8/28(水)より開幕!東京夜光「ユスリカ」稽古場レポート

2019.08.16

2019/8/28(水)~9/1(日)東京夜光『ユスリカ』が下北沢 小劇場楽園にて上演される。
東京夜光は、劇作家・演出家の川名幸宏が主宰する演劇団体。2018年2月、第28回「下北ウェーブ2018」に選出され『裸足の思い出』で旗揚げ。同年12月には本公演『世界の終わりで目をつむる』を上演。繊細な言葉の機微により重厚な人間ドラマを、独特の空間演出で描き好評を得た。
2019/8/7(水)~8/11(日)にはRAFT BALL2019で短編作品『どこかへ』を上演。抽象的な一つの会話を幾パターンものシチュエーションで演じ分ける二人芝居で人々を魅了した。

『どこかへ』出演の東澤有香(キコ/qui-co.)、丸山港都をはじめ、砂田桃子(扉座)、寺内淳志、吉田多希(鬼の居ぬ間に)、草野峻平、笹本志穂(民藝)、中西良介、藤家矢麻刀が出演する『ユスリカ』の稽古が都内にて行われている。
『ユスリカ』は、苛立ち合う姉妹と二人を取り巻く周囲の人々を描く物語。余命宣告を受け、10年間ほとんど会話をしていなかった妹のもとへ突然押し掛ける姉、姉妹の仲を取り持とうとする妹の恋人、現実から目を反らそうとする母やうつ病の父。そのほか、一見特に問題なく日々を過ごしているかに思われる登場人物も皆、心肝に狂気や苦悩を秘めている。
そんな難解な役どころを実力派の役者たちが丁寧に、豊かな表情を纏いながら演じていく。
演出・川名幸宏は幾人もの登場人物の歪な関係性を的確に表現するため、細かな動きや立ち位置にもこだわり演出していく。
「このシーンで彼女はどう思っているんだろう?」「描かれていないけれど、このシーンに行き着くまでに、彼らにはどういうやり取りがあったのだろう?」と役者と相談しながら作り上げる。
前作『世界の終わりで目をつむる』で多くの評価を得た、美しく作りこまれた台詞は健在。さらに、些細な一言に核となる真意を含ませる仕掛けが、ふんだんに盛り込まれている。観劇する人に驚きを与え、深く感情移入させるだろう。何気ないやり取りの隙間から愛憎が顔を覗かせ、はっとさせられるシーンを、ぜひ逃さずにご覧いただきたい。

一触即発の関係や相手への憎悪を孕む劇中の登場人物たちとは裏腹に、稽古場での役者同士は和気藹々としている。お互いに細かな設定や動きを確認し合いながら、非常によい空気感の中、順調に稽古が進む。写真を撮り合ったり、休憩中に他愛ない話で盛り上がったりする姿からは、信頼や仲の良さが垣間見える。

正方形に近いかたちの舞台を効果的に使用する空間演出や、登場人物の心情に寄り添う音楽や照明にも期待が高まる。演出家、キャスト、スタッフが一丸となり描く渾身の一作である。
公演は8/28(水)から9/1(日)まで下北沢 小劇場楽園にて。チケット好評発売中。