演前にほぼ完売している事、広告費のほとんどをYouTubeにあてたというようなお話し、役者に稽古手当が必ず出る事を話していて、日本における新しいミュージカル界の在り方を体現している方だなぁと感じました。
チケットはもうほぼ完売しているので観に行くのは難しいかなぁと思っているので、配信チケットの購入を検討中です。
ニューヨークでのIndustry Presentationを行ったり、ブロードウェイ作品『オセロ』の共同プロデューサーとして海外への進出もなさっている西野さんの渾身の一作、観に行ける方羨ましい!
『レ・ミゼラブル ワールドツアースペクタキュラー』
日本カンパニーの公演も、先々月の6月で大千穐楽を終えた、レ・ミゼラブル。
演出とスケールをグレードアップさせ、特別なセット・デザインを新たに採用し、総勢65名以上のキャストとオーケストラによる特別ヴァージョンでの公演だそうです。
長年愛されるこの音楽を、壮大なスケールで贅沢に聴ける空間、身体の芯から感動する体験をしに劇場に向かいたいと思います。
とはいえやっぱり暑い日々、熱中症にはお気をつけて、みなさま今月も良き観劇ライフを!
田代明
俳優・歌手
北海道札幌市出身。東京藝術大学声楽科卒業。
X(旧:Twitter):@akkarindays
公式Instagram:@akkarindays
俳優・佐久間麻由の優先順位高め!
8月!うだるような暑さの中、「あつーい、あつーい」と毎日同じことを発する自分にやんなっちゃう日々を送ってます。もっと生活にボキャブラリーを…!と反省。よし、ならば、まずはインプット!というわけで、8月の私的優先順位高め、宜しければご覧くださいまし!
宝石のエメラルド座『ライバルは自分自身ANNEX』
大好き大尊敬のブルー&スカイさんの新作!とってもとーっても楽しみです。キャストもワックワクな方たちが勢揃いで、私的夢のようです。先日、とある劇場で折り込まれてたチラシも素敵で、お手紙手渡されたときのような喜びが心に湧き起こって、すごいなぁって感動しました。わくわく。
『きみは一生だれかのバーター』
コンプソンズの金子鈴幸さんが初のプロデュース公演に挑む。さらに新作書き下ろし!タイトルにぞわぞわしますね。人は、比べちゃうし比べられちゃうし。観劇後には、どんな気持ちになれるかなぁってとっても楽しみです。
かもめんたる×劇団かもめんたるライブ『でっかい部屋』
今年もやる!かもめんたる×劇団かもめんたるライブ!う大さん、先日『ダブルインパクト』に出ていたばかりで、新たに書き下ろしのコント・漫才をお届けって、ほんとどうかしてますね(褒め)!どんなに世界が変わってしまっても、かもめんたるワールドは、無くなってほしくないです…。
OCOON PRODUCTION 2025 Bunkamura オフィシャルサプライヤースペシャル
『シブヤデマチマショウ』
松尾スズキさんの演劇の学び場、「コクーン アクターズ スタジオ」の第1期生11人が、松尾さんと共に新ユニット「ブルードラゴン」を結成と!なんて素敵な成り立ち。内容は、松尾さんの過去(短編)作や、ミュージカルナンバーなどなど盛り込んだエンターテインメントショウとのことで、果たして一体、何が観れるんだろうと、わくわくしたまま劇場に足を運べるのも生ものの醍醐味!
そして、わたくしごとですが、劇団papercraftさんの『旧体』に出演させていただきます。海路さんを通して紡いでいく世界の中から、わたしたちはわたしたちの生活に何を落とし込めるのかなぁとたくさん考えながらのお稽古の日々。丁寧に、繊細に、みなさまにお届けできればと思っております。劇場は、KAAT神奈川芸術劇場!やったね。横浜中華街のそばで会いましょう。
以上、8月分でした!うだるような暑さに打ち勝つ作品に、出逢いましょうぞ。それではまた9月に!
佐久間麻由
俳優・企画制作。劇団「スリーピルバーグス」所属。企画ソロユニット「爍綽と」主宰。出演作品:劇団papercraft『旧体』 2025年8月29日(金)〜9月3日(水) @KAAT神奈川芸劇劇場 大スタジオ、スリーピルバーグス『歌唱劇 パラダイスをくちずさむ』2025年9月19日(金)〜9月21日(日)@兵庫県豊岡市 竹野浜特設ステージ
X(旧:Twitter):@mamamayuuuu
Instagram:@mayusakuma221
公式サイト:https://www.lespros.co.jp/artists/mayu-sakuma/
脚本家/演出家/俳優・滑川喬樹の優先順位高め!
あっという間に8月。今年ももう後半戦ですね。なんだか気候が大変で大変ですが暑さ対策して劇場に行けたら行って下さい。では8月の優先順位です。
かるがも団地『意味なしサチコ、三度目の朝』
昨年MITAKA “Next” Selectionにも選出されてた「かるがも団地」。2度ほど配信で拝見してますが、役者さんたちの魅力がふんだんに味わえる素敵な物語と数々の演出の技で最後まで楽しかったのを覚えています。今回も素敵な役者さんが多数出演しているので非常に楽しみにしています。
岡本セキユ☆シングル芝居 『ワイルド蛍をつかまえろ』
岡本セキユさんが作・演出も手がけている一人芝居。とてもワクワクさせるタイトル。岡本さんの作る短歌をわずかですけど拝見し、言葉の感覚が非常に優れている方だなと感心しました。なのでどんなセリフが聞けるのかとても楽しみです。アフタートークのゲストも豪華。
MITAKA “Next” Selection いいへんじ『われわれなりのロマンティック』
名前はよく耳にしていてとっても興味あるけどまだ拝見できてない団体さん。今回はクワロマンティックという「他者に抱く好意が恋愛感情か友情か判断できない/しない恋愛的指向」について描かれるようです。私も全然知らなかった言葉。ステレオタイプに捉われない自由で伸びやかな表現が観れるのではと思って優先順位高めです。こういう新しい概念に挑んでいく姿は憧れます。
オムニバスコント 実弾生活24『空腹のパビリン』
スタンダップコメディを定期的に行っているコメディアンのインコさんが主宰するオムニバスコント公演「実弾生活」。俳優としてのインコさんを何度か拝見してますが、あの脱力したような独特の存在感は居るだけでどこかおかしく、話すとまた面白いんです。そんなインコさんが作るコントが駅前劇場で見れます。気になる方は是非チェックを。
藤田貴大・原田郁子・青柳いづみ リーディングライブ『koe oto note』
非常に心躍る名前の並びです。キチムというあの決して大きくないスペースで、おそらくかなり近い距離でこの公演が観れるというだけで結構贅沢な公演なのかもしれません。吉祥寺だし。原田郁子の音楽をキチムに聞きにいきましょう。
排気口『ウルトラマリンたち』、ヨーロッパ企画 イエティ『WHO CARES-大歳を王とし 三択クイズロワイヤル ザ・ステージ-』なども面白そうで観たいですが観に行けるかどうか。是非ご参考にしてください。
滑川喬樹
脚本家・演出家・役者。
「エトエ」主宰。
X(旧:Twitter):@nametakaki
エトエ公式HP:https://etoe.amebaownd.com/
脚本家/演出家・海路の優先順位高め!
海路です。みろって読みます。
今月末からの公演に向けて、稽古真っ只中です。台本、電子派か紙派かで結構分かれる気がするのですが、圧倒的紙派ゆえ、鞄が引き裂かれそうに日々なってます。
てなてなことで、8月の優先順位高めな作品はこちら!!
◯音楽劇『くるみ割り人形外伝』
2023年夏にKAAT神奈川芸術劇場にてキッズ・プログラムとして上演され高い評価を受けた本作が、待望再演とのことで、まず実直に超楽しみです。というのも、作・演出を務める根本宗子さんが「これは死ぬまで再演し続けたいね!!」と語るのも納得の圧倒的世界観、なのに大人から子供まで、子供から大人まで楽しめるという、近年の子供向け公演の中でも頭一つ抜けてるな、と感じる演目です。根本さんと何度もコラボしている、チャラン・ポ・ランタンの小春さんの音楽がまたいい。観た方は、大人になるにつれてどこかに置いてきてしまった心と、楽しいんだけどどこかノスタルジーを感じさせる観劇体験になるのでは、なんて思ってます。是非親子で劇場に!
◯八月納涼歌舞伎『野田版 研辰の討たれ』
今月は三部制の歌舞伎座ですが、個人的には第三部が絶対に見逃せない!本作は、野田版歌舞伎の第一弾として製作され、再演含め20年ぶりの上演となる野田秀樹さん脚本・演出の歌舞伎屈指の人気演目です。過去、十八世中村勘三郎さんが務めた守山辰次を、息子である中村勘九郎さんが初役で演じるなど、見所満載。歌舞伎の世界に、野田地図の血が混ざった時、どんな世界がそこにはあるのか、是非歌舞伎座で目撃下さい!
◯劇団papercraft第12回公演『旧体』
そして、わたくし海路が主宰、作・演出を務める劇団papercraftの新作公演『旧体』。得た情報全てを記憶する全能へと人間が進化していく世界のお話です。出演者には、土村芳さん、尾上寛之さん、そして優先順位高めですでもお世話になっている佐久間麻由さんなど、この顔ぶれだけでワクワクする!実際現在稽古しておりますが、これはとんでもない。我ながら贅沢過ぎる。劇場も、話題の公演を常に上演しているKAAT神奈川芸術劇場大スタジオ。これを観なきゃ、この夏終われない!皆ぜひ!!
他にも、マームとジプシーの藤田貴大さん作・演出の『めにみえない みみにしたい』など、夏休みだからこその子供向け演目も多く上演されてるので、是非親子で劇場へ、最高の夏休みをお過ごし下さい!
海路
脚本家。演出家。監督。
劇団papercraft主宰。アミューズ所属。『檸檬』にて第29回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
1999年7月20日生まれ。
X(旧:Twitter):@nonde_miro
脚本家/演出家・萩田頌豊与の優先順位高め!
8月だ!夏休みだ!ローソン演劇部だ!夏休みだ!皆様!
8月がローソンチケット演劇部のオススメ演劇を紹介します。
皆様にとって最高の夏になることをローソンチケット演劇部および営業部ならび営業部長は祈ってます。
以下お勧め!
・排気口『ウルトラマリンたち』
コロナで中止になったOFFOFFリベンジ公演。
初下北沢進出になる今作は引きこもりと母の物語。
どうしようもない人間達が向かう、どうしようもない未来を描かせたら西荻窪1だと思います。
最高の哀愁を下北沢で感じに行きましょう。是非に。おすすめ!
・浅草九劇『きみは一生だれかのバーター』
金子鈴幸の脚本演出のコンプソンズではない外部公演。
面白そう。外部公演って格好いいですよね。外部公演で金子がコンプソンズでは出来ないことをやる瞬間を目撃しに行きましょう。そう言う楽しみが外部公演にはある。是非におすすめ!!
・いいへんじ『われわれなりのロマンティック』
まずタイトル良すぎます。いいタイトル。われわれなり、というどこか不器用な感じが凄く惹き付けられる。その後に続く単語として、ロマンティックで落とすのもいい。組み合わせとして完璧。
今年の三鷹。どうか宜しくお願い致します。かなりのおすすめです。
・あんよはじょうず『鶏の首から上』
あんよ新作はロングラン。
いいなあ、ロングラン。演劇長くやれるの幸せだと思います。体調だけ、どうか皆様ご自愛ください。
増山さんが遂にあんよはじょうず、初出演。本当におめでとうございます。ずっと出演したいとおっしゃっていたので、嬉しい限りです。超絶技巧演劇を是非に。おすすめ!
・アナログスイッチ『伊能忠敬、計り間違えた恋の距離』
完璧で綺麗で美しいコメディです。笑いの組み立てがうまくて、泣けて、物語も綺麗で、本当にすごいです。是非におすすめです!
以上です!
哀愁のサザンを聴きながら浜辺で座り、恋の思い出を思い返す季節こと9月に、お会いしましょう。
萩田頌豊与
脚本家。演出家。
日本で最もチケットの取れる劇団『東京にこにこちゃん』主宰。
1991年1月4日生まれ。
身長193cm
体重110kg
X(旧:Twitter):@CollinesBar
公式HP:東京にこにこちゃん 公式サイト
ライター・井ノ口裕子の優先順位高め!
連日の猛暑で疲労する心身にパワーを与えてくれる舞台。
今月もご紹介いたしますね☆
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』
1960年代に一世を風靡したアメリカのポピュラーシンガー、フランキー・ヴァリと彼がリードボーカルを務めたザ・フォー・シーズンズの実話に基づいた感動ストーリー。俳優たちによって再現される、『シェリー』『君の瞳に恋してる』などのヒットナンバーの数々は必見です。主要キャスト4人を4チーム編成で上演するのも特徴。おススメは、主人公フランキーを中川晃教さんが演じるTeam BLAKC。中川さんの素晴らしいファルセットの歌声は感動ものです。Da-iCEの花村想太さんがフランキー役のTeam GREENも楽しみです。
KOKAMI@network vol.21
『サヨナラソング-帰ってきた鶴-』
鴻上尚史氏が作・演出を手掛けるオリジナルストーリー。「生きのびること」をテーマとして、日本の民話「鶴女房」のその後の世界と、ある家族を中心とした現実の世界が交錯しながら展開されていく物語というのに興味を惹かれました。メインキャストの4人、小関裕太さん、臼田あさ美さん、太田基裕さん、安西健太郎さんが、現代と物語世界の人物二役をそれぞれどう演じるのかも見どころ。
赤堀雅秋プロデュース
『震度3』
独自の眼差しで捉えた日常の些細な物語の中で、人間を生々しく、独特のユーモアを交えて描く、赤堀雅秋氏作・演出の新作です。主演は赤堀作品の常連、荒川良々さん。共演は、赤堀作品2度めで小劇場の舞台に初めて立つ丸山隆平さんと赤堀作品初出演の上白石萌歌さん。出演者のイメージを覆すような「見たことのない役」を引き出すことに定評がある赤堀演出で、上白石さんがどのように化けるのか期待しています。
つかこうへい戦後80年に問う 革命ミュージカル「新・幕末純情伝」
つかこうへい演出の『幕末純情伝 黄金マイクの謎』を初めて観たときの衝撃は今も忘れられません。沖田総司は女性だったという設定で幕末の騒乱期、沖田と土方歳三や坂本龍馬との恋愛模様が繰り広げられるストーリーがとにかく面白かった。久々に『幕末純情伝』の世界を堪能できるのをワクワクしています。
今月のおススメ2.5次元作品はこの2本です。
ミュージカル『四月は君の嘘』
原作は新川直司の同名コミック。アニメ、実写映画でも大ヒットを記録した傑作のミュージカル版がキャストを一新して再演されます。音楽に引き合わされた若き音楽家の卵たちが大切な人との出会いと別れを通して才能を開花させていく、感動の青春ラブストーリー。ミュージカル界の巨匠、フランク・ワイルドホーンの楽曲も素晴らしいです。
舞台「呪術廻戦」-懐玉・玉折-
人間の負の感情から生まれた呪いと、それを呪術で祓う呪術師との闘いを描く、芥見下々原作の大ヒットコミック『呪術廻戦』舞台化第4弾。今作では、呪術高専の教師で最強の呪術師・五条悟と、最悪の呪詛師・夏油傑の高専時代の2人の青春が描かれます。初演から続投する五城役の三浦涼介さんと夏油役の藤田玲さんの息の合った芝居にも注目です。
井ノ口裕子
エンタメ系雑誌の編集者を経て、フリーライター&編集者に。観劇の入り口は中学生のときの宝塚で、それから観劇は一番の趣味。小劇場からグランドミュージカルまで、ジャンルは問わず面白そうと思ったら何でも観ます。
ライター・中川實穗の優先順位高め!
8月はやっぱ断然夏ですね! 福岡から中川實穗です。こんにちは。
今月の福岡は、こまつ座『きらめく星座』をはじめ、オアフ島で初演されニューヨークやロサンゼルスでも上演された広島平和ミュージカル『ピース・オン・ユア・ウイングス』、福岡の小中学生が参加する音楽劇『平和の鐘』、2003年から毎年上演されている『折り鶴の少女~サダコ』、八女福島文平座による『父と暮らせば』、久留米空襲を題材にした『青色と灰色の境界線-Inherit the heart -』など、戦争にまつわる公演が多く上演されます。
唐人町商店街で創立25周年を迎えた甘棠館Show劇場では、この劇場を拠点とする創立30周年の劇団ショーマンシップの公演『八兵衛地蔵のお話~未来へ~』と、劇場プロデュース公演『滑落、我ら大八食産登山部』が上演される熱量の高さにも注目。特に『滑落、我ら大八食産登山部』の紹介文は熱く、「北九州の演劇文化を牽引してきた【飛ぶ劇場】の作・演出 泊篤志と、福岡から全国に向けて作品を発信している【万能グローブ ガラパゴスダイナモス】の作・演出 川口大樹、そして演劇に軸足を置いて活動してきた“40歳以上、又はキャリア15年以上の実力のあるキャスト”を中心に企画された、良質な創作悲喜劇を制作する『演劇人の手によるTHE演劇』です」(公式サイトより一部抜粋)と。これは夏より熱いかもしれん。
もちろん若手や新しい劇団も熱いですよ。個人名だけど一人芝居じゃない、だけど台本はない、演劇ならではの体験を生み出すことに取り組む加茂慶太郎『ちょうどいい入り口』や、座LILEON座(ザリレオンザ)の旗揚げ公演『ビミガ・バリデ・グー!』も注目しています。
熱さつながりで言えば、歌舞伎『刀剣乱舞』と舞台『刀剣乱舞』が同時期に上演されるのも「よきかなよきかな」です。はしごしたらかなり楽しそう。
夏休みということで、北九州芸術劇場で上演される、ステージの上にテントをたて、その中で上演するアロフト・サーカス・アーツ『ブレイブ・スペース』も体験してみたい!
中川實穗
ライター。日本の戯曲が多めですが、ジャンル問わずに観ます!
X(旧:Twitter):@miho_sgt
ライター・吉永美和子の優先順位高め!
台湾旅行の次は四国旅行に行ってきた吉永です。しかしいろんな資料を持ち込み&書き物をしていたため、気分はほとんどワーケーションでした。高知のカツオのたたきと香川の骨付鶏はめちゃくちゃ美味しかったなー。
○8/1(金)~8/3(日) 男肉 du Soleil『悲劇EXPO2025~ハムレットVSマクベスVSオセローVSリア王~』@布施PEベースほか
歌って踊って地球を救うために戦って、その果てに死んでは生き返るという、少年漫画の読み過ぎのような世界を懲りずに作り続けたダンスカンパニーも、いつの間にか結成20年! その記念公演に相応しく、シェイクスピアの4大戯曲を全部盛りした、贅沢なのか無謀なのかわからない舞台を決行する。しかし男肉メンバーはこう見えて、大学で演劇&ダンスを真面目に学んだ舞台エリートぞろい。過去にも『リア王』と『ハムレット』に挑戦し、良く言えば詩的、悪く言えばまどろっこしい世界を見事に男肉流のエンタメに仕立て上げている。今回は関西小劇場界きっての踊れる女優・佐々木ヤス子がゲストなので、ダンスも芝居部分も20周年に相応しい見応えになりそうだ。なんと大阪と東京だけでなく、名古屋や高知でもやるよ!
○8/23(土)~8/25(月) カワマツの劇『今は昔、栄養映画館 関西風』@インディペンデントシアター2nd
関西小劇場界の初期から活躍する俳優・ナレーターの川下大洋が、劇団そとばこまち時代からの盟友・松矢一平と新たに結成したユニット「カワマツペア」。その旗揚げ公演に選ばれたのは、竹内銃一郎作の不条理な二人芝居の名作だ。しかも長崎県出身の「移民」という立場から、関西の文化や言葉について長年研究してきたその総決算として、全編関西弁に翻訳して上演するとか。そして出演するのは、川下からリアルで名前をもらった「THE ROB CARLTON」の村角太洋a.k.a. ボブ・マーサム(父親が親友なんだとか)+元ROBメンバーの満腹満。ちなみに川下は出演せず、演出を担当。ただ1ステージだけ、川下&松矢が演じる回があるので、これはプレミアになりそうだ。
○8/27(水)~9/2(土) 空晴『すきだった、うた』@インディペンデントシアター1stほか
岡部尚子が作・演出を務める「空晴(からっぱれ)」ほど「ほっこりする」という言葉が似合う劇団もない。1つの場所に訳ありっぽい人々が出入りし、顔を合わせた人同士が中途半端な情報を交わし合うことで、起こらなくてもよいトラブルがどんどん起こっていくけれど、最後には本当のことがわかって「なーんだ」という感じでお開きとなる。吉本新喜劇的なドタバタに、家族や友人などの人間関係のかけがえのなさというテーマもまじったその世界は、まず観て嫌な気分になる人はいないだろう。今回は劇団初のミュージカル? に挑戦するそうで、ゲストにはバンド「赤犬」のクスミヒデオ&「関西の由紀さおり」こと日詰千栄という音楽畑or歌うまの2人が。劇団と縁の深いミュージシャン・PAHUMA a.k.a. 金佑龍が音楽担当とのことで、なかなか本格的なものになりそう。
吉永美和子
フリーランスのライター&編集者。関西の情報誌「SAVVY」や「Meets Regional」などで演劇の連載を持つ一方、映画やグルメや旅行などノンジャンルで活動中。
X(旧:Twitter):@Yoshine_A
note:yoshine_a
ライター・河野桃子の優先順位高め!
「今見逃したらもう見られないかも!」という高揚感と、「どうして私はあの作品が観られなかったのか…」という恨めしさのようなものもあるのが、形に残らない演劇の好きなところでもあるのですが。
見逃した作品、もう一度見たい作品。
そんな視点から選んだのは…
シアタートラムにてリーディング上演される『不可能の限りにおいて』。今年4月の「SHIZUOKAせかい演劇祭2025」で上演されたティアゴ・ロドリゲスの『〈不可能〉の限りで』の日本公演で、彼が赤十字国際委員会や国境なき医師団の約30人の職員へのインタビューをもとに創作した作品です。今も、この世界で、多くの人たちが理不尽で一方的な暴力にさらされています。同じ世界で、私たちは演劇を観ることでひとつの扉を開けてつながるのだとしたら…どんな未来が描けるのでしょう。
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は2016年以降、何度も上演されてきました。キャストが変わると物語まで変わるような、4名の人間模様が印象的です。ひりつくようなライブシーンと、客席や社会を乱反射させるような演出。きっとほとんどの人が耳にしたことのあるメロディが栄光と挫折の折り重なりのなかから響いてきます。クリント・イーストウッド監督による映画版とはまた違った構成によるクライマックスの描き方も好きです。
これは気になっていて見逃してしまっていた、Pカンパニー『5月35日』が3年ぶりの再演。1989年6月4日の天安門事件で息子を亡くした夫婦を今回もまた竹下景子さんと林次樹さんが演じ、松本祐子さんが演出します。この事件から立ち上がった作品は数あり、観るたびに「なにも終わっていない」「むしろ今なのだ」と思わされます。まさにこのタイトルのように。
新作からは、太平洋戦争末期の画家たちを描くタカハ劇団『帰還の虹』。恋愛感情と友情を判断できない/しないクワロマンティックのふたりとパートナーシップについて、いいへんじ『われわれなりのロマンティック』。板橋のオルタナティブスペース・サブテレニアンのプロデュース『ハムレット』『ハムレットマシーン』同時上演、などが気になります。
また戦後80周年の8月、あらためて戦争を問う作品も多いです。ぜひ1作は観たいですね。
河野桃子
ライター。翻訳戯曲と小劇場を中心に、ミュージカルやコンテンポラリーダンスなど「舞台」と名がつくものはなんでも観に行きます!
X(旧:Twitter):@momo_com
ライター・岩村美佳の優先順位高め!
酷暑の毎日、皆様どうぞ十分にご自愛ください。マチネ公演に向かう際に、いかに安全に辿り着くか探究する日々ですが、そんな暑き8月に優先して観劇したい公演です。
まずは、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』、大好きな作品の2ヶ月シアタークリエ公演が開幕します!1960年代に活躍したフランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの実話に基づいた物語を、彼らの音楽を用いて作られたブロードウェイミュージカル。2016年のシアタークリエ初演から、チーム編成、劇場、上演スタイル等、様々なドラマを観てきましたが、今年は4人のフランキー・ヴァリ、4つのチームに会えるという、10年目の奇跡。ずっと中川晃教さんしか演じることができなかったフランキー・ヴァリ役に、2022年から花村想太さんが加わり、今年は小林唯さんが加わります。そして、初演から同役の声を支え続けてきた大音智海さんが、New Generation Teamとしてついに夢を叶えるというエモさ。ずっと観続けていると、こんな夢が叶う瞬間に出会えるんですね。New Generation Team(大音さん、加藤潤一さん、石川新太さん、山野靖博さん)は1日限りの上演ですが、未来に繋がっていきますように。
そして、新たに誕生するふたつの日本オリジナルミュージカルに期待しています。ミュージカル『ある男』は、平野啓一郎さんの傑作小説の、初のミュージカル化。浦井健治さんと小池徹平さんを中心とした座組は、2015年に誕生した『デスノート THE MUSICAL』に参加していたキャスト、スタッフが多く、10年を経てキャリアを重ねた皆さんが作り出す新作。
そして、もうひとつは、ミュージカル『コレット』。フランスの文学界で最も高名な女性作家の一人、シドニー=ガブリエル・コレットを描く作品で、明日海りおさん主演。宝塚同期の七海ひろきさんとは初共演、元相手役の花乃まりあさんとの再共演、個性豊かなキャストの皆様、そして、これまでにも様々なオリジナル作品を手掛けてきているG2さんの脚本・演出と、楽しみです。
さらに、東京ガーデンシアターに箱を移してARENA LIVEとして蘇る、ミュージカル『ナイツテイル』は、東京フィルが演奏と知りテンションが上がっております。新たなキャストで再演されるミュージカル『四月は君の嘘』、宝塚で上演される雪組公演『An American in Paris(パリのアメリカ人)』も楽しみにしています!
岩村美佳
ライター。フォトグラファー・ライター。初観劇は小学生の時に観た宝塚。ミュージカルを中心に色々と観劇しています。配信観劇も存分に楽しめるようになりました。超絶猫好き。
X(旧:Twitter):@nyanyaseri
批評家・山﨑健太の優先順位高め!
7月の優先順位高めでも挙げましたが浅草九劇プロデュース『きみは一生だれかのバーター』(作・演出:金子鈴幸)がめちゃ楽しみで、テンション高く突入する8月です。
今月の優先順位高め1本目は東京都現代美術館 開館30周年記念展「日常のコレオ」。タイトルの「コレオ」はコレオグラフィー(振付)」のこと。制度や慣習、社会的規範によって規定される言動とそれらへの批評的な応答や実践の両面を持つものとしての「振付」に焦点を当てた展示には15を超える国と地域を拠点とするアーティスト約30名/組が参加しています。絵画、写真、インスタレーション、映像などの展示はもちろん、会期中にはTransfield Studioによるツアーパフォーマンスをはじめ様々なパフォーマンスやワークショップも予定されています。
2本目はサブテレニアンプロデュース『ハムレットマシーン』。古典の改作で他者への倫理を鋭く問うて来たお布団・得地弘基がついにハイナー・ミュラーのあの作品に挑戦。『ハムレット』の二次創作が現代日本でどのように再構成されるのか。得地の新たな挑戦として見逃せない公演です。
3本目はMITAKA “Next” Selection いいへんじ『われわれなりのロマンティック』(作・演出:中島梓織)。「自分が他者に抱く好意が恋愛感情か友情か判断できない/しない恋愛的指向」であるクワロマンティックの二人とその周囲の人々の悩みや関係性、そしてその変化を描くということで、これまで演劇ではなかなか描かれてこなかった人々や感情が描かれる作品になるはず。「こうでなければならない」という枷をもっと緩めることができると社会も個人も息がしやすくなるのになと思う今日この頃です。
山﨑健太
批評家・ドラマトゥルク。演出家・俳優の橋本清とともにy/nとして舞台作品も発表しています。
X(旧:Twitter):@yamakenta
ローチケ演劇部_白の優先順位高め!
なんかびっくりするくらい暑いですね。こう暑いと出歩くのも億劫になっちゃいますけど、負けずに劇場に足を運びたいと思います。というわけで今月のわたしの「優先順位高め」な公演はこちらです。
『きみは一生だれかのバーター』
7月から公演始まってますけど、観るのは今月(予定)。コンプソンズ金子鈴幸さんの新作です。タイトルがいいですよね。一生ですよ。一生バーターですよ。ちょっとやりきれなくなさそうですが、芸能界のサスペンスコメディってことなので笑いに行きたいと思います。
宝石のエメラルド座『ライバルは自分自身ANNEX』
ブルーさんの新作且つ長編です。これはとても楽しみですね。しかも出演者がすごくいい。ブルーさんの世界の面白さを倍増させる手練れの方々。注目です。
いいへんじ『われわれなりのロマンティック』
今年のMITAKA“Next”Selectionは、いいへんじと東京にこにこちゃんというなんという振れ幅!中島さんの心の奥底をツンツンされるような作品(個人の感想です)を楽しみに、三鷹の駅から歩いていきたいと思います。
アナログスイッチ『伊能忠敬、測り間違えた恋の距離』
いつもウェルメイドなコメディをお届けしてくれるアナログスイッチも観ないとです。こちらもいいタイトルですよね。タイトルだけでワクワクします。
テアトロコントvol.74
演劇枠で水素74%が出るのに注目です。惚てってるズ「惚て並み拝見」にも脚本参加した田川さん、水素74%名義は久々ですよね。注目です!
他、ろりえ『ろりえの暴力』、男肉 du Soleil『悲劇EXPO 2025』などを観たいなと思っています。くれぐれも熱中症に気を付けつつ、劇場へ行きましょう!